司法書士ジャーナル
橋本司法書士事務所ブログ

9月 16th, 2014

9月 16 2014

ギルドの不当請求について

以前に何回かブログ記事で取り上げた貸金業者ギルドの件ですが、ここへきて再び請求が活発になっているようです。懲りない業者ですね。会社の実情が、それだけ苦しいことの裏返しだとは思いますが、だからと言って放置しておくわけにもいかないので、繰り返しになりますが注意喚起したいと思います。

まず問題になっているのは、貸金業者に対する債務は5年で消滅時効にかかり支払う必要が無くなるのですが、この会社は既に時効にかかっている債務であるにもかかわらず、そのことを債務者に知らせずに請求書を送りつけてくるのです。(一応、法的には知らせる義務はありませんので、これ自体を違法だと責める訳にもいかないのです。)

困ったことに何割かの債務者は、強硬に請求されると支払ってしまう場合があります。(だいたい請求書には、支払わないと法的措置を取るという脅しの文句が書いてあります)。ところが支払ってしまうと、法的に時効が主張できなくなる可能性があるのです。この辺りの説明は一般の人には難しいと思いますので、とりあえず、「ギルドの請求どおりに一部でも支払ってしまうと、後になって、時効だから支払わないという主張が通らなくなる可能性がある」ということだけ覚えておいて下さい。当然、ギルド側はこれを狙っている訳です。

ならば無視して放置しておけば良いのかというと、最近はさらに悪質になり、貸金訴訟を本当に起こしてくるケースが増えているようなのです。訴訟を起こされた場合、裁判所から何らかの書類が届きます。この段階で司法書士などに相談に来て頂ければ良いのですが、万が一、裁判所から届いた書類を放置しておくと大変なことになってしまいます。

裁判制度では、「何も反論せずに放置しておいた場合、放置した側が無条件に負ける」という構造になっているのです。従って、この場合、本来、時効で支払う必要の無かった債務者が負けることになります。これは、裁判の構造が、「何も反論しなかった人は、相手の言い分を認めたのだ。」という仕組みになっているからです。もともと裁判制度自体が西洋の制度を取り入れて発達してきたものなので、構造が西洋的になっているのです。日本式の以心伝心は全く通用しないのが裁判制度なのです。

実際に事務所で受けた相談の中にも、裁判を放置していた為に負け判決を取られて、その結果、給料を差し押さえられてしまったという悲惨な例もありました。差し押さえられた段階では、もう裁判は終わっていますので、この段階で相談されても正直、打つ手がないということになってしまいます。

従って、裁判を起こされたら必ず反論しなければなりません。この場合は、「既に時効が完成しているので支払いません。」とはっきりと主張するということになります。

他にもこの問題を複雑にしているのは、ギルドという会社が吸収合併や商号変更などを繰り返してきた会社なので、借りた本人がギルドという会社名を認識しておらず、「自分は、こんな会社から借りた覚えは無い。きっと架空請求だろう。架空請求なら無視するのが一番だ。」と考えて放置した結果、先ほどのように負け判決が出て、給料の差し押さえをされてしまう場合があることです。

ギルドという会社は古くは3つの会社に分かれていました。
信和(スマイル)、山陽信販、ハッピークレジット(スカイ)の3つです。
これらが合併してトライトという会社が出来ました。このトライトが何と2回も商号(会社名)を変更します。
トライトは後にヴァラモスになり、ヴァラモスは後にギルドとなるのです。

このような複雑な変遷をたどっているために、過去に借りていたことがあったにもかかわらず、借りた時の名称とは異なるギルドという名前に覚えがない為に架空請求だと勘違いしてしまうケースが後を絶たないのです。

いずれにしても、多くの場合、きちんと法的な時効完成の主張をすれば請求は止まります。もし裁判を起こされていても、判決が出る前ならば、時効の主張をすればギルド側が負けるケースが大半だと思われます。これらの法的な主張を自分でやるのは心配だと思われる人もいるでしょう。その場合は、事務所にご相談下さい。

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