11月 01 2012
私の履歴書⑤ 学生時代(4)
さて学生時代の、もう一つの課外活動と言えばアルバイトでしょう。実はアルバイトに関しても、私はクラブ活動に関係のあることをやっていました。ゴルフに関係あるアルバイトと言えば、そうキャディです。
いろいろなアルバイトの経験のある人でも、キャディをやったことがあるという人は、かなり少数派なのではないでしょうか。そういう意味では良い経験をさせてもらったと思います。(当時は大変だと思っていましたが)
実はキャディという仕事は現在は少なくなっています。セルフカートと言ってプレイヤーが自らカートを動かしてプレーするのが標準になってしまったからです。今だとキャディ付きでプレーする人は、お金持ちか会社接待かしか残っていないかもしれません。しかし、私の学生時代はセルフプレーは、ごく少数で、一般客はキャディ付きでプレーするのが当たり前でした。
所属していたサークルがコネのある福島県のパブリックコースがあって(那須国際カントリークラブと言います)、そこでは、土日の客が増えた時に増えた分を学生アルバイトキャディに任せていて、毎週末に希望部員を募集しては行っていたのです。
前にも書きましたが、ゴルフコースは大人の社会です。学生だからと言って甘えは許してくれません。お客さんはアルバイトキャディだからと大目には見てくれませんので、粗相があれば容赦なく苦情が入り、後で叱られます。そういう意味で緊張感のある仕事でした。
キャディと言うと、当然、コースに詳しくなければなりません。お客さんからコースについていろいろ聞かれますから。でも1年生のころは何も知りませんので、先輩から受け継いだコース攻略法のメモがあって、それを必死に覚えます。もちろんキャディをやっている最中にも持ち歩いて、時折、盗み見をしながら質問に備えたりします。
このメモが良く出来ていて(何年もかけて作られたものですから)、次のショットに有利なポジションとか、グリーンの芝生の芽とか、隠れているOBゾーンとか、かゆいところに手が届く内容になっていて、得意になって説明して、結構、お客さんに喜ばれたりしていました。(当時は景気が良くて、チップをもらったことも何回かありました)
しかし、体力的には結構、大変で、がけの上から「7番アイアン持ってきて」とか、林の中に打ち込まれると「先に行って探してきて」とか容赦なく言われます。あと、お客さんごとにクラブの種類を覚えるのが大変で、だいだい4人1組で回りますので、4種類のウッド(当時はメタルウッドは、ほとんど普及していません。大半がパーシモン(柿の木)です)、アイアン、パターを覚えこんで、使う度に正確にバッグに戻さなければなりません。
印象に残った経験と言えば、途中で雷が鳴ってきて(ゴルフに雷は天敵です)、サイレンが鳴って、「クラブハウスに引き上げて下さい」とアナウンスが聞こえてきても、一向にプレーを止めないお客さんに付いた時は、死ぬかと思いました。「引き上げた方がいいですよ」と何回言っても聞かないのです。結局、最後までプレーして、クラブハウスに着いた時には、一緒に来ていた他のキャディは、みんなとっくに引き上げていて、「まだやってたの、雷、鳴ってたのに」と驚かれたのをはっきりと覚えています。
サークルが、このアルバイトを何年も続けてきたのは実は理由があって、キャディの仕事が終わった後、なんと無料でコースをラウンドさせてもらえるという特典が付いているからなのです。これは魅力的で、給料よりもこれが目当てで参加している部員も大勢いました。もちろんゴルフバッグは自分でかついで回ります。時間は日暮れまでオーケーなので、夏に行くと結構、長い時間プレーできます。
金曜日の夕方から出かけて2泊3日で日曜の夜に帰ってくるパターンです。土日にキャディとおまけのラウンドをして、給料はだいたい2万円くらいです。交通費もだしてもらえます。運がよければ、さらにチップがもらえることもあります。お金をもらって、さらにゴルフもして帰ってこれるという今、考えたら結構、良い条件のアルバイトですね。
ただ、このアルバイトも今年、40周年の同窓会に行った時に、現役部員に聞いたら、今はやってないということでした。恐らくセルフプレーが主流になって、キャディの仕事自体が今は減っているのでしょう。そうするとアルバイトキャディという存在自体が無くなっている可能性があるので、非常に貴重な経験をしたんだなあと感慨深いものがありますね。









