7月 27 2012
個人再生をもっと活用しよう
個人再生の申立件数は、全国の裁判所の発表を見ると、だいたい破産申立件数の10分の1くらいになっています。私は、これは少なすぎると考えています。
何故なら、個人再生は破産に無い多くのメリットがあるからです。例えば、
1 完全に支払不能の状態ではなくても申立が可能。個人再生の申立要件は「支払不能の恐れがある」状態です。
2 免責不許可事由が無い。100%ギャンブルで作った借金でも法的には制限が無い。
3 手持ち財産の換価手続きが無い。破産だと40万円以上の財産は換価しなくてはならないが、個人再生の場合は3年間の支払額の合計が手持ち財産の価格以上ならOK。その支払いも給料から支払えば財産の換価は不要。
4 何と言っても一番のメリットはこれ。住宅ローン特則が使える。これを使えば住宅を維持したまま、他の借金だけ減額できる。
5 小規模個人再生の場合(9割がた小規模個人再生です)、制限期間が無い。破産は一度免責を得ると7年間は申立が出来ないが、小規模個人再生の場合は、このような制限期間が設けられていない。
以上のように、様々なメリットが個人再生にはあるにもかかわらず、何故、申立件数は破産の10分の1しか無いのでしょう。これは、私は、多くの司法書士や弁護士の怠慢にあるのではないかと考えています。
私は愛知県司法書士会で、新人向けの個人再生の講義をしていた時期があります。この時に、破産に比べて個人再生の講義を引き受ける司法書士が圧倒的に少ないという事実がありました。単刀直入に言って経験者が少ないのです。実は債務整理の看板を掲げている事務所の中にも、実際には個人再生を経験したことが一度も無いという人が結構いるのです(この点は弁護士も同じだということを、ある弁護士さんから聞いたことがあります)。
最初は誰でも経験が無いのは同じです。しかし、新人でも1年もたてば、破産や過払金請求は一通り経験して出来るようになっていきます。ということは、個人再生の経験者が増えないのは別の原因がありそうです。ようするに、意識的に個人再生を避けている人が多いということです。
個人再生は債務者にとっては様々なメリットがありますが、扱う司法書士にとっては専門的で難しい部分が多くあります。また破産と違って手続きが長期間かかるので事務的にも大変です。そのような理由で避けられる傾向があるのでしょう。しかし、これは本末転倒です。
もちろん個人再生の条件に当てはまらない人は断っても仕方がありません。しかし、明らかに条件に当てはまっているにもかかわらず、他の事務所で断られたので私の事務所に来たという相談者がいるのです。このような状態だから申立件数が伸びないのでしょう。
少なくとも債務整理の看板を掲げている事務所は、条件に当てはまる人を断ることが無いようにして欲しいものです。
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