司法書士ジャーナル
橋本司法書士事務所ブログ

2012年10月

10月 22 2012

最近のアコムの過払金請求について

今までは比較的、安定していたアコムの過払金の支払いでしたが、ついに「アコムよ、お前もか!」という展開になってきました。

最近では、空白期間の無い取引で、訴訟により請求しているケースでさえも、過払金元金の7割くらいの和解金額を提示するようになっています。これは単純に資金繰りの悪化と考えるしかないように私は思います。

何故なら、空白期間の無い取引である以上、主だった争点は無いわけで、少なくとも元金部分に関しては、アコムが訴訟で勝てる見込みは、ほとんど無いのです。既に訴訟に持ち込まれている以上、悪あがきをしても判決では勝てないでしょう。それでも元金カットを要求してくるということは、背に腹は代えられない事情があると考えるのが自然でしょう。

しかし、これでアコムから元金も回収できないと思うのは早合点でしょう。とにかく、訴訟ではダメもとで抵抗して相手に圧力をかけて、ひょっとしたら急いでいる人なら減額に応じてくれるかもしれないという作戦である可能性も高いからです。

特に急いでいない人なら、じっくりと時間をかけて判決で勝っていけば、アコムは支払う可能性が高いのではないかと個人的には思います。何故なら、やはりバックに大手銀行がついているからです。ただ、その大手銀行からも、「簡単に支払うな。少しは抵抗しろ。」という指令が出ている可能性もあります。

もはや、割と素直に元金を支払ってくる消費者金融は、レイク(新生フィナンシャル)くらいになってしまいました。クレジットカードも最近は、分断を主張してくるようになっています。まさに過払金を取り巻く情勢は厳しくなりつつあるようです。

10月 18 2012

私の履歴書④ 学生時代(3)

日本の大学生活と言えば、欠かせないのがサークル活動とアルバイトではないでしょうか。正直なところ、日本の大学生が大人になるのは、教室ではなくて、課外活動の方が影響が大きいのではないかと、多くの人が思っていることでしょう。私も、この点は例外ではありません。(課外活動を全くしなかった人は、就職でも不利になるというのは、あながち的外れとは言えないでしょう)

私はサークルでは、ゴルフの同好会に入りました。大人になっても出来るスポーツがいいと思ったのがきっかけです。残念ながら現在、腰痛のため、ゴルフは休んでいますので、当初の目的は達成されていませんが。私が入ったゴルフサークルは今年、結成40周年の同窓会が行われました。サークルの割には長く続いているので驚いています。

最初は、気軽な気持ちで入ったのですが、結構、厳しいので後で後悔しました。ゴルフというのは嫌でも大人の社会に入っていきますので、今、考えるとためになることも多かったです。

例えば、月例会という月に1回コースに出て成績を競うコンペがあるのですが、学生ということで、当然キャディなどつけられません。また現在のようにゴルフ場にセルフカートの備えが、ほとんど無かった時代なので、ゴルフバッグは自分でかついでプレーするのです。社会人になってからゴルフを始めた人は、自分でバッグを担いでプレーするというのは考えられないんじゃないでしょうか。(これが原因で、入部当初はたくさんいた女子部員が、半年後には半分以下になっています)

一応、サークル活動なので、ほとんどの部員がフルセットを入れています。バッグの重さは10キロぐらいにはなります。しかも、ゴルフ場は学生に対して徹底的に厳しい要求を出していて、
1 学生は打ったら必ず走ること
2 一般客が追いついてきたら、先に行かせること
3 め土袋を必ず携帯して、打った後は必ず埋めること
(め土袋とは打った後のディボットという穴を埋めるための土が入った袋です。この袋を土で一杯にして各部員が持たされます)
などを、うるさいくらいに言われます。
当時、学生を入れてくれるコースは、それほど多くなかったので、同じコースに複数の大学が重なることもあり、上記のことを守らなかったという理由で、途中で帰らされた大学もあったと記憶しています。(ゴルフ場にとっては、正式な部活も同好会も区別する理由がありませんので、全く同じように扱われるのです)

よく事情を知らない人が「学生のくせにゴルフなんて生意気だ」などと気軽に言いますが、我々のやっているプレーを知っている人は、そんなことは言いません。そもそもテニスやスキーで生意気だと言う人はあまりいないのは、不思議ですよね。私に言わせればテニスやスキーのサークルよりは、よほど厳しい状態でプレーしていると思っています。

上記の指示を守りながらアップダウンのあるコースを10キロ近いバッグをかついで走り回るのです。しかも、学生はワンハーフ(1.5ラウンド)が当たり前という時代だったので、27ホール、距離にして約9キロメートルを、この状態で回ります。

学生を入れてくれるゴルフ場は関東では栃木県や群馬県まで行かないと、なかなか無かったので、東京からだと朝は午前3時とか4時とかに出発します。終わった後は、風呂は一般客が終わった後にしか入れません。途中、ファミリーレストランで夕食をして、帰りはいつも夜10時とか11時です。

まさに強行スケジュールで、体力を使い果たします。後、家から車を借りられる人は、さらに悲惨で、この状態で行き帰りの運転をし、最後に車の無い人の家に送り迎えなどもあります。

また年に2回、春と夏に合宿がありました。合宿は5泊6日でゴルフ場にある宿泊施設に泊り込みます。上記のプレーを5日間やるわけです(最終日のみ18ホール)。終わった時はバタンキューで15時間くらい眠り続けたことがあります。

とても優雅とは言えない学生ゴルフですが、非常に社会勉強になった側面はあります。当時のゴルフ場にとっては学生は「客であって客でない存在」です。明らかに一般客とは区別した扱いですから、「あいさつの徹底」なども、うるさく言われます。生意気な年頃ですから、上級生から言われると素直に聞けないことでも、ゴルフ場から要求されていれば従わざるを得ません。そういう意味で鍛えられた部分はあると思います。

10月 09 2012

公正証書と強制執行

司法書士会で強制執行の研修があったので行ってきました。過払金を払わない業者が増えてきたので、最近では強制執行も身近になってきて多数の参加者で会場はほぼ満員でした。

私も強制執行は何度もやっていますので、まあまあベテランの方だと思っていました。確かに研修の大半は知っていることだったので、少し退屈をしていましたが、中には掘り出し物の情報もあり、本日は、その中の一つを紹介しましょう。

公正証書というものがあります。公証人役場というところに行って、公式に約束を証明してもらうものと考えて頂ければ良いでしょう。この中でよく使われるものの一つとして、執行受諾文付公正証書というものがあります。少し長いので省略して執行証書と呼ばれます。

執行受諾とは、もし、この約束を守らなかったら強制執行されても文句は言いませんという取り決めのことです。この取り決めが書かれている公正証書のことを執行証書と呼びます。具体的には、離婚の時の養育費や慰謝料についての執行証書、個人間の貸金についての執行証書などが代表的です。

この執行証書を作っておくと、非常に有利なことがあります。それは、いざ相手が約束を守らなかった時に、いちいち裁判をしなくても、いきなり強制執行が出来るという点です。これだけ有利な点があるからこそ、執行証書は頻繁に作られ利用されます。

しかし一つ問題があります。強制執行をする時には、この執行証書を相手方に送達(郵便で送り受け取りの証明をもらう)しなくてはなりません。強制執行をするということは相手方が約束を破っている時ですから、当然、相手方は警戒しています。そんな時に執行証書が送達されてきたら、「これはヤバイ」と思って金目の物は隠してしまう恐れが充分にあるわけです。

これを防ぐために、執行証書は予め作った時に送達してしまった方が良いということなのです。作った時に送達してしまえば、強制執行の時に改めて送る必要はありません。これなら、文字通り、いきなり強制執行をすることが可能となります。

公正証書を作る時は、相手方も一緒に公証人役場に行って中身を確認したりすることも多いので、それなら、すぐに同じものを送達しなくても良いだろうと考えて、送らない人が多いらしいです。これが後になって、影響が出てくる可能性があるわけです。(弁護士でも気付いていない人が、いるそうです)

いや、良い情報を聞けたと思っています。こういうことがあるから、知っていることでも研修には出た方が良いなと感じます。

10月 03 2012

生活保護と自己破産

長引く不況のため、生活保護の申請をする人が増えています。最近、何かとマスコミで話題になっている生活保護ですが、もちろん、不正受給は非難されて当然です。これについては厳しく取り締まる必要があるでしょう。

しかし、一方で本当に必要な人には、きちんと受けられるようにするのも重要なことです。ようはバランスの問題ですね。「生活保護など無くしてしまえ」というのも極端で間違っていると思いますが、逆に、「審査を甘くして、片っ端から通してしまえ」というのも同じように極端で国民の理解を得られないでしょう。

ここでは借金と生活保護の関係について説明してみたいと思います。結構、知られていないのですが、借金をかかえていると生活保護が受けられないのです。これは、明確な理由があって、生活保護は、あくまで本人の生活のためにつかってもらう費用なので、借金の返済にあてることは禁じられているのです。

まあ、考えてみると、借金の返済とは金融機関に、お金が移転することですから、せっかく、生活保護を与えても、それが右から左へ金融機関に払われてしまったら、何のために国家は生活保護を払っているのか分からなくなってしまいます。この点は、ご理解頂けるのではないでしょうか。

では、借金がある生活困窮者は、どうすれば良いのかというと、債務整理をすることになります。実際に、役所の窓口では、申請に来た人に借金があると、法律家に頼んで債務整理をしてもらって下さい、と言います。まずは借金を無くしてから、改めて申請に来て下さいということです。

この場合の債務整理とは、完全に借金が無くなるような整理のことを指します。従って、多くの場合は自己破産になるでしょう。もちろん、過払金が発生していた場合も借金は無くなりますが、この場合は、新たに過払金が返ってくるので、生活保護を受ける必要がなくなる可能性があります。

このように生活保護と自己破産というのは、結構、切っても切れない関係にあるのです。

10月 01 2012

私の履歴書③ 学生時代(2)

大学は文学部出身です。法律とは全く関係がありません。そもそも学生の時は、自分が将来、司法書士になるなんて想像もしていませんでした。当時は司法書士という資格の存在すら知らなかったと思います。文学部から資格試験を受ける人は、あまりいませんので、そういう情報にも詳しくなかったのです。

私が学生時代を過ごした80年代前半は、女の子は圧倒的に文学部を選択していた時代です。女性で法学部や経済学部、ましてや理系などは非常に少なかったのを覚えています。(別に、これが文学部を選択した理由ではありませんので、念のため)。当時は、明確にやりたいことが決まっている人以外は、女性のほとんどが文学部を受験したんじゃないでしょうか。ということは、当時の文学部は女性の秀才が集中して集まってくる傾向があったので、他の学部と比較しても簡単ではなかったと思います。

私が文学部を選択した理由は、第一には歴史が好きだったこと(日本では歴史は文学部に属しています)、第二はサラリーマンにあまり興味が無かったことです。(今は違います。今となっては、一生サラリーマンでなくても、人生の一部でもサラリーマンの経験をしておけば良かったなと思っています)。

当時は(恐らく今でも)、文学部は就職が悪いので有名です。何で文学部は就職が悪いんでしょうね。私には理由が分かりませんが、別に法学部や経済学部の卒業生が自分よりも、法律や経済に詳しいと思ったことは、正直あまりありませんので、ただの偏見ではないのかと思っています。しかし、現実問題として、就職が悪いのは事実です。(比較的、就職に強いと言われているウチの大学でも、文学部はあまり良いとは言えません)。

先ほどの第二にの理由が、これで説明できます。サラリーマンを目標にしている場合は、文学部は避けるのが当時の常識だったのです。だから、文学部は男性からは敬遠されました。それで、余計に女性比率が高まってしまうのです。

法律や経済に当てはまらない文系の学科は、日本では、ほとんど文学部につっこんでしまうという無茶苦茶な状態になっています。だから、「これって文学部なの」という学科も、たくさんあります。哲学、心理学、歴史学、人類学など、他の国の大学なら独立した学部になっていそうな学科が全て文学部になっているのです。これは日本の大学がサラリーマン養成学校になっている証拠ではないかと思っています。

ようするに、サラリーマンとして就職を目指す人は法学部や経済学部、商学部などに行きなさい、そうでない人は、まとめて文学部に行けば良い、という発想です。大学は興味のある学問をやる場所とは、大学関係者自体が考えていないという、良い例ではないでしょうか。こういう発想に反発して文学部に行ったという側面も私にはあるのです。

ちなみに、私は大学ではイキリス史を専攻しました。歴史に興味があったので、それ以外にもアメリカ史やフランス史の講義なども取っていました。もちろん日本史も好きですが、高校までに散々やったので大学では西洋史を中心に講義を受けていました。

それ以外に、社会に出てから必要だろうと思って、自分で経済関係の本を、やたらと買って読んでいました。経済学部なんかに負けないという気持ちも多少あったと思います。結局、大学を卒業する頃には、経済学部の人間と話をしても全く困らなくなる程度にはなりました。分野によっては私の方が詳しいと思うものもありました(ジョン・メイナード・ケインズなど)。でも法律の本は読んでいなかったですね。何故でしょう。当時の私は必要性を感じていなかったことになりますが、今となっては忘れてしまっています。タイムマシンでもあったら、当時の私に質問してみたいです。