司法書士ジャーナル<相続>
橋本司法書士事務所ブログ

3月 03 2025

相続登記の共有持分の表記 相続登記㉜

不動産の共有持分とは

不動産には共有持分という概念があります。よくあるのが夫2分の1、妻2分の1のような持分ですね。この持分は不動産の区画のことではありません。ここからここまでが夫のもので、それ以外が妻のものだと誤解している人がいますが、そうではありません。不動産の持分とは目に見える区画を持ち合うことではなく、金銭的価値を持ち合っていると考えれば分かり易いでしょう。

ですから共有持分が具体化するのは不動産を換金した時です。換金して金銭的価値に変わった時に、それぞれの持分割合で分けることになります。

不動産の共有持分の贈与

実際に起こった事例で見てましょう。Aが2分の1、Bが2分の1と不動産を共有している場合に、Aが自分の持分2分の1を3分の1ずつBとCとDに生前贈与しました。全体で考えると2分の1×3分の1で、Aは6分の1ずつ3人に贈与したことになりますね。するとBの持分は自分の持分2分の1に贈与を受けた6分の1を加えることになりますから、合計で3分の2となります。

ただしこの段階で不動産登記簿に記載されるのはAから6分の1がBとCとDに贈与されたという部分だけで、Bの合計が3分の2になったとかは記載されません。贈与された結果トータルではどうなったのかは登記簿を見る人が自分で計算しなければなりません。これが登記簿を見る時の注意点です。

贈与した後、相続が発生した場合

上記の事例で Bが亡くなって相続が発生しました。Bの配偶者は先に亡くなっていて子はE一人だったので、Bの持分の合計3分の2をEが相続することになります。この時に登記簿の持分の表記はどうなるかが今回のテーマです。

まず相続でBの持分を全て受け取ることになるので合計が表記されることになります。その合計の表記は3分の2でしょうか、あるいは6分の4でしょうか。実務的にはどちらでも申請は可能です。しかし司法書士が申請した場合は6分の4と表記する可能性が高いと言えます。その方が好ましいからです。

なぜ6分の4の方が好ましいのか

相続発生前の登記簿の記載は、贈与を原因として「持分6分の1 B」「持分6分の1 C」「持分6分の1 D」と言う記載になっています。相続発生で新たに記載されるのはEの獲得した持分だけです。その場合、CとDの持分の分母は6ですから、Eの分母も6にそろえた方が圧倒的に見やすくなります。

このような理由でプロである司法書士が申請した場合は、相続を原因として「持分6分の4 E」という記載にするのが通常のやり方になります。

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