11月
27
2008
今回は三菱UFJニコスについて取り上げます。
銀行系クレジットも、本家の銀行と同様に合併を繰り返していて以前に比べると数が少なくなりました。特に目立つ大型合併がUFJカードとDCカードが日本信販と合併して出来た三菱UFJニコスです。
銀行系のメジャークレジット2社と日本信販が合併したのですから、巨大クレジット会社が誕生したと言って良いでしょう。依頼の中に三菱UFJニコスが含まれている割合は非常に高いです。
合併した当初は、あまりにも巨大になり過ぎた為に事務が大混乱になり、司法書士や弁護士が何度、電話をかけても一向につながらない時期がありました。任意整理をやっていて、ニコスだけが電話がつながらず交渉が出来ない為に、1社だけ終わらないということが良くありました。
事務の混乱は取引開示にも影響が出て、ニコスだけが、いつまでたっても開示されない状態が続きました。ひどい時には取引開示だけで3か月近くかかったこともあります。
しかし、最近になって、ようやく事務も落ち着いてきたようで、電話もかかるようになりましたし、取引開示も以前よりは早くなりました(そうは言っても他の業者よりは、まだ遅い方です)。
合併して良くなったこともあります。UFJカードやDCカードのような銀行系カードはキャッシングの取引履歴を自社で作成していないので(これは銀行系カードの特徴です。次回以降で詳しく説明します)。いわゆる毎月発行する請求明細の束を送りつけてきます。これは入出金を記録した取引履歴ではないので、入金と出金を拾い出して取引履歴を司法書士が作成しなければなりませんでした。
ところが、合併してからはニコスのシステムを共有するようになったので、取引履歴を旧UFJカード、旧DCカードの場合も業者側で作成するようになりました。これは評価できる改善と言って良いでしょう。
あと、これは合併前から続いている問題点ですが、10年以上前の古い取引履歴は開示されないケースが多々あります。請求しても処分して保存していないので無いと言ってきたりするので、なかなかやっかいです。(この辺はGEコンシューマーと似てますね)
過払金に関しては、元金ならば割りと任意交渉で返還してくれます。満額返してくれることもあります。利息まで請求すると、さすがにすんなりとはいかない場合が多いです。そういう場合は消費者金融と同じように訴訟に持ち込むことになります。訴訟になった場合、あまり争ってくる業者ではありません。ただし、古い取引が開示されていないケースでは金額の大小について争ってくることがありますので注意が必要です。
分割払いに関しては、こちらの申し出を非常に良く聞いてくれる業者です。取引の開示が遅いことが、分割の場合には支払いのスタートが遅れるので、むしろメリットになります。分割になる場合は、ありがたい会社と言って良いでしょう。
次回は、その他の銀行系カード会社について取り上げる予定です。
11月
21
2008
さて、前回まで主要な消費者金融について話をしてきました。今回からはちょっと角度を変えて、クレジット会社について取り上げたいと思います。
恐らく一般の人の感覚では、「消費者金融=悪」、「クレジット会社=善」というイメージがあるのではないでしょうか。実は、これが大きな落とし穴なのです。
クレジット会社には大きく分けて流通系、独立系、銀行系などがありますが、改正貸金業法以前は、流通系と独立系のほとんどのクレジット会社で違法利息を取ってキャッシングをしていました。つまり、消費者金融と何ら変わりはない訳です。
一方、銀行系ではキャッシングの種類に応じて利率を変えていました。具体的に説明すると、消費者金融と同じ形式であるリボルビングローンについては利息制限法以内の適法な利率を採用していますが、翌月一括払いのマンスリークリアと呼ばれるキャッシングについては利息制限法超過の違法利息を取っていました。このことについては意外に気付いていない人も多かったようです。(改正法が成立してから各社とも適法な利率に改めたようです)
従って、クレジット会社についても消費者金融と同じように、長期間の取引があれば借金が減る可能性が大いにあるのです。
では、クレジット会社には、どのような業者があるのでしょうか。私の事務所での取り扱いを基準に考えると代表的な業者は以下のようになります。(地域密着のクレジットもありますので、地域によって違いはあると思います)
流通系・独立系
オリエントコーポレーション・セントラルファイナンス・イオンクレジットサービス・オーエムシーカード・IYカードサービス・クオーク・UCS・クレディセゾン・セゾンファンデックス・丸井・ジャックス・オリックス・ライフ等
銀行系
三井住友ビザカード・三菱UFJニコス・アメリカンイクスプレス・ダイナース・シティカード・JCB・アプラス等
それぞれに特徴があるのですが、それについては次回以降に取り上げてみたいと思います。(数が多いので、複数の業者を取り上げる予定です)
11月
11
2008
今回はCFJを取り上げます。
この会社もGEコンシューマーと並ぶ、外資系の消費者金融です。CFJはシティ・フィナンシャル・ジャパンの頭文字を取ったもので、母体は世界的金融機関であるシティグループです。
この会社の成り立ちはGEよりも、やや複雑で、元々3社だった消費者金融が合併した上で、シティが吸収したのです。元々の3社は、ディック、アイク、ユニマットと呼ばれていました。3社とも、そこそこ有名だったので、ご記憶の方も多いのではないでしょうか。(その中でもユニマットは女性に特化した展開をしていましたので、女性には割と知られていたと思います)
この会社で特徴的なのは、過払いになった状態で司法書士が債務整理開始の通知を出すと、「お客様の債務は0円とさせて頂きます。近日中に契約書を返却させて頂きます。」という、お知らせが届くことです。(専門家に頼まずに本人が取引履歴を請求した場合にも、同じ知らせが来るのかどうかは確認したことが無いので分かりません。)
要するに、「本当は過払いで払い戻さなければならないけど、こういう通知を送れば、何人かは債務無しの0円で終わらせてくれるかも」ということを期待して、やっているのでしょう。
しかし、ひと昔前の過払請求がマイナーだった時代ならば、CFJの思惑通りに請求をしない専門家もいたかもしれませんが、今となっては無駄な通知だと思います。(それとも、田舎の方だとひょっとしたら、未だに過払いの請求をしない専門家がいるのでしょうか。CFJが、この通知を止める気配が無いのが不思議でしたが、そう考えると一応、つじつまは合います。あくまで私の予想ですが)
取引履歴の開示は、主要6社の中では遅いほうです。でも、債務整理に支障をきたすほどではありません。あくまで比較の問題です。履歴が開示されると同時に例の債務免除0円の通知が入っていると、過払いだということがすぐに分かります。ある意味、利息の引き直し計算をする前に過払いか、そうでないかが分かるので便利な部分もあります。
以前は古い取引は開示されないことが多かった業者ですが、最近は古くても開示されます。この点は改善されています。
過払いに関しては、払わないということは無いですが、かなりしつこく減額を要求してくるイメージがありますね。少しでも支払額を減らそうと言う意図が強いように見受けられます。しっかり取り戻そうと思ったら粘り強い交渉が必要かもしれません。ただ、業者側に勝ち目の無い取引の場合は、こちらが折れなければ、最終的には諦めて払ってきます。
ただ、ここも親会社のシティグループがアメリカのサブプライム問題で大幅な損失を出していますから、いつ身売りされるか分かりません。そうなった場合、今までとは対応が、ガラッと変わる可能性がありますので注意が必要です。
最後に分割交渉については、よほどの長期分割でもなければ、今のところ応じてくれます。ただし、これも会社の経営状態によって変わる可能性があります。
それでは次回は、クレジット会社について取り上げる予定です。どこを取り上げるかは検討中です。
11月
07
2008
今回はGEコンシューマー・ファイナンスを取り上げます。
この会社は外資系に吸収されるまでは、レイクという会社でした。コマーシャルなどでレイクの名前が浸透していたこともあって、外資になった後も商品名としてレイクを使っています。従って、利用している人も自分が借りている会社はレイクだと思っている場合も多いのではないでしょうか。
この会社を買収した外資系はGEと言います。ジェネラル・エレクトリックの頭文字を取ったものです。実は、この会社、かの有名なエジソンが作ったアメリカ最大の電気メーカーでした。年配の人はGEの冷蔵庫とか知っている人もいるのではないでしょうか。しかし、日本の電気メーカーとの競争に負けて、今では家電はほとんど作っていません。じゃあ何をやっているのかというと、金融業です。電気メーカーが金融業者になってしまったのです。(この辺がアメリカらしいと言えばアメリカらしい)
何故、アメリカの金融業者が日本の消費者金融を買ったのかというと、少し前まで日本の消費者金融が空前の利益を上げていたからです。しかしながら、違法金利が禁止されて以来、日本の消費者金融は利益を上げるビジネスではなくなってきました。さらに、アメリカ本国でサブプライムショックが起こりました。これで、今や日本の消費者金融部門は、GEにとって、お荷物になってきています。
そこで、GEはレイクを売却しようと考えているようです。しかし、消費者金融の絶頂期は過ぎてしまいましたから、今となっては有利な条件で売るのも、なかなか難しいでしょう。新生銀行(同じ外資系ですね)が買ったという話を聞きましたが、登記されている社名が変わっていないので、状況を図りかねています。GEの名前を残したまま売るというのも考えにくいですから。
さて実務上の対応についてですが、取引履歴の開示には非常に独特の対応をします。平成5年10月以前の開示は絶対にしてこないのです。その代わり平成5年以降は素直に割と早く出てきます。内容も、まあ信用してよいでしょう。しかし、平成5年以前の開示に対しては、「自動削除システムにより、当社は保管していない」という主張を決して曲げません。全国の弁護士・司法書士を探してもGEから平成5年以前の開示を受けた人はいないはずです。
では、平成5年以前の取引がある人はどうするかと言うと、例えば頭0計算と言って、平成5年10月時点で発生している残高を0円として過払金の請求をしていく方法があります。これは大抵の場合、債務者有利の計算になりますので、GEが都合が悪いと考えたら、顧問弁護士が推定計算をしてきます。(GEは過払訴訟で弁護士が出てくる確率が一番高いです) 要するに履歴が無いから手元にある情報から推定で計算したものを出してくるのです。この計算を調べると意外にまともな計算である場合が多いので、これを基準にして交渉する場合が多いです。
この会社は割とマニュアル通りの対応をしてくることが多く、その辺りが外資系らしく感じます。例えば、取引途中に空白期間がある場合でも、その空白が1年以内だと、あまり争ってきません。1年以上だと取引履歴自体を別にして主張してきます。従って、マニュアルで許されている範囲内ならば、驚くほどあっさりと支払ってくれることもあります。
分割払いに関しては、特に問題ありません。割と条件に応じてくれる方だと思います。
では、次回は、もう一つの外資系であるCFJを取り上げます。