司法書士ジャーナル
橋本司法書士事務所ブログ

2月 12th, 2008

2月 12 2008

破産の財産基準

 今日は破産の時に質問されることが多い財産基準のことについて、お話しましょう。

破産には管財事件と同時廃止事件の2種類があって、破産を申し立てる人の大半が同時廃止事件になります。

ちなみに管財事件とは破産管財人が裁判所から選任されてきて債務者の財産を調査して換価できるものは換価して債権者に分配する制度です。

しかし現実には、破産を考える人は目ぼしい財産を持っている人は少なくて、それに伴い裁判所が「換価処分をする必要無し」と認めたのが同時廃止と呼ばれる制度です。この場合、破産管財人は選任されません。現状では破産申立の8割~9割が同時廃止事件で占められています。

では、どうすれば同時廃止が認められるのかというと、その基準は各裁判所で異なっています。ここでは私の地元の名古屋地裁について説明しましょう。

名古屋地裁の場合、財産の総額で40万円以上の場合は、同時廃止は適用されないとしています。裁判所が問題にする主な財産は、預貯金、自動車、不動産、保険、退職金、積立金、有価証券などです。(現金は別基準がありますので省きました)

では40万円以内ならば全てOKかと言うと、実は更に細かい基準が設けられています。例えば、個別品目で30万を超えるとダメ、退職金は8分の1が20万以上の場合は積立の指示、国産車は5年以上なら無価値とするが外国車はこの限りではない、不動産はローン残高が時価の1.5倍以上の場合は認める、などが挙げられます。

一見、厳しそうに見えますが、実際には破産を考える人の大半は、ほとんど財産らしいものを持っていないのが普通なので、あまり問題にはなることは多くありません。

ただ、過去の経験では、他は全てクリアーしているのに、これだけが基準を超えていたというものが二つありました。一つは退職金、もう一つは親が債務者名義でかけていた生命保険です。同時廃止破産を考える場合は注意した方が良いでしょう。(親が債務者名義でかけていた保険の払い戻し金は債務者の財産とみなされます)