2月
27
2009
本日はコーヒーブレイクと題して、債務整理以外の話をしたいと思います。と言っても日常のよもやま話を面白く表現するのは、あまり得意ではありませんので、債務整理以外の法律の話です。(あまりブレイクになってませんかね)
債務整理以外の裁判関係の依頼で比較的多いのが個人間の貸金請求事件です。今日は、これについて話しましょう。
個人の貸金請求では、請求する方(貸した方)も、請求された方(借りた方)も両方、経験があります。
借りた方の依頼の場合は、既に訴訟や差押などが起こっている場合がほとんどです。そもそも、借りた方は返さなければ損失は発生しませんから、訴訟でも起こされない限り法律家に頼もうとは考えない訳です。
訴訟が起こされているということは、相手方に契約書や借用書があると考えて良いでしょう。契約書や借用書が無くて訴訟を起こす人は相当に無茶だと言えます。下手をすると裁判所から架空請求と認定される恐れがあるからです。(もっとも借りた方が何の反論もしなければ、貸した方の言い分が認められてしまう可能性もありますが)
従って、借りた方の戦い方としては、借りた事実そのものを争うのは難しく(契約書に書かれていますから)、借りたけど既に返したとか、時効で払う必要は無いとか、で争うことになります。
それでも勝てそうにない時は、今、持ってないから負けてくれとか、分割にしてくれとか、言わば、法律とは関係ない、相手方にお願いする方法になってきます。(結構、有効な方法ですが、お願いが、いつも通用するとは限りません)
一方、貸した方の戦い方としては、まず契約書か借用書があるかどうかで大きく違ってきます。
契約書か借用書があれば、かなりの確率で勝つことが出来ます。問題は、勝った後、どうやって回収するかです。
一般の人は裁判に勝てば全て万事解決と思っている場合が多いのですが、実は裁判に勝っても素直に払ってくれる人は少数です。何故なら、それで払ってくれるような人だったら、そもそも裁判にはなっていないからです。
従って、相手方の財産に効率良く差押をかけることの方が、実際には大きな仕事になり、ここで空振りすれば、勝った裁判も水の泡となってしまいます。(このような事態を防ぐ為に裁判の前に仮差押えをしておく方法が良く使われます)
また、契約書や借用書が無い場合は、貸した方が圧倒的に不利です。借りた方に「借りてません」と言われてしまったら、契約の存在自体を証明しなければいけなくなるからです。
私はまだ、このパターンの依頼は受けたことがありませんが、かなり勝つのが難しくなるのは間違いないでしょう。
相手方が無関心で答弁書も出さず、訴訟にも欠席してくれたら勝つ可能性はあります。しかし、相手方に否定された状態で、貸金の約束があったことや、相手方が金を受け取ったことを証明するのは至難の業だと思います。(ちなみに、上に挙げた二つが貸金契約の存在の証明になります)
さて、今回は債務整理以外の話を取り上げてみました。たまには、こういう話題も混ぜていきたいと思います。
2月
23
2009
臨時ニュースです。主要商工ローン業者であるSFCG(旧商工ファンド)が東京地裁に民事再生を申請して、事実上、破綻しました。
SFCGはロプロ(旧日栄)と並ぶ主要商工ローン業者で、悪質な取立・請求で債務者とのトラブルも多く、昔から問題のある業者でした。
特に最近は、債務者が滞りなく支払っているにもかかわらず、突然、全国の債務者に宛てて一括返済の通知を出すなど、大きな問題となっていました。恐らく経営が苦しくなって、なりふり構わぬ措置を取っていたのでしょう。
しかし、こんな違法なやり方が通用するはずもなく、全国の法律家から、損害賠償の請求を出されていた模様です。
私の個人的見解としては、消費者金融と比べても、あまりにも問題の大きい業者であったことは事実なので、あまり同情する気にはなりません。まあ、自業自得ではないでしょうか。
SFCGから金を借りた中小企業は(商工ローンは基本的に事業主に貸します)、連帯保証人(それも悪名高い根保証)、不動産への根抵当権や所有権移転の仮登記、強制執行認諾の公正証書などをセットで取られているのが普通です。
早い話が最初から企業が存続して金を返せるとは思っていないのです。まあ、利率の高さを考えれば当然なんですが、業者がねらっているのは物的担保や保証人の財産ですから、返済が滞ったと見れば、あらゆる手段で担保の換金や保証人への請求をしてきます。消費者金融以上に手を出さない方が良い業者だと言って良いでしょう。
SFCGが破綻したと言っても、もう一つの主要業者であるロプロが、まだ残っていますので、よくよく注意して頂きたいと思います。
2月
20
2009
本日は静岡県の業者である丸和商事について取り上げましょう。
この業者は別名「ニコニコクレジット」と呼ばれていて、この名称の方が利用者には通りがいいかもしれません。クレジットとついているので、クレジット会社かと思う人がいるかもしれませんが、れっきとした消費者金融です。
クレディアと並んで静岡県の2大消費者金融ですが、規模の大きなクレディアの方が先に破綻してしまい、同一県内ということで丸和商事の破綻も近いのではないかという噂が絶えません。
実際、最近の過払金の支払いも非常に心細くなってきていて、大幅な減額を要求してきますし、例え減額しても支払期日が、とんでもなく遅かったり(半年後とか)します。支払期日前に破綻したら、どうしてくれるんだと、いつも心配になります。
クレディアと同じように愛知県は丸和商事の主力営業エリアになっている為、利用者は結構多くて、債務整理をやっていると出くわす確率は高いです。
取引履歴は、ある年度(すいません、ちょっと忘れました)までは何とか出てきますが、それを過ぎる長期になると、倉庫から探してくるらしく、開示されるまで非常に長引きます。(2~3か月待たされたこともあります)
過払請求の場合は払いが悪いので、訴訟になることが多いです。訴訟になっても他の業者よりも長引くことが多く、数回、裁判期日を重ねた後で、ようやく決着したと思ったら、支払いは半年後だったりする訳ですから敵いません。まさに、いつ破綻しても不思議ではない業者だと言えるでしょう。(過払いが見込まれる人は早めに請求した方が良いでしょう)
では、次回はSFコーポレーション(旧三和ファイナンス)を取り上げます。
2月
13
2009
本日はフロックスについて取り上げます。
この会社は破綻した消費者金融業クレディアから営業譲渡を受けて設立された、事実上、クレディアの引継ぎ会社です。民事再生の時にクレディアの支援をした「かざかファイナンス」という会社が100%出資していますので、「かざかファイナンス」の意向が強く反映されていて、とにかく任意整理には反抗的・非協力的な会社として有名です。
愛知県は旧クレディアから借り入れをしている債務者が非常に多い地域なので、必然的にフロックスがらみの任意整理が他の地域よりも多くなる傾向があり、大変にやっかいな存在となっています。
特に困るのが利息を引き直しても債務が残る場合です。こういう時、フロックスは将来利息カットの分割払いを認めないことが多いのです。
将来利息カットは任意整理の基本ですから、これが認められないと任意整理をする意味が無くなってしまいます。まともな専門家なら到底、呑める条件ではないので結局、フロックスに対しては何とかしてでも一括で払う道を探すことになります。(他で過払金が発生していれば、それで充当できますが、そうでないと非常に厳しいことになります)
このことから取引先にフロックスが入っていると、途端に任意整理がやりにくくなるという、全く困った存在なのです。まあ、フロックス側の言い分としては、破綻した業務を引き継いでいるのだから、利息をカットしている場合ではないということになるのでしょう。
このように取り立ての方は非常に厳しいフロックスですが、こちらが過払いになった時は手のひらを返したように怠慢な応対になります。
請求しても全く回答が無く放置されますし、シビレをきらして、こちらから連絡すると「後ほど連絡するからFAX流しといてくれ」などと言われます。全く不誠実きわまりない態度です。
フロックスに対する過払金はクレディアの民事再生に従って減額されます。これは法律の決めるところですから、仕方がありません。しかし、民事再生に従えば、いくらになるのかは分かっている訳ですから、待たせる理由が無いはずです。さっさと計算して決められた金額を払えば良いのです。最初から減額が決まっているので、他の業者よりも随分とフロックス側に有利なはずです。それでも、この対応ですから、あきれてしまいます。
要するに、この会社は、債務が残っても、過払いになっても、一筋縄ではいかない、やっかいな会社ということです。
では、次回は同じ静岡県の業者で丸和商事を取り上げます。
2月
06
2009
今回はオーエムシーカード・イオンクレジットサービス・クレディセゾン・UCSカードを取り上げます。
4社ともダイエー・イオン・セゾン・ユニーなどのスーパーを元に発展してきたので、俗に流通系クレジットカードと呼ばれています。スーパーで買物をする時に割引特典があったりするので主婦層の所持率が高いのが特徴です。最初のきっかけはスーパーでの買物で作成することが大半ですが、そのうち家計が苦しい時にキャッシングを覚えてしまい、次第にキャッシングの比率が上がってくるという経過をたどる場合が多いです。
上記4社の中ではオーエムシーカードが最も任意整理には非協力的な態度が目立ちます。
まず、取引履歴の送付までの期間が最も長いです。ひどい時には3か月くらい待たされる時もあります。
取引履歴が送付された後の分割交渉や過払金返還交渉の際も、こちらの提案に対する回答がやたらと遅いです。それでも、回答があれば、まだマシな方で、こちらから再提案をしないと放置されることもあります。
他の3社に関しては、まあ標準的な対応と言って良いでしょう。ただ、大手の消費者金融に比べると取引履歴の送付や、和解提案に対する回答は遅い傾向はあります。この辺りの事情は一般の方からすると意外な感じがするかもしれません。
これらの流通系クレジット会社の取引履歴は最初から引き直し計算がされています。ただ、過払金が発生している時は、利息の計算まではされていませんので、自分で計算しないと利息の請求は諦めることになります。
従って、当事務所では必ず事務所で引き直し計算をします。これについては、やってない事務所もあると思われますので、依頼した場合は利息が請求されているか確認した方が良いでしょう。ちなみに上記4社の場合、訴訟に持ち込めば利息も含めて支払ってくれる場合が、ほとんどです。
分割払いの交渉をする場合は比較的、こちらの提案に協力してくれる傾向が強いようです。従って、債務が残る場合は、ありがたい業者と言えるでしょう。今後は利率が下がって、過払いになるケースは減ってくると思われますので、任意整理に対する評価が上がってくることが予想されます。
では、次回からは中堅の消費者金融について取り上げます。