司法書士ジャーナル<相続>
橋本司法書士事務所ブログ

12月 23 2024

数次相続の場合の法定相続情報一覧図 法定相続情報証明④

数次相続とは

今回は数次相続と法定相続情報一覧図についての2回目となります。
数次相続とは、一度起こった相続の相続人の一人が、遺産分割協議を決着させる前に亡くなってしまった場合のことを言います。2回相続が発生しているので数次相続と呼ばれています。

この数次相続は手続が非常に大変です。手間は単純に2倍ではなく、3倍~4倍というのが経験からくる印象です。この数次相続を避けるために、最近では法律が改正され相続登記が義務付けられるようになりました。

法定相続情報証明とは

相続手続には銀行や証券会社や法務局などに大量の戸籍謄本を持参する必要があります(特に数次相続の場合は量が多くなります)。途中で1通だけ抜けて忘れたり、汚してしまったり、紛失してしまう可能性もあります。何よりも、持参された金融機関が大量の戸籍謄本をチェックしなければならないため、手続に非常に時間がかかってまいます。

解決するには、法定相続情報証明として「法廷相続情報一覧図」を発行してもらう方法があります。大量の戸籍と申出書と一覧図を法務局に1回持ち込んで審査が通れば、一覧図に登記官が認証文を付けて公的な書類として法定相続情報一覧図を発行してくれます。この公的な認証が付いた法定相続情報一覧図は銀行や法務局でそのまま相続手続に利用することができます。大量の戸籍謄本を持ち歩く必要がなくなるわけです。

また持ち込まれた金融機関にとっても一覧図の方がはるかに見やすくチェックも早くできるので時間の短縮につながるでしょう。

もちろん法務局の審査を通すためには書き方に注意すべきポイントがいくつかありますので、一覧図の作成と申請は司法書士に依頼した方が確実でしょう。

数次相続の場合は法定相続情報一覧図は2枚になる

数次相続の場合、法定相続情報一覧図は2枚作らなければなりません。この点、相続登記の際に添付する相続関係説明図とは異なります(相続関係説明図は通常1枚で作ります)。

法定相続情報一覧図において、1回目の相続が起こった時点では、まだ相続人全員が生きていたはずなので、1枚目はその状態を記載することになります。つまり、2回目の相続で亡くなっている相続人も生きているものとして記載されます。当然、2回目の相続の死亡日の記載はしてはいけません。

次に2回目の相続についてだけの法定相続情報一覧図を作ります。2枚目には後で亡くなった相続人の相続関係だけを記載します。従って、1枚目と2枚目を合わせなければ数次相続が起こっていることは分からないようになっています。

法定相続情報一覧図は相続人全員の生存を証明していない

法定相続情報一覧図は、このような仕組みで作られているので、記載されている相続人が現在生きているかどうかは証明されていないことになります。例え数次相続が起こっていても、法定相続情報一覧図の1枚目だけ提出されたら通常の相続に見えてしまいます。

ですから銀行や法務局では手続の際に、法定相続情報一覧図以外に相続人の印鑑証明書や住民票を要求します。こうすることで、既に死亡している相続人がいないかをチェックしているのです。

最初の相続の法定相続情報証明を2回目の相続の相続人が申請できる

2回目の相続が起こった時の新たな相続人は、1回目の相続の法定相続情報証明の申出(法務局では法定相続情報証明の申請のことを申出と呼びます)をすることができます。

2回目の相続の相続人は、1回目の相続の法定相続情報一覧図に出てきませんので、申出自体ができないように思えますが、2回目の相続で亡くなった相続人の地位を引き継いでいるので申出が可能なのです。

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