8月
05
2008
前回からの続きです。申立以降の流れについて説明します。
最初の書類審査がOKになると1回目の面談日が決められます。名古屋地裁本庁の場合、通常は再生委員が選任されますので、面談は再生委員と本人、それに司法書士が付き添うことになります。名古屋地裁本庁では司法書士の付き添いが認められていて同席することが可能です。個人再生のような複雑な手続を本人だけでやられては指導するのが大変だというのが裁判所や再生委員の考えなのでしょう。ちなみに面談の場所は裁判所です。当たり前だと思わないで下さい。東京では再生委員の事務所(要するに弁護士事務所)で面談をすることが多いと聞きます。
面談では、いろいろなことが聞かれますが、圧倒的に多くの時間を占めるのが「支払能力があるか」と言う点です。この辺りは特定調停と似ていますね。この面談で再生委員のOKが出ると、再生委員が裁判官に対して「問題無い」という報告書を出します。そうすると裁判官は事務的に開始決定を出すことになっています。
ちなみに運良く再生委員が選任されなかった場合は、1回目の面談は直接、裁判官とすることになります。この場合も司法書士の同席は認められています。質問の内容やその後の流れは再生委員がいる場合と同じです。ただ一つメリットがあって、裁判官と面談した場合は面談が1回だけで済みます。これは大きなメリットです。
あと、本庁以外の支部裁判所や地方の裁判所だと、そもそも再生委員がいないので面談自体がありません。裁判官が面談できるじゃないかと思われるかもしれませんが、何故か裁判官も面談しません(するところもあるかもしれませんので、事前に調べた方がいいですね)。要するに、これらの裁判所だと書類審査だけで手続が進んでいくのです。従って、個人再生に関しては裁判所によって、本人や司法書士の負担が全然違ってきます。故に裁判所によって費用を変えている司法書士が多いようです(当事務所でも、そうしています)。
開始決定が出ると、債権者一覧表が各債権者に郵送されます。各債権者は一覧表に記載された金額に文句がある場合は、債権届を出すことが出来ます。債権届が出された場合、申立人は二つの選択をすることが出来ます。一つは何もせずに債権届の金額を認めることです。届けられた金額が債権額になります。もう一つは、債権届の金額に対して異議を出すことです。
異議を出すと、どちらの主張する金額が正しいのか決めなくてはなりませんから、その為の手続である評価申立が行われます。しかし、現実には異議を出すことは、ほとんどありません。何故かと言うと、500万円を超えない限り債権届を出されても総支払額に変化は無いからです。500万円までの支払額の決め方は、100万円または清算価値の、どちらか多い方ですから、債権額が変化しても支払額に影響がありません。利息制限法の利率に引き直した後の債権額が500万円を超えることは、めったにありませんから、異議を出すこともほとんど無い訳です。
このようにして債権届出期間が終了した後は、いよいよ2回目の面談になります。続きは次回に譲りましょう。
より詳しい情報を知りたい方は以下をクリック
↓
http://www.hashiho.com/debt/kojinsaisei/
7月
29
2008
6回目は、いよいよ個人再生申立以降の実際の流れについて説明しましょう。今回も名古屋地裁を例にして話をすすめます。
申立の際に必要なのが、申立書類一式(家計簿・財産目録・陳述書・債権者一覧表・清算価値算出シート・住宅特則を利用する人は弁済許可申立書)、証拠書類(第5回で説明した各種書類のこと)、債権者宛名シール(裁判所が債権者に郵便を送る時の為に提出)、債権者一覧表のコピーを債権者数分(開始決定が出た後で裁判所が各債権者に送る為に提出)、予納郵券(切手の事です)、収入印紙、予納金になります。
この中で予納金は、金額が大幅に変わる可能性があります。通常、名古屋地裁では再生委員という役職が選任されることになっていますが、この再生委員の費用が高い為に、予納金が10万円近くかかってしまいます。(と言っても首都圏よりは、これでも安い方です。いかに首都圏の費用が高いかが分かります)
しかし、事件の内容が複雑でない場合、再生委員が選任されない時があります。こうなると、予納金は3万円以下になりますので、ぐっと安くすみます。では、事件の内容が複雑でない場合とは、どのような場合かが当然、気になるところですが、残念ながら明確な基準はありません。その時、その時で裁判官が個別に判断しますので、出してみなければ分からないというのが現実です。まあ、あまり期待するとダメだった時にがっかりしますから、通常は再生委員がつくものだと考えておいた方が良いでしょう。
ここでちょっと補足しておきますが、郊外の支部裁判所や大都市圏以外の裁判所においては再生委員が選任されないのが普通です。何故かと言うと、再生委員にはたいてい地元の弁護士が選任されることになりますが、大都市圏以外は弁護士の数が少ない為、再生委員のなり手がいないからです。従って、上記の裁判所においては申立費用は大都市圏よりも安くなります。弁護士の都市偏在が理由で申立費用に10万円近い差が生じる訳ですから、これは大変に不公平な制度ではないかと私は考えています。
以上で申立は終了です。後は、裁判所が申立書類と証拠書類を審査します。名古屋地裁の場合だと1~2週間で審査の回答が送られてきます。郊外の支部裁判所だと審査期間はもっと短くて、早いところだと翌日のこともあります。
審査の結果、追加書類を求められたら追加書類を出すことになります。それで特に問題無いということになったら、いよいよ第一回の面談になります。
では、この後の話は次回に譲りましょう。お楽しみに。
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7月
22
2008
さて今回は、個人再生を裁判所に申し立てる際に最低限、必要になる書類について説明します。名古屋地裁の場合で説明しますが、三重県や岐阜県で申し立てた時の経験によると、それほど大きな違いはありませんでした。従って、他の裁判所の場合でも充分に参考になると思います。
まずは、市町村役場で取得する書類からです。
①戸籍謄本
②住民票(世帯全員分が必要。本籍と続柄の記載が必要)
③課税証明書(最近2年分が必要。税務課で取得)
④公的手当証明書(児童手当等を受け取っている人は必要)
⑤固定資産税評価額証明書(不動産を所有している人は必要。土地と建物の両方。税務課で取得)
次に他の役所で取得する書類です。
①不動産登記事項証明書(不動産を所有している人と、賃貸以外で他人の不動産に居住している人が必要。法務局で取得)☆例えば親の家に住んでいる人は、その家が自分の所有では無いということを証明する為に必要です。
②税金の滞納証明(滞納がある人は必要。税務署または県税事務所等で取得)
次は役所以外で取得する書類です。
①給料明細と源泉徴収票(給料明細は最近3か月分、源泉徴収票は最近2年分です)
②同居人の収入証明(給料明細や年金給付証明などです)☆支払いの責任があるのかと勘違いされる人がいますが、同居人に支払義務はありませんので、ご心配なく。裁判所から同居人に通知が来ることもありません。
③不動産の時価証明(不動産を所有している人は必要。不動産業者の見積書を2通出す)
④住宅ローン返済表(住宅ローン特則を使う人は必要)
⑤賃貸借契約書(賃貸に住んでいる人は必要)
⑥本人名義の銀行預金通帳、郵便貯金通帳(過去1年分が必要。おまとめ一括記帳がある場合は、その分の明細が必要)
⑦自動車の車検証コピー(複数ある場合は、本人と同居人の両方が必要)
⑧自動車の時価証明(登録後5年以内の国産車で、かつローンが残っていない場合に必要。外国者の場合は5年以上でも必要)
⑨退職金見込額証明書(退職金規定及び、それに基づいて自分で計算した試算表でも可)
⑩本人名義の保険証券(失くした場合は再発行可能)
⑪保険の解約返戻金証明書(保険会社に請求)
自分で作成して提出する書類
①家計簿(裁判所の書式に従って書く必要あり。基本的に手続終了まで毎月提出)
以上が最低限必要な書類のリストです。あくまで最低限なので、後から裁判所が追加書類の提出を求めてくることがありますので、ご注意下さい。
☆最低限と言っても、相当多いと思われたのではないでしょうか。実は私もそう思います。しかし、裁判所が要求している以上、愚痴を言っても始まりません。頑張って集めましょう。
7月
11
2008
本日は清算価値の続きです。私の地元である名古屋地裁の場合を例にして説明します。
まず自動車について検討します。地方だと自動車が無くては生活できないし仕事にも行けないという場合も結構あるので、なかなか悩ましい問題なのです。清算価値としては不動産の次に裁判所が注目する部分でもあります。
自動車もローンを組んでいる場合が多いので、このローンが問題になります。はっきり言うとローンが残っている場合、自動車はローン会社に引き揚げられてしまいます。住宅ローンのような特則は認められていないので、こればかりはどうしようもありません。自営業の方で仕事で使っている場合に特例が認められる時がありますが、必ずという訳ではありません。引き揚げられた後、ローンの残債から売却価格を引いた金額がローン会社の債権となり、個人再生の債権者の一つとなります。(自動車ローンの場合、車の残存価値がローンの残債を上回ることがほとんどないので、だいたい上記のような流れになります)
ローンが無い場合の自動車は、時価で清算価値に加えられます。民間業者で見積書を取って添付します。ただし、国産車の場合は特例があって、登録から5年以上経過していれば無価値とされ、見積書の提出は不要です。(軽自動車の場合は4年で無価値となります)従って、ローン会社に車が引き揚げられてしまった人は、生活にどうしても車が必要な場合は、5年以上の国産中古車を購入して頂くと良いかもしれません。(だからと言って高価な中古車を購入するのは、裁判所も黙っていないと思いますので注意して下さい。あくまで安い中古車を購入されることをおすすめします)
次に証券について検討します。これは、一部上場企業などに勤めている人に多いのですが、会社の持ち株が社員に割り当てられている場合が珍しくないのです。積立と同じように本人が気付いていないこともありますが、やはり給料明細に表れることが多いです。この場合、申立直前の株価を基準にして清算価値を算出することになります。
次に賃貸住宅の場合の敷金について検討します。破産の場合、敷金は部屋を出て行かない限り返還されない金銭と言うことで財産には含まれませんが、個人再生の場合は敷金も清算価値に含みます。注意すべきポイントです。
最後に退職金について検討します。退職金は「申立直前に自己都合で退職した場合」を想定して換算します。しかし、全額が対象になる訳ではありません。8分の1が清算価値になります。
以上が裁判所が注目する主な清算価値になります。気になる人は自分で計算してみましょう。
7月
08
2008
個人再生の3回目は清算価値について説明します。
清算価値とは個人再生独特の表現で、債務者の持っている財産の総額のことを指します。前回までのシリーズで、「清算価値が、債務額の5分の1または100万円よりも高ければ、個人再生で支払う額は清算価値の額になる」と言う話をしました。従って、清算価値がいくらになるかは支払額を決定する上で非常に重要です。清算価値を計算するには独特のルールがありますので、今回はそのルールを説明しましょう。
まず代表的なのは現金と預貯金ですが、これは単純に残っている金額になります。注意すべきは給料からの天引きで積み立てている場合です。天引きなので本人が忘れている時があるのです。給料明細を見ればすぐに分かりますから、依頼した後で専門家が気付いて本人がびっくりするというケースが良くあります。天引きと言うのは確実に毎月実行されますから、意外に高額の積立が発見されたりするのです。
次に裁判所が最も気にするのが不動産です。これは、時価からローンの残債を差し引いた金額が清算価値となります。オーバーローンの場合はマイナスになりますから清算価値は0円です。自分が住んでいる住宅にも、この法則は適用されますから、オーバーローンになっていなければ清算価値に含まれます。ちなみに時価に関しては不動産業者の見積書を2通用意して裁判所に提出しなくてはなりません。別々の業者から2通取って、その平均値を時価とします。
この時、注意するのは親の土地に子供が家を建てた場合です。このケースでは住宅ローンは家の建設資金だけですから、土地は関係ないと思ってしまう人が多いのですが、実は違うのです。何故なら例え家の建設資金であっても、住宅ローンの担保には家と土地の両方が入っているからです。家と土地はセットでなければ誰も買いませんから、銀行は必ず両方担保に入れます。その結果、清算価値を計算する時には、家と土地の時価の合計から住宅ローンの残債を差し引いて、残った金額を家と土地の時価の割合で比例配分することになります。具体的には、家の時価が500万円で土地の時価が2000万円、住宅ローンの残債が1000万円だったとします。この場合、家と土地の合計2500万円から住宅ローン1000万円を差し引いて1500万円になります。次に家と土地の時価の割合が1対4ですから、1500万円を1対4で配分した結果、家の分の清算価値は300万円になります。
このように親の土地の上に子供が家を建てた場合は清算価値が残る場合が多いので注意が必要です。
次に生命保険について説明します。生命保険は「掛け捨て」の場合と「貯蓄型」の場合があります。当然、清算価値に含まれるのは貯蓄型の場合です。貯蓄型の生命保険には解約返戻金というものが発生します。生命保険会社に電話して解約返戻金証明書を取得して裁判所に提出する必要があります。
この時、注意して頂きたいのが、契約者貸付の有無です。契約者貸付とは貯蓄型の生命保険から一定額を借りられる制度のことです。契約者貸付がある場合は、解約返戻金から貸付分を差し引いた金額が清算価値になります。ちなみに契約者貸付は借入とはみなされないので、個人再生や自己破産の債権者には含まれません。理由はちょっと複雑なので、ここでは書きません。債権者にはならないとだけ覚えておいて下さい。
少々長くなりましたので、今回はこれで終了です。次回は引き続き清算価値について説明します。
6月
23
2008
さて、今回は個人再生が、「どんな人に向いているのか」 の続きです。
個人再生を選択する人で圧倒的に多いのが住宅ローンを抱えているサラリーマン・OLです。そもそも個人再生の主要な目的の一つに、「破産では自宅を取られてしまう人を何とか出来ないか」というのがあります。ですから、「住宅ローンを維持しながら他の債務を減額できる」のは個人再生の売りの一つと言えます。もちろん、シリーズ①で示した条件に当てはまっていることが前提です。
住宅ローンを維持する為には住宅ローン特則という手続きを使います。これを使う場合も、いろいろ条件があります。例えば、「自分の住まいとして使用している住宅に限る」という規定です。要は投資目的で購入した不動産まで保護する必要は無いという考え方です。ただ、サラリーマンが家族を残して単身赴任している場合は特則が使えますので安心して下さい。もともと住まいとして購入したのに会社の都合で他で暮らしている訳ですから、こういうケースは保護しようという訳です。
あと、住宅ローン以外の抵当権が住宅に設定されている場合は特則が使えません。分かり易く説明すると、住宅ローン以外の目的で借り入れた借金があって、住宅をその借金の担保に入れている場合です。個人再生で除外できるのは住宅ローンだけなので、他の借金は減額されてしまいます。そうすると、減額された債権者は担保の競売をしてきますので、住宅ローン特則を認めても意味が無いというのが理由です。
このケースに当てはまって住宅ローン特則が使えなかったというのは、自営業の人に多く見られます。自営業だと事業資金の担保に自宅を入れているケースが多いからです。
次に検討したいのは、「何らかの理由で破産が出来ない人」です。本来、多額の借金があって目ぼしい財産も無い場合は破産が適切なのですが、破産が出来ない事情を抱えているケースです。
例えば、明らかな免責不許可事由がある場合です。借金の9割以上がギャンブルとか投資の失敗で出来てしまったような場合がこれに当たります。こういう場合、免責が認められない可能性があるからです。(破産で借金がチャラになることを免責と言います)
他には、破産による職業制限に該当する職業に就いている場合です。代表的なのは、警備員・保険外交員・資格を持ってやる仕事(ただし、破産でも出来る資格もあるので調べる必要あり)などです。
ただ、免責不許可事由や職業制限に該当するからと言って、現実に支払能力が無い場合は個人再生は選択できません。では、そういう人は助からないのかと言うと実際には、裁判所は結構融通をきかせてくれます。裁量免責という制度があるからです。これは裁判官の裁量で本来免責が認められないケースでも認めてよろしいという規定なのです。
再生も出来ないし破産も出来ないでは、その人は助かる方法が無くなってしまいますから、現実には裁量免責が、かなり幅広く認められています。(裁量免責の中には一部免責と言って、全額チャラにはせずに一部だけ支払わせるという場合もあります)
一方、個人再生では支払能力審査は、かなり厳格にやられますから、支払能力が足りなければ無理して個人再生を申し立てるのは得策ではありません。個人再生を受け付ける裁判所にとっては、「自分たちが拒否しても、まだ破産が残っている」と考えていますから、容赦なく拒否できる訳です。
6月
19
2008
さて、今回からは新シリーズとして、個人再生を取り上げたいと思います。債務整理の中では最も複雑で、素人には難しい手続だと言われています。
例えば、専門家に頼まずに破産を申し立てる人は、数は非常に少ないですが一応存在します。(ちなみに東京地裁では、個人の破産申立を認めていませんので必ず弁護士をつけるように勧められます。ただ、この取扱は憲法の「裁判を受ける権利」に抵触するのではないかと問題にはなっています) あと、任意整理は専門家にしか出来ませんが、その代わりに素人が出来る特定調停が用意されています。
これらの手続きと比べて個人再生は、その複雑さ故に、素人が専門家の助けを借りずに最初から最後までやり遂げたという話を、少なくとも私は聞いたことがありません。私自身も、個人再生に関しては素人が自分で進めていくのは難しいだろうと思っています。従って、このシリーズでは、専門家に依頼する時に知っておいた方が良いことを伝えたいと思います。
では、「どんな人に個人再生は向いているか」、というテーマで考えてみましょう。
まず、大前提として任意整理や特定調停で処理できる人は対象外だと思います。任意整理や特定調停の方が自由度が高いので、これらの手続きで充分に債務が減額できるならば、わざわざ厳格な手続である個人再生を選択するメリットが無いからです。もちろん、過払いになっているような人は、そもそも債務が残っていない訳ですから、他の手続を考える余地はありません。このことから、任意整理や特定調停では充分に債務が減らない人が、当てはまる最初の条件でしょう。取引の年数が短い人と言い換えることも出来ます。
次に支払能力の問題があります。上の条件に当てはまって、尚、支払能力が無い場合(例えば失業中とか)は破産を選択するしかありません。ただ、次の仕事が決まっていて内定ももらっていると言う場合は認められる可能性があります。私が依頼を受けた人の中で、このような人がいましたが、裁判所の認可をもらうことが出来ました。
支払能力に関しては特定調停と同じで、裁判所は非常に厳しくチェックしてきます。では、どの程度の支払能力があれば良いのかを簡単に説明しましょう。
個人再生では、申立人の債務の総額が500万円以下ならば一律100万円に債務が減額します。500万円を超えた場合は5分の1に減額されます。例えば、債務総額が400万円なら支払額は100万円、600万円なら支払額は120万円になるということです。実は、これ以外にも1500万円を超えた場合の規定があるのですが、ほとんどの人が当てはまりませんから、ややこしくなるので無視して下さい。
次に個人再生特有の清算価値というルールがあります。これは財産の総額と言い換えた方が分かりやすいでしょう。要は、その人が持っている主要な財産を金銭に換算して合計したものです。裁判所が考える主要な財産には、不動産・生命保険・自動車・退職金などがあります。細かい評価額の出し方については後ほど説明します。今、覚えておいて欲しいのは清算価値の総額と、前に出した支払額とを比べて清算価値の方が高かったら、支払額は清算価値の金額になるということです。例えば債務総額が400万円なら支払額は100万円ですが、清算価値が150万あったら支払額は150万円にアップするということになります。ここで注意して頂きたいのは、財産を換価する(売却してお金に換える)必要は無いということです。あくまで、清算価値と同じだけの金額を毎月の収入から支払っていけばよいのです。
以上のようにして算出した支払額を3年間で払うことになります。従って、支払額を36回に分割すれば一月の支払額が出ます。この支払額ぎりぎりだと裁判所も難色を示しますから、だいたい2万から3万上回るくらいの支払能力があれば、裁判所の要求に答えられる可能性が高いでしょう。
ここまで読んでいかがでしたか。難しかったかもしれないですね。最終的には専門家に依頼されると思いますから全部分かる必要はありません。ただ、専門家を判断する材料にも使えますので、知っておいて損は無いと思います。
それでは次回ですが、「どんな人に向いているか」の論点がまだ残っていますので、続きを書く予定です。
6月
06
2008
特定調停シリーズの最後になります。今回のテーマは「2回目以降の期日」です。
第1回の期日が無事に切り抜けられたら、いよいよ業者との調停になります。しかし、あまり怖がる必要はありません。前回も話したとおり、調停で一番の難関は1回目の調停委員との面談ですから、これが通過できたら、2回目以降はスムーズに運ぶことがほとんどです。
業者との調停では、建前は業者と申立人と調停委員の3者面談ということになっていますが、現実には9割がたの業者は裁判所に出てきません。では、どうやって進めるのかと言うと、調停室には電話が備え付けてあって、調停委員が申立人の目の前で、業者に電話をかけてくれます。後は調停委員に任せておけば、1回目の期日で確認した申立人の支払能力に合わせたプランで、分割払いの調停をまとめてくれます。(まともな調停委員に当たれば、このように進むはずです)
ごくたまに調停に出てくる業者もいます。出てきたからと言って、調停の進み方に違いはありません。調停委員がまともであれば、業者と交渉して分割払いのプランをまとめてくれるでしょう。
非常にまれですが、一部の大変わがままな業者が調停のルールに従うことを拒否する場合があります。調停は、あくまで話し合いが前提なので、強硬に拒否されると不成立となって、その業者に関しては元の状態に戻ってしまいます。
こういう業者がいる場合、「17条決定」と言う方法で、裁判所の判断で調停の条件を決めてしまうことも出来ますが、業者が異議を出してきた場合は「17条決定」の効力も無くなってしまいます。
しかし、実際にそのような場面に出くわしたら、「17条決定」を出してもらうように調停委員を説得しましょう。いざ、「17条決定」が出されると、異議を出さずに決定に従う業者も少なからずいるからです。最初からあきらめてはいけません。可能性がある限り、「17条決定」は出してもらいましょう。
まあ、このような悪質な業者はごく一部です。大半の業者は調停のルールには従いますので、あまり心配しない方が良いでしょう。ただ、不動産担保を取られているような場合は、普段はルールに従う業者でも不動産担保を盾にして調停を蹴ってくることが多いので、気をつけましょう。
最後に、もし調停の最中に過払いが発生していることが発覚した場合は、必ず調停調書(17条決定の場合は「調停に代わる決定書」)には、「債務無し」と記載してもらいましょう。
この場合、あまり詳しくない調停委員に当たると「債権債務無し」と記載されるケースがあります。こう書かれてしまうと、後で過払請求をすることが出来なくなってしまいます。(過払請求権は債権になるので、債権が無いと書かれると過払いを放棄したとみなされてしまうのです) 後で気付いて泣かない為にも注意が必要です。
5月
30
2008
今回のテーマは「第1回期日」です。いよいよ、裁判所に行くことになります。どのように手続きがすすんでいくかを、お話ししましょう。
申立がすんで、しばらくしたら裁判所から呼出状が届きます。1回目の期日が決まるわけです。では、1回目の期日では何が行われるのでしょう。
実は1回目の期日では業者は関係ありません。調停委員と申立人(債務者のことです)の間で話し合いが行われます。調停委員は名古屋だと通常、二人つきます。弁護士や役所を退官した人などが多いですが、困ったことに債務整理に詳しくない人が選ばれている場合があります。そういう調停委員に当たってしまったら、とにかく不当な処理をされないように申立人自身が注意する必要があります。
一回目の期日の一番重要なテーマは、「支払能力の有無」です。調停委員の質問も、このテーマに集中します。特定調停は圧縮した債務を3年間で支払っていく手続ですから、申立人の家計に3年間で払っていけるだけの毎月の余裕資金が出ているかがポイントになります。
意外に知られていないのですが、実は特定調停で最大の関門は第1回期日です。ここで、「あなたは特定調停で支払っていくのは無理」と判断されて調停が終了してしまう人が結構いるのです。あるいはもっとストレートに、「あなたは破産するべきです。専門家の事務所に行きなさい」と言われてしまう人もいます。全ては支払能力が無いと判断された結果です。
この判断が適切な場合もあるので、一概に厳しすぎるとは言えないのですが、先ほども挙げた債務整理に詳しくない調停委員にあたった場合、不適切な判断になるケースがあります。例えば典型的なのが、長期間の取引があるのに申立書に記載された残債務額で支払能力を判断してしまうことがあります。本来あってはいけないことなのですが、実際こういうトラブルは全国で起こっているようです。
従って、申立人としては、全ての業者の債務が利息制限法に引き直されて計算されているかどうかを確認する必要があります。期日までに取引履歴が裁判所に送られている場合が多いので、期日の直前に取引履歴の「謄写請求」を裁判所に対してすれば、取引履歴のコピーを持参して期日に臨むことが出来ます。期日になっても取引履歴が裁判所に送られていない時は、調停委員に対して取引履歴の請求を強く頼みましょう。取引履歴が無ければ正確な負債額は分からない訳ですから、正確な支払能力の判断も当然出来ないはずです。
このような関門をくぐり抜けて、第2回の期日が決定したら、特定調停の80%は成功したと言って良いでしょう。実は業者との交渉が始まる2回目の期日の方がスムーズに進むことが多いのです。
特定調停の最大の関門は、第1回期日の支払能力の判断である。今回は、これを覚えて頂いて、次回は2回目の期日について説明しましょう。
5月
27
2008
本日は臨時ニュースが入りましたので、シリーズに割り込んで、お伝えします。
昨年9月に民事再生を申し立てていた、お騒がせ消費者金融クレディアが本年5月21日に東京地裁に対して再生計画案を提出しました。その計画案によると、私が思っていたよりも、過払請求債権者に対して配慮した内容になっています。(クレディアの民事再生に引っかかって、あきらめかけていた過払債権者には朗報です)
提出された計画案では、「一律40%の弁済率で一括返済。ただし、30万円までの少額債権については全額弁済する」とのことです。この計画案が通れば、民事再生としては、かなり割の良い弁済率で返還が受けられることになるでしょう。
民事再生には債権者の頭数の半数以上が反対すると不認可になるという決議要件があります。(通常の民事再生の場合は個人再生と違って、積極的同意が必要。つまり、何も言わない無言の債権者は反対したとみなされる)
過払債権者は全国に多数いますので、この集団に賛成してもらえない計画案では認可されないとクレディアは考えたのでしょう。
なかなか良い計画案ですが問題は銀行などの債権者が納得するかどうかです。銀行などは高額債権者になりますので、ここから強い反対が出ると計画案が通らない可能性もあります。悩ましいところです。
何故かと言うと、たとえカット率が同じでも、高額債権者ほどカットされる金額は多くなりますから、面白く無い訳です。他にも、30万円以下の全額返済の規定などは、過払債権者にとっては非常に大きいですが、何千万・何億と貸している金融機関から見たら、ほとんど意味の無い金額になります。しかし、30万円でも何万人という債権者に返したら結構な金額になってしまいます。明らかに、この規定は過払債権者を意識したものだということが分るでしょう。金融機関にとっては、こんな金があるなら弁済率を少しでも上げろと言いたくなるでしょう。
この計画案は過払債権者にとっては、なかなか良いものです。クレディアに債権届をしている過払債権者は積極的に賛成して、この計画案を通す方向で協力するべきだと思います。