12月
28
2009
さて今年最後のブログになりますが、本日は依頼をした時に実際に自分の依頼を処理してくれる担当について考えてみましょう。
担当の問題を考える時には、一つは広告宣伝と担当の問題、もう一つは面談と担当の問題の二つを考える必要があります。
まず一つ目の広告宣伝と担当の問題について考えます。誰かからの紹介で無い限り、最初に司法書士事務所を知るきっかけは広告宣伝になるでしょう。依頼人にとっては最初の情報源になる訳です。しかし、広告宣伝で得られたイメージと実際の処理が違っていると依頼には不満が残る訳です。この不満の中でも代表的なものが「担当が広告宣伝と違う」というものでしょう。
広告宣伝に写真が載っていて、その下にプロフィールが書いてあったりする広告を良く見かけますが、こういう広告を見て事務所を訪れる依頼人の大半は、その写真やプロフィールで自分の担当をイメージしていると思います。ところが出かけてみると全く違う人が出てきた、というパターンですね。これは大型事務所で起こりやすい傾向があります。
もちろん広告宣伝と違う担当が出てきたからと言って、その人の能力が低いとは限りませんから、一概に悪いとは言えません。しかし、依頼人に安心感を与えるのも重要な事なので、その点では問題があると言えるでしょう。(やはり広告どおりの人が面談に現れれば安心する人が多いのではないでしょうか)
次に面談と担当の問題について考えてみましょう。こちらの方が、より重要かもしれません。これは要するに面談をしてくれた人と実際に仕事を処理している人が違うという場合に起こってくる可能性があります。
これは一人事務所の場合は問題になりません。一人事務所ならば面談する人と仕事を処理する人は必ず同じになるからです。しかし一人事務所でない場合は例え二人や三人の少ない人数であっても問題が発生する可能性があります。だから、この問題に関しては個人事務所だから安心だとは限らない訳です。
もちろん全てが問題と言う訳ではありません。例え違う人が処理していたとしても、上がってきた仕事を常に面談した人がチェックして間違いがあれば訂正して最終的に面談した人の目を通して処理されていれば何の問題もありません。
問題になるのは面談した人の手を離れて勝手に処理されていて、その事についてチェックがされていない場合です。
こうなると依頼人としては、「自分が信頼したのはAさんだったのに、話したこともないBさんが処理しており、Bさんと仕事の経過について話してみると自分が伝えたことと食い違う点がある。それについて再度、Aさんに確認するが、Aさんは、今はBさんが処理しているから経過はBさんに聞いてくれと言われる」ということになりがちです。要するに依頼人からすると非常に無責任な状態に見えます。
このようなトラブルを無くす為には、まず面談を受ける際に自分の仕事を処理してくれるのは実際には誰なのか、他の人が処理しているならば、責任は誰が取るようになっているのかを聞いておくことが重要になってきます。特に大勢の人がいる事務所では説明を聞くことを、おすすめします。
では次回は来年です。テーマは「料金」についてです。
12月
16
2009
さて、本日から新シリーズとして、司法書士事務所の見分け方のポイントを私なりに解説したいと思います。
依頼者の側からすると、司法書士事務所に訪れるのは非常に珍しい経験である人が多いでしょう。従って、始めて依頼をする時は、どの事務所に行ったら良いのか迷ってしまうのが普通だと思います。そういう時に判断する目安のような情報があると便利だろうと思って、このシリーズを書くことを思い立ちました。役立てて頂ければ幸いです。(しかし、あくまで目安ですから、判断の手助けとして活用して下さい。ここに書いてあることだけで100%の判断は出来ません。でも知らないよりは知っている方が良い判断に近づくことが出来るでしょう)
では、まず1回目として認定番号による見分け方を説明しましょう。
債務整理を業務としている司法書士は二つの番号を持っています。(ここが弁護士と違うところですね) 一つは登録番号、もう一つが認定番号です。
まず登録番号から説明すると、この番号は全ての司法書士が持っています。(逆に言えば、この番号を持っていなければ司法書士の仕事はやってはいけないことになっています) それぞれの都道府県ごとに司法書士会という組織が置かれていて、司法書士の仕事をするには必ず、どこかの司法書士会に所属しなければなりません。ちなみに弁護士も同じ方式です。(余談ですが、医者にも医師会という組織がありますが、これは強制ではありません。従って、医師会に所属していない医師は存在します)
これに対して認定番号とは司法書士独特のもので、簡易裁判所の代理権を行使できるのは認定番号を持っている司法書士だけなのです。この番号を持っていない司法書士は業者と和解交渉が出来ません(法律で禁止されています)。具体的には任意整理や過払請求などの仕事が出来ないことになります。要するに司法書士とは資格の中に、もう一つ資格があり、認定番号を持っている司法書士は、そうでない司法書士に比べて出来る仕事の範囲が広いということになります。
では、認定番号は、どのような経緯で取得するかと言うと、司法書士試験に合格した後、更に特別研修というものを受け、その研修終了後に行なわれる認定試験に合格すると認定番号が与えられます。
認定番号は6ケタになっていて、左端の番号が何回目の認定試験に合格したのかを表しています。(試験を受けた回数ではありませんので注意して下さい) 認定試験は第1回が平成15年に行われています。例えば、この第1回の試験で番号を得た場合は認定番号の左端が1から始まっています。
2回目の認定試験は平成15年の末頃に行われ、合格発表が平成16年です。この時に番号を得たら左端は2から始まっている訳です。(ちなみに私は、この時に合格しましたので左端の番号は2です)
何故、このような説明をしてきたかと言うと、よく広告やホームページで事務所の紹介や司法書士の紹介がされていて、その中で合格年度や開業年度は書かれているけども認定番号を取得した年度は書かれていないケースがあります。そういう場合でも番号のルールを知っておけば、いつ頃に認定を得たのかが分かりますから、知っておいて損は無いでしょう。
認定を得た後に開業した司法書士ならば、開業と同時に債務整理を始めることが出来ます(もちろん本当に始めるかどうかは司法書士によって異なります)。しかし、開業はかなり古いけど認定は最近だとしたら、その司法書士の債務整理の経験は古いとは言えない訳です。随分と古くから開業しているから、経験豊富なんだろうと思ったら、とんだ勘違いをしてしまう可能性があります。
あと、大型事務所の場合、広告に載っている人と実際に担当する人が違う可能性があります。その場合は、実際に担当する人が、いつ認定を取得したのかは判断の材料となるでしょう。(もちろん取得が古いからと言って、それで全ての司法書士がベテランだと言ってる訳ではありません。中には古くても経験の浅い司法書士もいるでしょう。しかし、取得が最近ならば、少なくとも経験豊富とは言えないという予測は成り立つでしょう。)
では、次回は「自分の担当は誰なのか」について考えてみましょう。
12月
08
2009
ご無沙汰しておりました。年末にかけて大変、忙しかったので、しばらくブログをサボっておりました。定期的に読んで頂いていた方には申し訳ありません。
さて本日は重要なニュースが飛び込んできたので、こちらから。
先月くらいから武富士が貸出を事実上ストップしているという情報が入ってきました。自社でかかえる優良顧客に対しても貸出を抑えているそうです。理由は格付けを下げられた為に資金繰りが苦しくなり、とにかく手持ちの現金を確保することに専念しているということです。アイフルのような私的整理に進む可能性も否定できなくなってきました。(好意的に見れば、そうならない為に貸出を抑えたという見方もできますが)
いずれにしても、武富士と言えば、かつては業界トップに君臨した貸金業者です。(ちなみにアイフルもトップになったことがありますね)。まさに貸金業界総崩れの様相を呈してきました。
このような状況をふまえて最近の過払金事情を説明しましょう。
今年の夏頃から業者の過払金の支払いが急激に(本当に急激に)悪化しました。今までは支払いの遅れや減額は中堅業者に留まっていたのですが、それが主要業者(武富士、アコム、アイフル、プロミス)にも一気に広がってきたのです。これらの業者は顧客の数が中堅業者とは桁違いなので、与える影響は甚大です。具体的には以下のような悪影響が出てきています。
まず、訴訟をせずに任意での返還請求に応じる確率が極端に減りました。例え応じても、かなりの減額を覚悟しなければなりません。あるいは希望額を取れたとしても、かなり遅い支払期日になってしまいます(武富士は今、平均で半年後くらいになってきています)。それでも、一括で支払ってくれば良い方で、分割払いを要求されることも珍しくありません。(債務者の支払いではありませんので勘違いしないで下さいね。貸金業者が過払金を支払うのに分割にしてくれと言ってくるのですよ)
従って、現状では満額取ろうと思ったら、9割以上の確率で訴訟になります。だから裁判所が、かつてないほどに混雑しています。今まで訴訟前に終わっていた案件が、ことごとく訴訟になってしまうのですから無理もありません。裁判所が混雑すると裁判期日が後ろに押されていきますから、こちらの方も遅くなっていきます。まさに踏んだり蹴ったりの状況です。(そんな訳で私も毎日のように、どこかの裁判所に顔を出しています。だから忙しかったんですね)
今までスピードを売りにしていた事務所は、かなりの痛手を受けているのではないでしょうか。もし、現在でもスピードを売りにしていたとしたら、それは満額回収していない可能性が高いですから、よく説明を聞いた方が良いでしょう。
どうやら、過払バブルと呼ばれた時期も終わりに近づいたようです。少なくとも、大型事務所が新人弁護士や新人司法書士を、たくさん雇ってベルトコンベアーのようにマニュアル通りの対応で大量に迅速に処理するというビジネスモデルは、もう成立しないように思います。(このモデルが成立する為には、各事件が簡単に早く解決できるというのが絶対条件ですから)。
今後、大型事務所は債務整理から手を引き始めるのではないでしょうか。顧客集めの為にかけた大量の広告費(TVコマーシャルや電車広告など)は、手間がかかるようになったら回収するのが難しくなります。こういうコストは大型事務所ほど大きな負担になって跳ね返ってきます。「環境が激変した時は大きなものほど対応が遅い」のは良く言われることです。
また、依頼者の側から見た場合、今後は「早く回収したいならば減額もやむを得ない」という覚悟は必要だと思います。依頼する時に、その辺りの説明は事務所に、しっかり聞きましょう。