司法書士ジャーナル<相続>
橋本司法書士事務所ブログ

9月 25 2025

遺産分割協議におけるマンションの書き方 相続登記㊲

Q 遺産分割協議書で不動産を書く時、不動産の住所を書くのでしょうか?

A いいえ。遺産分割協議書に不動産を書く時は登記事項証明書(登記簿)に書かれている通りに書かなければなりません。
土地は「所在・地番・地目・地積」、建物は「所在・家屋番号・種類・構造・床面積」と結構複雑で長い表記となります。

Q マンションの場合も一戸建と同じように書くのでしょうか?

A いいえ。マンションは登記では区分建物と言われ、「一棟の建物の表示」と「専有部分の建物の表示」に分かれていて、一戸建よりももっと長くて複雑な表記になります。正確に書くのは、なかなか大変です。(敷地権付区分建物の場合は更に敷地権の表示が追加で記載されます。)

Q 登記事項証明書で一棟の建物の表示を見ると非常に長いのですが、これを全て遺産分割協議書に書くのですか?

A 確かに長いですね。特に床面積が各階ごとに書かれているので、階数が多いマンションだとすごい量になってしまいます。

そこで、とっておきの方法があります。それは一棟の建物の表示で「建物の名称(マンション名)」が登記事項証明書に書かれている時は、建物の名称を遺産分割協議書に記載すれば「構造と床面積」の記載を省略できる、というルールです。

Q 専有部分の建物の表示の構造と床面積は省略できないのでしょうか?

A 残念ながらできません。専有部分の建物の表示に書かれている構造と床面積は全て記載してください。

Q なぜ遺産分割協議書における不動産の書き方は、このように複雑で長いのですか?

A 不動産は登記事項証明書(登記簿)によって管理されているからです。不動産の表記が登記事項証明書の表記と一致して始めて、不動産が特定されたことになります。遺産分割協議書だけでなく売買契約書などの法的な書面で不動産を特定する場合は、登記事項証明書の表記を使うということを覚えておきましょう。

Q 登記事項証明書の不動産の所在地番と住所は異なるのですか?

A 異なることが多いです。不動産の所在地番を決めているのは法務局であり、住所は市区町村役場です。最初は所在地番しかなく後から住所ができました。人口が増えて住居が増えたため所在地番だけでは郵便配達などに不都合が生じるようになり、より細かい住所を設けるようになったと言われています。ただし所在地番と住所が同じところもあります。

相続登記について、より詳しい情報が知りたい方は以下をクリック

相続登記