7月 12 2021
権利証が無い時の事前通知制度 生前贈与⑧
権利証が必要な場合
不動産の贈与や売買などの名義変更登記を行う時、登記名義人(贈与の渡す方、売買の売主)は必ず権利証を法務局に提出しなくてはなりません。権利証は登記済証の場合もあれば、登記識別情報の場合もあります。
これは権利証を持っていることが、自身が不動産の所有者であることの証明になっているからです。
一方、相続の場合は登記名義人は死亡しているので、権利証の提出は不要となっています。
権利証を失くしてしまったら
しかし、様々な事情で権利証が見つからない場合もあるでしょう。権利証は再発行されない書類なので、失くしてしまったらどうすればよいのでしょうか。
このような時に解決する方法が2種類あります。一つは本人確認情報の作成、もう一つは事前通知制度です。
事前通知制度とは
本人確認情報については以前にブログで簡単に説明しましたので、今回は事前通知制度について説明します。
事前通知制度とは、登記申請の際に権利証を紛失した旨を法務局に説明して、事前通知によって登記を処理するように申請することで利用できる制度です。
事前通知の利用が正しく申請された場合、法務局は登記名義人に対して、「登記申請があったこと」および「登記申請の内容が正しいと考えるのであれば、一定期間内にその旨の申出をすること」を郵便で通知します。
事前通知制度の郵便の種類
登記名義人が個人の場合は、本人限定受取郵便で通知されるのが一般的です。一方、登記名義人が法人の場合は、書留郵便で送られるようです。
事前通知制度の流れ
法務局から登記名義人宛に事前通知書が届いたら、原則として2週間以内に名義人本人が署名押印して返送しなくてはなりません。
押印は申請書または委任状に押した印鑑と同一ものとされていますので、実印で押すことになります。
抵当権抹消の場合の印鑑証明書
古い抵当権抹消の登記を申請する場合、権利証を紛失していて提出できないことがたまにあります。
抵当権抹消の登記名義人は抵当権者(ほとんどが金融機関)ですが、一般的には印鑑証明書は添付書類になっていません。(所有権の売買や贈与では印鑑証明書は必須です)
しかし、権利証を紛失して事前通知制度を利用する場合は、例外的に印鑑証明書の添付が求められます。通知書に押された抵当権者の印鑑を照合するために必要だからです。
事前通知制度の注意点
事前通知制度は権利証が無くても登記を受け付ける制度なので厳格な運用がされています。例えば、期限内に通知書が返送されなかった場合、通知書に押された印鑑が実印と違っていた場合などは、申請自体が却下されてしまいます。
特に売買の場合はお金が動きますので、買主が代金を払った後で売主が事前通知の返送を忘れてしまったら、お金を払ったのに買主の名義にならないという大変な事態が起こります。
従って、売買の実務の現場では事前通知はまず利用されません。売買の時は本人確認情報を利用するのが一般的です。
、贈与の場合も、却下されてしまうリスクがあるので、確実に一回の手続で済ませたい場合は、事前通知制度は避けた方が良いでしょう。
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