司法書士ジャーナル
橋本司法書士事務所ブログ

9月 25th, 2025

9月 25 2025

民事事件の事項は海外滞在中も進行する 時効(149)

Q 時効には種類があるのですか?

Q 刑事事件の公訴時効とは?

A 刑事訴訟法で決められていて、公訴時効を過ぎると検察官が起訴できなくなります。映画やドラマでお馴染みだと思います。公訴時効は海外在住期間は時効が進行しません。いわゆる「逃げ得」を防ぐためと言われています。

Q 民事事件の取得時効とは?

A もともと所有者ではない人が、一定期間動産や不動産を占有していると所有者として認められるという制度です。ただし元の所有者を強制的に排除して占有していても取得時効は認められません。「平穏公然善意無過失」な状態で占有するのが条件です。

Q 取得時効における平穏・公然・善意・無過失とは?

A 平穏とは暴力などにより強制していないということ、公然とは皆に分かるようにしている秘密にしていないということ、善意とは自分に所有権があると信じていること、無過失とは占有に過失が無いことです。

一見、難しい条件に見えますが、「平穏・公然・善意」については民法186条によって推定が働くため、時効取得者からの立証は不要です。時効取得に反対するものから反証をする必要があります。一方、無過失については推定が働かないので、時効取得者が立証する必要があります。

Q 民事事件の消滅時効とは?

A 債権などの権利が、債権者が何もアクションを起こさないで放置した場合、一定期間で消滅することを言います。理由は「権利の上に眠るものを法律は保護しない」という考え方があるからです。

Q 民事事件の取得時効と消滅時効は海外滞在中はどうなりますか?

A そのまま進行します。民事事件の時効は、取得時効でも消滅時効でも、時効の利益を受けるものが海外滞在中であっても変わらず進行します。

Q なぜ民事事件の時効は海外滞在中であっても進行するのですか?

A その理由としては、時効の利益を受けるものが海外滞在中であっても、時効をストップさせるために裁判を起こすことが可能だからだと考えられます。民事裁判には公示送達という制度があり、相手が行方不明の場合でも裁判を進行させる手続が存在します。

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