司法書士ジャーナル
橋本司法書士事務所ブログ

2009年3月

3月 30 2009

シリーズ 各業者の対応⑲

 本日はシンキを取り上げます。

 会社名よりも商品名である「ノーローン」の方が有名で、依頼者の中にもノーローンが会社名だと思っている人もいるようです。この商品名は、シンキ特有の「最初の7日間無利息」というシステムから由来していると思われます。

これは他の消費者金融には無い、非常に独特のシステムで、7日以内に完済した場合は利息が全くかからないのです。しかも、このシステムは完済した後の2回目の融資にも適用されるのです。従って、極端なことを言えば、7日以内の完済と融資を繰り返せば永久に利息がかからないで融資を受けられることになります。

このことから、債務者には非常に評判が良く、A社から借りてB社に返すという、いわゆる自転車操業をしている債務者が途中にシンキを入れることによって、上手に利息を減らせる手段などを考案している場合も見られます。

もっとも、最近の消費者金融の経営悪化の影響を受け、シンキのこのシステムも変化がありました。以前は、期間に関係なく2回目以降も適用されていたのですが、最近では完済した月の翌月以降の融資でなければ適用されなくなったようです。要するに同じ月に2度の無利息融資を受けることはできなくなったということになります。(まあ、こんなシステムを無くさないで、未だに維持していること自体がすごいことだと思いますが)

 この会社は新生銀行の子会社になっていますので、アコムやプロミスと同じように銀行系消費者金融と言えるでしょう。ちなみにクレジットのアプラスも新生銀行の子会社ですから、シンキとはグループ会社ということになりますね。

ただ、アコムの三菱東京UFJや、プロミスの三井住友と違って、新生銀行は最近話題のアメリカ系金融ですから、銀行だからと言って安心だとは言い切れません。従って、危険度はアコムやプロミスと比較すれば高いということになるのではないでしょうか。

 まあ、銀行系の業者ということもあって、取引開示、その後の過払金返還、残った場合の分割交渉なども、今のところは特に問題はありません。まあ、過払金に関しては減額要求をしてきますが、最近では、アイフルや武富士などの大手でも減額要求をしてきますので、特に目立つというほどではありません。やっかいな業者とは言えないと思います。

 では長い間、続けてきた各業者の対応シリーズも今回が最後となります。次回から、また新たなシリーズを考えていますので、ご期待下さい。

 

3月 19 2009

シリーズ 各業者の対応⑱

 本日はユアーズについての話です。

 個人的には、SFコーポレーション(旧三和ファイナンス)と並んで消費者金融のワースト1位を争っている業者です。(あくまで個人的主観ですが、恐らく同意してくれる人も多いと思ってます)

名古屋市に本社があり中部地方が営業の中心になっていますので、他の地域の方には馴染みが薄いかもしれませんが、中部地方では知る人ぞ知る問題業者です。最も小規模業者まで含めればユアーズよりも問題のある業者はありますが、そこそこの規模の中堅業者の中では、やはり問題の多さが際立っています。

 未だに取引開示には非常に消極的で途中で空白期間がある場合は、「以前の取引は完済して3年以上経っている為、破棄して無い」などと平気で言ってきます。

また、空白期間が無い場合は何とか出してきますが、途中で返済が遅れていたりすると、そこから先は全て遅延損害金をつけて請求してきたりします。

 分割払いにも極めて非協力的で、通常認められている3年払いで決着させるのは至難の業です。他の業者とのバランスを無視してでも出来る限り返済回数を少なくするよう執拗に要求してきますし、場合によっては一括払いを強要されることもあります。

 過払いになった場合でも、簡単には払いません。徹底的に減額要求してきますし、それを蹴って訴訟に持ち込むと、あらゆる難癖をつけてくるので決着が長引くことが多いです。

 以上のように、本当にやっかいな業者です。SFコーポレーションと並んで、依頼の中に含まれていると、思わずため息をつきたくなる業者の一つです。

名古屋の弁護士の中では、ユアーズ対策弁護団なるものを結成しようという動きがあったくらいの問題業者です。しかしながら、軒並み経営が悪化している中堅業者の中でも、しぶとく営業を続けていますから、あらゆる手段を駆使してでも何とか利益は確保しているのでしょう。

 次回はシンキについて取り上げます。

 

 

3月 13 2009

シリーズ 各業者の対応⑰

 今日はトライトについて話をしてみたいと思います。

 この会社はハッピークレジット・信和・山陽信販の3社が合併して誕生した消費者金融です。古くから取引がある人は、上記の名前の方が馴染みがあるかもしれません。

現在はアイフルの子会社となっており、ワイド・ライフカードなどと供にアイフルグループになります。なんと本社を調べると、アイフルと全く同じ住所で驚きます。京都なんですが、アイフルのビルにテナントとして入っているのかもしれません。(実際に京都に行って確認した訳ではありませんので、あくまで想像です)

 中堅消費者金融が軒並み過払いの支払いが悪くなっている中で、アイフルの子会社であることが影響しているのか、この会社の過払金の支払いは悪くありません。現時点では満額支払ってくれる優良会社です。(会社自体の財務内容が優良かどうかは分かりませんが)

ただし、旧ハッピークレジットから続いている取引の場合は、ハッピーの過払金は受け継がないという免責登記がされている為、やっかいなことになります。

このケースでトライトに過払請求すると免責登記を盾にして支払いの拒絶や減額をしてきます。判決は勝ち負け分かれている状態なので、このケースの場合は必ず満額、取り戻せるとは限りません。

 取引開示は問題ありません。アイフルと、そっくりな取引履歴が送られてきますのでシステムが同じなのが良く分かります。

 また、債務が残った場合も通常の3年分割ならば、今のところは問題ありません。

 まあ、評価としては最近、厳しくなりつつある中堅消費者金融の中では、やりやすい業者と言えるのではないでしょうか。ただアイフルの影響を強く受けていると思われますので、アイフルの経営状態が悪化した時は豹変するかもしれませんので要注意です。

 では、次回はユアーズを取り上げます。

 

3月 05 2009

シリーズ 各業者の対応⑯

 本日はSFコーポレーション(旧三和ファイナンス)を取り上げます。

 この会社が昨年9月に過払債権者から不払いを理由に破産を申し立てられたのは記憶に新しいところです。

その時は「かざかファイナンス」の支援を仰いで申立債権者には支払いを済ませ、今後発生した過払金返還請求には支払っていくことを約束して、破産が取り下げられたという経緯があります。

にもかかわらず、最近、再び過払金の支払いが滞ってきていて、事実上、約束は反故にされたと言って良いでしょう。クレサラ対策弁護団が2回目の破産申立を検討しているという噂があるのも、うなずけます。

 この業者は旧三和ファイナンス時代から、悪質な業者として有名でした。

平成19年4月には、違法取立により、金融庁から全店舗を対象に業務停止が命じられました。

平成20年5月には埼玉県の支店で違法取立が発覚し、同店舗に対して業務停止が命じられました。

これらは公になった事件ですが、公にならない不当な行為は、債務整理に携わる司法書士や弁護士ならば、数多く経験していることでしょう。

 この会社は韓国にも進出していて、韓国では利息制限が日本よりも、かなり甘いこともあり、莫大な利益をあげていると聞いています。この利益で過払金の返還は出来るのではないかと考えている専門家も結構います。ただ、韓国であげた利益がどうなっているのかは闇の中です。

 このような業者ですから、任意整理に含まれている場合は、非常にやっかいです。まあ、過払金は訴訟で判決を取るまでは絶対に支払ってきませんし、最近では判決を取った事件でも値切ってきて、なかなか払わなくなっています。(私の場合は判決を取ったら控訴してきて2審の本人訴訟で争った事件がありました)

一方、債務が残った場合は強硬に一括払いを主張してきますので、要注意です。この点は、同じ「かざかファイナンス」から支援を受けたフロックス(旧クレディア)と、そっくりです。従って、「かざか」の方針と考えることも出来ます。

 私としては、この会社は市場から退場すべき会社だと思っていますので、2回目の破産が申し立てられるべきだと考えています。きちんと司法による調査をして、隠している財産などがないかを洗い出して欲しいものです。

 では次回はトライトについて取り上げたいと思います。