司法書士ジャーナル<相続>
橋本司法書士事務所ブログ

11月 29 2022

遺言は思いついたら、すぐに書こう 遺言㉖

9:32 AM 遺言

相談の翌日に危篤

こんな事例が実際にありました。
遺言の相談を受けて公正証書遺言を作成することになり、公証人に出張に来てもらうことになりました。公証人との連絡も取り、「あまり体調が良くないので急いで欲しい」と伝えて、無理を言って翌日に日程を組んでもらいました。

すると、その晩に体調が更に悪化して、なんと翌朝には亡くなってしまったのです。昼頃に公証人に、その旨を連絡してキャンセルしてもらいました。

自筆証書も難しかった

それなら自筆証書遺言を相談当日に書けば良かったのでは、と思った方もいるかもしれません。実は当日も手が思うように動かず自筆はかなり難しい状態でした。だからこそ公正証書遺言を急いだのです。

正解は早く書いておくこと

この事例で分かる教訓は、「遺言は、できるだけ早く書いておくこと」です。人間は、いつ何が起こるか分かりません。この時も医者も含めて当日に亡くなるとは思っていませんでした。結果的に最後の意思を残すことができなかったのです。

途中で気が変わったら

「早く書いてしまって途中で気が変わったら、どうするのか」を心配される方がいます。しかし、その心配は杞憂です。なぜなら遺言は何回書いても問題ないからです。毎年、新しい遺言を書くことを決めて実行している方もいます。

「2度目の遺言を書くと最初の遺言を取り消さなくてはいけない」、と思っている方がいますが違います。2度目の遺言を書いたら、何もしなくても最初の遺言は無効になります。「遺言は複数ある場合、日付が新しいものが有効である」というルールがあるからです。仮に3通、4通あっても日付が最も新しいものだけが有効です。このルールがあるから日付の書かれていない遺言は無効なのです。

このように何度でも書き直せるのが遺言の特徴なので、思い立ったら出来るだけ早く書きましょう。また、遺言の書き方には、いくつかルールがあります。ルール通りに書かないと、せっかく書いた遺言が無効になってしまうことも珍しくありません。実際に、亡くなられた後で相続人が持参した遺言が無効だったというケースは、いくつか経験があります。ですから遺言を書く時は、一度は専門家に相談した方が良いでしょう。

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