司法書士ジャーナル<相続>
橋本司法書士事務所ブログ

6月 1st, 2018

6月 01 2018

相続登記⑯ 遺産分割調停による不動産の名義変更

最近は日本人の権利意識の高まりを受けて相続での争いが増えてきています。結果的に家庭裁判所の遺産分割調停に持ち込まれるケースも増加する傾向にあります。

遺産分割調停が終わった後に不動産の名義変更をする場合、通常とは違ったルールが適用されますので注意が必要です。

最も大きな違いは、「相続を証する書面」です。通常の名義変更では、被相続人の出生から死亡までの戸籍を添付しますが、遺産分割調停による名義変更では、調停調書または審判書がそれに当たります。

調停調書は遺産分割調停が話し合いで終了した場合に家裁から発行される書面で、最初に相続人に送られてくるのが調停調書正本です。名義変更をする時は、必ずしも正本である必要はなく、追加で取得できる調停調書謄本でも構わないとされています。

遺産分割調停が話し合いでは決着せずに裁判官の判断で終了した場合は、審判書が家裁から発行されます。この審判書で名義変更をする場合は、必ず確定証明書を付ける必要があります。審判書は確定証明書と一緒でないと名義変更には使えませんので覚えておきましょう。

他に注意すべき点としては、調停調書または審判書の中に被相続人の死亡日の記載が無かった場合は、被相続人の死亡日の記載がある戸籍謄本を添付する必要があります。

更に、調停調書または審判書の中に記載されている被相続人の住所が登記事項証明書記載の住所と異なっていた場合は、住所をつなげる為の住民票の除票や戸籍の附表などが必要になります。

遺産分割調停による名義変更にはメリットもあります。それは、調停調書または審判書に記載された不動産を取得する相続人の単独申請で名義変更ができる点です。

通常は、法定相続人全員の協力が無いと特定の相続人への名義変更はできませんので、これは大きなメリットです。ただし、遺産分割調停の終了前に法定相続分による登記がされてしまった場合は、単独申請ができない場合もありますので注意が必要です(この時でも、調停調書または審判書に、他の相続人が登記に協力する旨の記載があれば単独申請できる場合もあります)。

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