8月
18
2016
成年後見の仕組み
まずは、成年後見制度をおさらいしておきましょう。
成年後見制度には、法定後見制度と任意後見制度があります。
法定後見制度は、認知症などにより判断能力がなくなった場合に、裁判所が選任した後見人によって財産の管理をしてもらうことになります。
任意後見制度は、判断能力がなくなったときのために、事前の契約によって後見人になってもらう人を決めておくものです。
判断能力がなくなったら、後見監督人の監督のもと、事前に決めておいた後見人に財産の管理をしてもらうことになります。
法定後見、任意後見のいずれの場合も、「本人の財産を減らさない」ことを大前提とし、裁判所や後見監督人の監視のもとで財産管理をすることになります。
後見開始後は相続対策のために財産を贈与したり、財産を使ってアパートを建てたりすることは一切できなくなります。
家族信託の仕組み
一方、家族信託の場合はどうでしょうか。
後見制度のような制約が一切ありません。
本人(委託者)の判断能力が喪失した後も、信託の目的の範囲内においては、財産を託された受託者の判断によって相続対策などを行うことが可能です。
持っている土地にアパートを建てようと思っている。
孫が留学するときに、ある程度の金額を贈与しようと思っている。
これらのことは、そのとき「思っている」だけでは、認知症になったときに、実現することができなくなってしまいます。
家族信託の場合は、本人の意識がしっかりしているときに、信託契約をしますので、しっかりしていたときの本人の意思を、財産の管理に活かすことができるのです。
もちろん、例にあげたこと以外にも、細かくオーダーメイドで契約内容を決めることができます。
一度、ご家族で話し合って見てはいかがでしょうか。
>>>家族信託について、詳しく知りたい方は<<<
8月
17
2016
「家族信託をすれば、節税になる」
そんなふうに聞いたから実際どうなのかと、質問を受けることがあります。
これには注意が必要です。
家族信託という制度が注目されるようになってから、まだそんなに経っていません。
誤解を生むこともあるでしょう。
特に税金に関しては、個別の状況に応じて違ってきますので、事前によく考えなくてはなりません。
贈与税と相続税はどうなる?
家族信託をすると、財産の名義が委託者から受託者へ変わります。
その際、贈与税や相続税はどうなるのでしょうか。
贈与税
まず贈与税については、税務上は実質的な財産の移転が誰に移るのかで判断されます。
信託における委託者から受託者への名義の変更については形式的なものです。
財産から得られる利益については、あくまで受益者が獲得します。
従って、実質的な移転は受益者とみなされますので、受託者ではなく受益者に対して贈与税が課税されることになります。
この性質を利用して、家族信託では委託者と受益者を同一人物に設定することにより贈与税の発生を無くすことが可能となります。
この方法を自益信託と呼びます。
この方法を使えば、たとえ名義が受託者に移転しても贈与税の対象とはなりません。
相続税
一方、相続税については、受益者が移転した場合、通常と同様に相続税がかかります。
あくまで基準は受益者なので、受益者が変更したかどうかがポイントです。
受益者移転による相続税は、基礎控除や軽減措置なども通常の相続と全く同じになります。
家族信託でなければ、できないことは?
家族信託では、遺言では不可能だったことができるようになります。
たとえば、最初に指定した相続人が亡くなった後の、次の相続人まで指定できるという大きなメリットがあります。
一定の条件を満たせば、次の相続人が亡くなった後、さらにその次の相続人まで指定することも可能です。
自身が亡くなったあと、かなり先まで、財産の行方(使い道)を指定できるということですね。
相続で家族信託を検討する時は、上記のような信託でないと実現できないようなメリットに注目して考えて頂くのが良いでしょう。
>>>家族信託について、詳しく知りたい方は<<<
8月
16
2016
信託には大きく分けて民事信託と商事信託があります。
家族信託は民事信託に含まれます。
商事信託と家族信託
まず商事信託とは、何なのでしょうか。
1番わかりやすい例をあげましょう。
金融商品の「投資信託」です。
信託銀行や信託会社などが不特定多数の人の財産を預かって投資運用をし、その手数料を得るという信託の形態です。
では家族信託とは、どういうものなのでしょう。
不特定多数の人の財産を預かるわけではありません。
特定の親族から託された財産についての管理や承継を行う信託の形態です。
様々なバリエーションがあり、依頼主の状況に応じてオーダーメードで作成が可能です。
どこが違う?信託銀行と家族信託の「遺言信託」
注意して頂きたいのは「遺言信託」という言葉についてです。
信託銀行が扱っている「遺言信託」という商品の中身は何なのでしょう。
遺言の作成サポート
遺言の管理
相続が発生したときの遺言執行を行う
というものです。
正直なところ、なぜ商品名に「信託」という言葉が付いているのか疑問に思うような内容になっています。
信託銀行における「遺言信託」とは、単なる遺言の総合サポートのことを意味しているのであって、法律的な意味での信託とは関係が無いのです。
一方、家族信託での「遺言信託」とは、どういうものなのでしょうか。
遺言の中に信託契約を書き込んでおいて、相続発生と同時に信託契約が発効するように遺言に残しておくものです。
文字通り、遺言による信託契約なので、本来は遺言信託とはこの意味で使うべきでしょう。
このように同じ遺言信託という言葉を使っていても、信託銀行と家族信託では意味が全く違いますので注意が必要です。
信託銀行から「遺言信託」をすすめられたら、このことを思い出しましょう。
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