司法書士ジャーナル<相続>
橋本司法書士事務所ブログ

9月 19 2023

不動産の共有についての誤解と、注意点

不動産の共有についての誤解による質問

相続人が複数いる場合、相続不動産が共有になることがあります。その時に次のような質問を受ける時があります。
「建物のこの部分は自分が相続したいが可能か」
「土地のこの区画は自分が欲しいので、遺産分割協議書に書いてもらえるか」
というような内容です。
実は、このような質問は共有についての誤解からきています。

不動産の共有とは、具体的な部分を分けることではない

例えば建物で言うと、「1階はAさん、2階はBさん」と分けることを共有だと誤解している方がいます。しかし、これは全く違うのです。法律で言う「共有」とは、あくまで抽象的な概念で、具体的な一部分を指している訳ではありません。
ある不動産をAさんが2分の1、Bさんが2分の1ずつ共有しているとしたら、AさんもBさんも不動産全体に対して権利を持っています。目に見える形で分けてはいません。

では、何のための共有なのかと言うと、不動産を売却した場合その価値に対しては具体的な分配が発生します。前の例で言うと、不動産が3000万円で売れた場合はAさんが1500万円、Bさんが1500万円の権利を持っていることになります。

不動産の共有の注意点

不動産のまま持っている時は、共有者のどちらかが使えない場所がある訳ではないので特に不都合は感じないでしょう。ただし売却する時は重要な注意点があります。それは、共有者のうち一人でも売却に反対した場合、その不動産は売ることができないということです。

ということは、共有者が多い物件ほど売却が大変になります。実際に不動産売買の現場では共有者が多い物件は、買い手が嫌がる場合が多いため価格が低くなる傾向があります。共有者全員が同意しないと売買契約が成立しないからです。

相続で増える共有者

例えば、子の無い夫婦二人の共有だったとしても、夫が亡くなって相続が発生し、夫の兄弟姉妹(相続人)が3人いたとしたら、一気に共有者は4人に増えてしまいます。このように相続によって共有者が増えていくケースは現在、問題になっています。
同じ不動産で相続が2回以上発生していると、共有者が10人くらいになっているケースも珍しくありません。こうなると売却するのは至難の業でしょう。

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