司法書士ジャーナル
橋本司法書士事務所ブログ

2025年8月

8月 27 2025

みなし貸金業者は信用情報には載らない

みなし貸金業者とは?

昔、貸金業者だったけれど、現在は回収だけしていて貸付業務をしていない業者のことを「みなし貸金業者」と言います。

出資法が改正されて利率が下がってから、消費者金融の多くは衰退して廃業したり、みなし貸金業者になったりしました。従って、みなし貸金業者は現在では珍しくありません。代表的なみなし貸金業者としてはギルドやクレディアなどがあります。

みなし貸金業者は貸金業登録ができない

貸金業として登録できるのは貸付業務を行っている業者だけです。回収だけ行っている業者は実態は貸金業者ではありませんので、貸金業登録ができません。貸金業者ではないのに貸金業者のように見えるので「みなし貸金業者」と呼ばれるわけです。

貸金業者でないと信用情報にアクセスできない

これは意外に知られていないのですが、みなし貸金業者は信用情報に登録することもできませんし、アクセスすることもできません。JICCやCICなどの信用情報機関からすると、みなし貸金業者は無関係の第三者になります。登録もアクセスもできないのですから、信用情報とは無関係になります。

信用情報を調べても借金の全体像が分かるとは限らない

みなし貸金業者は信用情報に載りません。でも回収業務はしているので借金は残っています。つまり、みなし貸金業者に対して借金がある場合は、請求されない限り、信用情報を調べても発見できないのです。ですから信用情報に出てこなかったから「もう借金は無い」ということにはならないということです。

債権回収会社もみなし貸金業者と同じ

〇〇債権回収と言う名前の債権回収会社からの請求も最近増えています。

この債権回収会社も貸付は行わず回収だけを行っていますので、みなし貸金業者と同じ特徴があります。すなわち「信用情報に登録もできないしアクセスもできない」ということです。債務者からすると借金の請求をしてくるので貸金業者と同じように見えますが、例え借金があったとしても信用情報に載ることはありませんので注意しましょう。

事故情報について、より詳しい情報が知りたい場合は以下をクリック

ブラックリストのページ(債務整理サイト) 

8月 20 2025

親が認知症の時の消滅時効の援用 時効(147)

認知症の親の借金の請求書が届いた

「認知症の親の借金の請求書が郵便で送られてきて驚いた」と言う相談は結構多いです。「認知症なので事情を聞くことも出来ず、どうしていいか分からない」と残された家族はパニックになりがちです。でも解決方法はあります。

親が認知症の時、子どもは時効の援用ができるのか?

その借金が5年以上放置されていた借金ならば、時効援用通知を出すことで請求を止める方法があります。しかし、あくまで親の借金なので、そのままでは子どもが代わりに通知を出すことも専門家に依頼することもできません。

まずは成年後見人を付ける

親が認知症になってから法律行為をするには、家庭裁判所で成年後見人を選任してもらう必要があります。通知を出すのも専門家に依頼するのも法律行為なので、時効援用するためには成年後見人の選任申立をする必要があります。後見人が選任されたら、その後見人から通知を出したり専門家に依頼することが可能になります。

成年後見人の申立は家族が申立人になれる

成年後見人の選任申立は家族が申立人になれます。ですから子どもが自分で申し立てても良いし、専門家に申立てを依頼することもできます。

成年後見人は家族がなれるとは限らない

成年後見人選任申立書には「後見人候補者」という欄があります。恐らく一般の方は「この候補者の欄に家族の氏名を書いておけば家族が後見人に選ばれるのだろう」と考える人が多いと思います。しかし家庭裁判所は必ず家族を選ぶとは限りません。家族が選ばれないケースも結構ありますので覚悟しておきましょう

家族が選ばれないケース

家族が選ばれないケースとして比較的多いのが、認知症の方の財産がそこそこ多い場合です。しかし時効の援用を考えているということは認知症の親には借金があるわけですから、財産が多いとは言えないでしょう。ですから家族が選ばれる可能性は通常よりは高いとは思います。それでも100%ではないことは覚えておきましょう。

成年後見人になったら時効の援用が終わった後も続けることになる

もう一つの注意点として、「時効の援用」だけのために後見人になることはできないということです。現在、後見人を途中で辞めることができるような法改正が検討されているという情報もありますので、将来的にはできるようになる可能性はありますが、まだ現実化はしていません。ですから後見人に選任されると時効の援用が終わった後でも後見人の仕事が残ります

消滅時効について、より詳しい情報が知りたい場合は消滅時効のページをクリック

成年後見について、より詳しい情報が知りたい場合は成年後見のページをクリック

8月 07 2025

アコムの任意整理の最近の対応 任意整理㊾

任意整理とは

任意整理とは司法書士や弁護士が仲介して業者と交渉し、将来利息のカットなどの有利な条件で分割和解契約を結ぶことを言います。

アコムの任意整理の特徴

アコムは消費者金融の中では任意整理に協力的な業者です。中小の消費者金融の一部は全く分割に応じない業者や、頭金を要求する業者もありますので、それらに比べると、任意整理で解決しやすい業者と言えるでしょう。

アコムの任意整理の分割回数は、どのくらい

基本は3年間(36回)ですが、長期間の返済をした後ならば5年間(60回)でも応じてもらえます。

逆に返済が短期間(1年未満)だったり、滞納を繰り返していたりすると、本来はカットしてもらえるはずの将来利息も要求される場合もあります。更に債務者の家計の収支について詳しく聞かれる場合もあります。

アコムの任意整理は契約書が2つに分かれることがある

債務者の取引がショッピングとキャッシングの両方がある場合、アコムの任意整理の分割契約書はショッピング用とキャッシング用の2つに分かれて作成されます。契約書の上では分割支払額も2つに分かれています。

しかし2つに分けて振り込んだら振込手数料が2つ分かかってしまいます。この点アコムに問い合わせると、「合計額を振り込んでくれれば良いです」という回答でした。

アコムが保証会社になっている時は注意

アコムは三菱UFJ銀行グループなので、三菱UFJ銀行のカードローンであるバンクイックの保証会社になっていることが多いです。この点、保証会社がどこかを知らないで借りている人も多いので注意が必要です。

注意すべきなのはアコムとバンクイックの両方から借りている場合です。このケースでアコムの任意整理をすると、バンクイックの保証会社も同時に任意整理する取り扱いになり、三菱UFJ銀行の債務者の口座が凍結されてしまいます。

なぜアコムの任意整理で三菱UFJ銀行の口座が凍結されるのか

この理由は「保証会社が債務整理をされた場合、銀行口座を凍結して、口座残高から返済を受けて良い」という決まりがあるからです。これについては、ほとんどの債務者が気付いていないので特に注してください。

ただし、アコムが保証会社になっているローンを同時に借りていなければ、このようなことは起こりませんので安心してください。

任意整理について、より詳しい情報が知りたい場合は任意整理のページ