11月 12 2009
シリーズ 過払金⑨ 悪意受益者の利息(2)
今回は「みなし弁済」が、どのような時に認められるのか、という話です。(みなし弁済が何かについては、前回のブログを参照して下さい)
法律で定められている条件は3つです。
一つは、貸金業者に対する利息の支払いであること。この場合に問題になるのは、きちんと登録された貸金業者でなければ認められないということです。例え登録していても定期的な更新をしていなければ、登録していないものとみなされます。
二つ目は、任意に支払った利息であることです。この任意の部分が否定されたのが、過払バブルを引き起こした有名な平成18年1月13日最高裁判決になります。それまでは任意かどうかには争いがあったのですが、この判決以降、期限の利益喪失特約がある契約(ほとんど全ての契約が当てはまる)については任意ではないとみなされるようになりました。逆に言うと、この判決以前の契約については任意の可能性を残していることになり、そこを貸金業者が反論してくる場合があるわけです。
三つ目は、正式な書面の交付があることです。この書面の内容は完璧を求められます。法定事項を一つでも書き漏らしていたら書面は正式なものではないとされ、みなし弁済は否定されます。
以上3つの条件が全て満たされていて初めて、みなし弁済が認められます。要するに「みなし弁済」が認められるケースとは極めて少数に限られることになります。(9割以上の取引は「みなし弁済」の条件を満たしていません)
従って業者が、平成18年以前は「みなし弁済」が成立する可能性があったのだから、過払金の利息は支払わないという主張は、まともに争ったら業者の勝ち目は薄いということになります。
ただし、過払利息は時と場合によっては、削った方が得策の場合があります。例えば、過払金を使って他の債務を支払う場合に、債務が残っている債権者から「これ以上、待たせると訴訟を起こす」と言われた場合、過払金の利息を削っても和解して、早めに支払ってもらう方が、債務者の給料差し押さえなどの危険を回避する為には良い場合があります。他には、過払請求をしている相手の業者が近いうちに倒産の噂が流れていて、たとえ利息分を減額しても破綻する前に回収した方が得策である場合もあります。
最近は、過払金の利息について業者が争ってくる場合が多いので、利息まで取るには交渉が長期化する恐れがあります。従って、上記のように早く支払ってもらう必要がある場合には利息の減額も視野に入れておくべきでしょう。
さて、過払金のシリーズも一旦、これで終了します。ただ、過払金はホットなテーマですから、今後も何か新しい情報があったら逐一、紹介していく予定です。では、次回からは新テーマで「司法書士事務所の見分け方」です。









