司法書士ジャーナル
橋本司法書士事務所ブログ

7月 22nd, 2010

7月 22 2010

シリーズ 多重債務からの脱出⑦ ギャンブル

 本日はギャンブルについて考えてみましょう。

 世間では良く、「多重債務になる人の、ほとんどはギャンブルで借金を増やしてるんだろう」という思い込みがあります。もちろん、そういう人がいないとは言いませんが、実際に相談を受けているとギャンブルで多重債務に陥った人は、むしろ少数派です。大半の人は、急激な収入の減少に節約意識がついていかなかったというパターンです。しかし、少数派と言ってもギャンブルは、その人自身はもちろん、家族にも深刻な影響を与えることが多いので、やはり目立ってしまうのです。

ギャンブルが止められない人には、ギャンブルが、いかに勝つ確率が低いかを分かって頂きたいと思います。(と言っても、これを理解してもらうのが非常に困難なのですが)

 例えば競馬と宝くじを例に説明しましょう。まず、テラ銭の存在を意識していない方が大勢います。テラ銭とはギャンブルの主催者に対して支払う一種の手数料ですが、この手数料が他の業種と比べてギャンブルの場合、非常に高く設定されています。競馬の場合は約25%と言われています。ということは、購入された馬券の金額の総額から強制的に25%差し引かれた金額を当たった人で分け合っている訳です。

これを見て、「何だ75%も配当されるんだ」と思った人は中央競馬会の思う壺にはまっていると言えるでしょう。何故なら、競馬場に行って一つのレースだけで帰ってくる人は、ほとんどいないからです。通常、一日のうちに複数のレースに賭けるでしょう。ということは、競馬場に詰め掛けた人全体の持ち金が一つのレースが終わった後には、何と当たった人も含めて75%に減ってしまうことを意味します。これは一つのレースだけの現象ですから、次のレースが終わった後には75%の更に75%で、最初の金額から見ると56%に減ってしまいます(もちろん当たった人も含めてです)。これが3つ目のレースになると最初の42%と半分以下になっているのです。4レース、5レースと重ねていくとどうなるか、もうお分かりですね。

このように競馬というのは主催者(中央競馬会など)にお金を貢いでいるようなものだということが、お分かり頂けると思います。

 宝くじに至っては、競馬よりもひどい搾取の構造がまかりとおっています。ジャンボ宝くじのテラ銭は何と約50%にもなるのです。途端に買う気が失せてきた人も多いのではないでしょうか。要するに市場で販売されている宝くじを全て買い占めても、当選金は買占め額の半分程度にしかならない訳です。まさに消費者金融など顔負けの恐るべき暴利のシステムが宝くじなのです。

また当選確率が天文学的に低いのも宝くじの特徴です。1等が当たる確立は約1000万分の1と言われています。こんなものに当たってしまったら、これからの運を使い果たしていないか心配になりそうです。

 以上、見てきたように多くのギャンブルが、いかに主催者が儲ける為のシステムになっているかが、お分かり頂けたでしょう。ギャンブルの勝利者とは要するに主催者なのであって(彼らは一切のリスクを負わないで巨額の利益を上げています)、参加者は時間をかけて損をさせられる側になるのです。このことに気付くと、ギャンブルに対しても冷静に考えられるようになって頂けるのではないでしょうか。

 さて、次回からはシリーズを改めて、変化が激しい債務整理の最新の状況について取り上げたいと思います。