司法書士ジャーナル<相続>
橋本司法書士事務所ブログ

9月 20 2022

法定相続情報証明は法定相続人以外は記載しない 法定相続情報証明②

相続関係説明図との違い

不動産の相続登記の時に相続関係説明図という家系図のようなものを添付します(省略して「相関図」と呼ばれることが多いです)。この相関図と法定相続情報証明は似ているようで少し違います。最も大きな違いは「法定相続情報証明では、法定相続人以外は氏名の記載はしない」という部分だと思います。

「法定相続人以外は記載しない」の意味

法定相続情報証明は文字通り法定相続人が誰かを証明する書面なので、法定相続人でない親族については不要な情報とされるのです。従って、法定相続人が一目で分かるような記載になっています。

具体的には、例えば兄弟姉妹の相続なら、被相続人の両親は氏名ではなく「父」「母」と記載されるだけです。先に亡くなっている子どもがいる場合は何も記載されません。先に亡くなっている兄弟姉妹がいる場合も同様に何も記載されません。あくまで法定相続人になる生存している兄弟姉妹のみが記載されるのです。

相続関係説明図の場合

一方、相続登記に利用する相続関係説明図の場合は随分と異なります。
上記の兄弟姉妹の相続の例で言うと、先に亡くなった子どもや兄弟姉妹も死亡日とともに記載します。一般的に相関図の方が複雑で記載が多くなる傾向があります。

遺産分割の結果について

法定相続情報証明では、遺産分割の結果は記載されません。あくまで法定相続人が誰かを証明するだけの書面だからです。従って、法定相続情報証明を見ただけでは遺産分割があったのかどうか、あった場合は誰が最終的な相続人になったのかは分かりません。しかし、法定相続情報証明があれば、遺産分割に参加すべき法定相続人を確定することができるというメリットはあります。

一方、相関図の場合は、遺産分割の結果も、分割でもらった人は「相続人」、分割でもらわなかった人は「分割」と記載されます。相関図を見れば誰が最終的な相続人か分かるようになっているということです。

法定相続情報証明を利用する場合

では、どのような時に法定相続情報証明を利用すると良いでしょうか。私の経験で言うと、兄弟姉妹や甥姪の相続の場合は利用した方が良いと思います。理由は取得する戸籍の量が非常に多くなるので、金融機関に持ち込んだ時、審査にものすごく時間がかかり、かなりの時間待たされることになるからです(1時間半とか2時間とか)。複数の金融機関で手続する場合、毎回、その位の時間待たされることになります。

前もって法定相続情報証明を取得しておけば、金融機関は大量の戸籍を審査する必要がなくなりますから、大幅な時間の短縮になります。金融機関が複数ある場合は積み重なると相当に楽になります。

もちろん最も多いパターンの「配偶者と子ども」の相続の場合でも、法定相続情報証明を取得して構いません。兄弟姉妹の場合ほどではありませんが、金融機関の相続手続が楽になるのは間違いありません。

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