司法書士ジャーナル
橋本司法書士事務所ブログ

2008年2月

2月 28 2008

ホームページ事例の追加

 ホームページの各分野ごとに新しい事例を追加しました。

それぞれの分野(自己破産、個人再生、任意整理)のトップに掲げてありますので参考にして下さい。

尚、実際には一番依頼が多いのですが、過払金返還請求の事例は今回、追加しておりません。理由は最初から複数掲げてあったことと、過払請求の場合、戻ってきた金額に違いがあっても、それ以外は似たような事例が多いからです。(過払いで解決した場合は、依頼者に複雑な家庭の事情があったとしても、あまり影響を受けませんから)

 

 

2月 21 2008

収入の高い人の債務整理

 皆さんは、収入の高い人は債務整理とは関係ないと思ってはいませんか。実は、そうでもないんです。今日は収入の高い人に特有の問題を取り上げてみましょう。

まず一つは、収入の高い人は借入額が非常に多くなるということです。500万円以上というケースも、めずらしくありません。これは貸金業者の限度額が高くなるからです。収入の高い人には業者も、たくさん貸そうとします。

次に、借入先に利率の低いところが多いという特徴があります。銀行系やリース系のローン会社や、比較的利率の低いクレジット会社がこれにあたります。利率が低いということは、任意整理を利用しても減額になりにくいということです。借りる時は有利ですが、債務整理になると一転して不利な要件になってしまいます。

三っ目は、収入の高い人は財産も多いということです。住宅ローンを抱えている場合も多いので、個人再生の比率が高くなります。運よく過払いになっていれば、任意整理で処理できる場合もありますが、二番目の特徴で指摘したように借入先の利率が低い場合は個人再生を考えた方が良いでしょう。

以上のように、収入が高い人が多重債務になると、低い人とは違った難しい問題が発生します。収入が低くて財産も無くて破産しか選択肢が無いという人の場合は、本人の覚悟さえ出来ていれば、後の処理は意外とスムーズに済んだりします。

収入の高い人は、苦しくなっても業者が貸してくれるので、相談が遅れる傾向があります。相談に来た時は、より深刻になっています。

一人で悩んでいる人は、一度、相談に行くことを、おすすめします。

  

2月 12 2008

破産の財産基準

 今日は破産の時に質問されることが多い財産基準のことについて、お話しましょう。

破産には管財事件と同時廃止事件の2種類があって、破産を申し立てる人の大半が同時廃止事件になります。

ちなみに管財事件とは破産管財人が裁判所から選任されてきて債務者の財産を調査して換価できるものは換価して債権者に分配する制度です。

しかし現実には、破産を考える人は目ぼしい財産を持っている人は少なくて、それに伴い裁判所が「換価処分をする必要無し」と認めたのが同時廃止と呼ばれる制度です。この場合、破産管財人は選任されません。現状では破産申立の8割~9割が同時廃止事件で占められています。

では、どうすれば同時廃止が認められるのかというと、その基準は各裁判所で異なっています。ここでは私の地元の名古屋地裁について説明しましょう。

名古屋地裁の場合、財産の総額で40万円以上の場合は、同時廃止は適用されないとしています。裁判所が問題にする主な財産は、預貯金、自動車、不動産、保険、退職金、積立金、有価証券などです。(現金は別基準がありますので省きました)

では40万円以内ならば全てOKかと言うと、実は更に細かい基準が設けられています。例えば、個別品目で30万を超えるとダメ、退職金は8分の1が20万以上の場合は積立の指示、国産車は5年以上なら無価値とするが外国車はこの限りではない、不動産はローン残高が時価の1.5倍以上の場合は認める、などが挙げられます。

一見、厳しそうに見えますが、実際には破産を考える人の大半は、ほとんど財産らしいものを持っていないのが普通なので、あまり問題にはなることは多くありません。

ただ、過去の経験では、他は全てクリアーしているのに、これだけが基準を超えていたというものが二つありました。一つは退職金、もう一つは親が債務者名義でかけていた生命保険です。同時廃止破産を考える場合は注意した方が良いでしょう。(親が債務者名義でかけていた保険の払い戻し金は債務者の財産とみなされます)

 

2月 08 2008

個人再生の結果に一安心

 昨年ぐらいから、個人再生の3年間の支払いが終わった人から続々と事務所に知らせが届いています。

個人再生が始まったのは平成13年です。しかし、最初の頃は手続の勝手が分らずに、利用者も伸び悩んでいました。本格的に増えてきたのが2~3年後からだと思います。

私の事務所では平成16年~17年と大量に個人再生の申立がありました。その頃に引き受けた人達が、最近、続々と支払いが終了したのです。

電話をかけてきた人もいれば、手紙を送ってきてくれた人もいます。皆さん、自分の借金を払い終わって非常に喜んでいます。こういう知らせを受けるのが、この仕事をやっていて一番うれしい瞬間ですね。

個人再生は手続期間も長いので、依頼者との付き合いも長く、3年たっても、自分でも驚くほど良く覚えています。電話で話していると顔がうかんできます。

個人再生をやっても途中で頓挫する人も中にはいると聞いていますので、自分が手がけた人が、ちゃんと支払い終わったの聞くと、うれしい気持ちになります。

こういう知らせは、今後も一杯聞きたいものです。

2月 07 2008

紹介者

 以前に比べて紹介で相談に来られる方が多くなっています。この変化について、私なりに考えてみました。

4~5年前には紹介で来られる方は非常に少ないものでした。この頃は、債務整理に対する偏見のようなものが、まだ世の中に強くあったように思います。依頼して助かった方も「自分が助かったことを容易に他人に話せる雰囲気では無かった」と言えるでしょう。昔の紹介と言えば、家族か親戚といった身内がほとんどでした。

その後、多重債務の被害や違法利息のことなどがマスコミでさかんに報道されるようになり、ついには政府が動き出して対策に取り組むようになりました。

これで状況は一変します。債務者が堂々と声を出すようになったのです。「違法な取立てを止めろ」、「払いすぎた利息を返せ」、などが、あたりまえのようになってきました。世の中の雰囲気が変化してきたのです。

今や、多重債務者は情報収集に熱心です。多重債務者同士での情報交換も、さかんに行われているようです。事務所に紹介が増えてきたのも、この流れが原因でしょう。

ただ、あまりにも情報が増えすぎると、今度は選択が難しくなったりします。中には信用できない情報も混じる可能性があります。今後は相談者の方で情報を見極めることが必要になってくるでしょう。このホームページが「情報の見極め」に少しでも役立てば、と思っています。

2月 04 2008

給料の差押え

 最近、相談の段階で給料の差押えが、されているという依頼が、いくつかありました。そこで本日は、給料の差押えについて注意点を書こうと思います。

まず、差押えがされた後で相談に来られた場合、何か方法があるのかという質問が多いですが、率直に言って任意整理だと方法がありません。

自己破産や個人再生の場合は方法があります。裁判所に申立をした後、「強制執行中止命令」というものを裁判官が出してくれれば、差押えは止まります。あるいは開始決定が出てしまえば裁判官に中止命令を出してもらわなくても、中止させることが出来ます。

ただ、中止されたから、即、給料が元通りに受け取れるかと言うと、そうではありません。会社は差し押さえられた分を破産や再生が完全に終了するまでプールしておくことになります。

このように差押えは、かなりの不利益を債務者にもたらしますから、むしろ差押えられないことを心がけることが大切です。では、何に注意すればよいのでしょうか。

まず、差押えは一部の例外を除いて、いきなり行われることは無いということです。一部の例外には公正証書を取られているとか、特定調停で決まった返済計画であるとかがあります。これらの場合は、いきなり差押えられる可能性がありますから、遅れないように返済するしか気をつけようがありません。

しかし、ほとんどの差押えは、事前に兆候があります。代表的な兆候は、訴訟を起こされることと、支払督促を申し立てられることです。

いずれの場合も、自宅に裁判所から書面が届きます。しかも郵便は特別送達という裁判以外ではめったに使わない配達方法です。何か特別な物が送られてきたと嫌でも意識するでしょう。しかし、差押えをされてしまう人達は、これを無視してしまうのです。

裁判では、何も反論しなかった人は、相手の言い分を100%認めたことになります。訴訟では負け判決が出て、支払督促では仮執行宣言が出されてしまいます。

こういうものが出てしまうと、もう差押えを防ぐのは難しくなります。だから、差押えを防ぐ一番の方法は、訴状や支払督促のような書面が裁判所から送られてきたら、まずは専門家に相談に行くことです。決して無視してはいけません。

差出人が裁判所で特別送達で送られてきたら、それは架空請求ではありません。仮に架空請求だったとしても、無視したら架空では無くなってしまいます。

くれぐれも裁判所から送られてきた書面には注意しましょう。