司法書士ジャーナル<相続>
橋本司法書士事務所ブログ

10月 17 2025

田舎の不動産の相続における滅失登記 相続登記㊳

Q 田舎の不動産の相続における注意事項は何かありますか?

A 山林や農地などを相続された場合、登記簿に記載されている建物が、とっくに取り壊されていて存在していないというケースに出くわすことがあります。相続人が都会に住んでいたりすると、現地を見に行ったりすることが無いので、相続の相談に行って始めて気付くということは珍しくありません。

Q 取り壊されているのに、何か問題があるのですか?

A 問題あります。登記簿と言う公式な表示に「建物がある」と記載されたままになっている訳ですから、売買したり贈与したり、新しく建物を建てたりする時に支障が出る可能性があります。

Q こういう場合は、どうすれば良いのですか?

A 建物を解体しても登記簿は自動的には抹消されません。建物についての滅失登記と言うものを申請しなければなりません。特定の建物の登記簿の表記を無くしてしまう登記になります。

Q その滅失登記というのは司法書士に頼むのですか?

A いいえ。建物滅失登記は表題部の登記なので、取り扱うのは土地家屋調査士になります。ただし司法書士に相続登記や贈与登記などを依頼していれば、通常は依頼した司法書士と提携している土地家屋調査士を紹介してもらえます。新たに探す必要はありません。

Q 滅失登記とは初めて聞きました。それは相続登記をしてから行うものなのでしょうか?

A いいえ。滅失登記は相続登記を省略して行うことが可能です。相続した建物が既に取り壊されていたら、いきなり滅失登記をして構いません。この辺りは建物の売買や贈与とは異なります。相続した建物の売買や贈与の場合は必ず相続登記をしてから行う必要があります。あと建物を取り壊す場合でも、土地については通常どおり相続登記をしなければなりません。

Q 他に滅失登記が必要になる場面はありますか?

他に滅失登記が登場する代表的なケースとしては、不動産を売却する時に更地にしてから売る場合です。更地にするということは、既に存在している古い建物を解体するわけですから、その建物の登記を抹消する必要があるからです。

Q 更地にしてから売るのは良く聞きます。滅失登記が必要なのですか?

A はい。古い建物を解体して更地にしてから売るのは都会でもよくありますね。その時に滅失登記の申請をしなければなりません。通常は不動産仲介業者が提携している土地家屋調査士に依頼します。土地家屋調査士の費用は売買代金から差し引く形で支払われることが多いですね。

Q 滅失登記をしないで放置したら、どうなりますか?

A 10万円以下の過料という罰則がありますので放置はオススメしません。他にも存在していない建物に対して固定資産税が請求されるリスクもあります。滅失登記は必ず行うように気を付けましょう。

相続登記について、より詳しい情報が知りたい方は以下をクリック

相続登記