7月
28
2018
信託銀行の商品の中に「遺言書管理信託」というものがあります。
一見、便利そうな名前が付いていますが、料金を考えると「?」と思える商品なので取り上げてみたいと思います。
例えば、ある信託銀行の遺言書管理信託のページを調べると、以下のような説明がされています。
遺言書の保管
当行がお預かりした遺言書は、ご相続の開始時まで安全に保管します。
定期的照会
当行から定期的に相続開始通知者、遺言書指定受取者の住所変更や異動の有無を照会させて頂きます。
遺言書の返却
遺言書指定受取者に確実にお渡しします。自筆証書遺言の場合、家庭裁判所の検認手続が必要になり別途費用がかかります。
そして、上記サービスの手数料として以下の金額が表示されています。
基本手数料 公正証書 32万4000円
公正証書以外 54万円
遺言書保管料 年間6480円
正直、この説明と料金を見た時、サービスの少なさと料金の高さに驚いてしまいました。
これだけのサービス内容にしては、高額に思えます。
特に公正証書遺言は、もともと原本は公証役場で保管されていて、謄本は本人が保管、そして正本を遺言執行者が保管するという、比較的万全な体制です。
上記のサービスでは、正本を保管するということだと考えられますが、本当に必要なのかよく考える必要がありますね。
と言っても料金設定やサービス内容は自由ですから銀行を責めるつもりはありません。
ただ消費者の皆さまには、「サービス内容に比べて、かなり高額の料金である」という事実は分かっておいて欲しいとは思いました。
(分かった上で、やはり銀行を選択するというのは、もちろん自由です。)
たとえば、もし同様のサービス内容で私の事務所が依頼を受けた場合、年間5000円程度の保管料は頂きますが、それ以外の料金(銀行の基本手数料にあたるもの)は頂きません。
実に数十万円の差が出てしまいます。
しかも銀行のサービスは、遺言書の作成料金や家庭裁判所の検認料金は含まれていないのです。
これを消費者の皆さまが知っていた場合、どのように判断するのでしょうか。
費用を抑えたい場合、これからは特に情報を調べる力が必要になってきていると感じています。
最近、信託銀行は相続に力を入れていて遺産整理業務も積極的に宣伝しています。
遺産整理業務とは不動産や預貯金・証券などの解約・名義変更を一括して行うサービスです。
銀行の遺産整理業務も値下げを予定していると新聞に報道されていました。
消費者にとってはうれしいことではありますが、実は、元の料金が余りにも高額で(一般的な司法書士事務所の倍以上)、利用者が非常に少なかったので見直そうとしているのが実情なのです。
銀行の遺産整理業務は、まず最低料金が高いです。
現在108万くらいが現在の相場となっています。
(見直しが入る予定)
最低料金に該当しない資産額の場合でも、割合報酬(1.5%~2%が相場)は高めです。
(一般的な司法書士事務所では最低25万~30万円で割合報酬は約1%)。
他にも、不動産の名義変更をする場合、結局、銀行も司法書士に外注しています。
銀行に遺産整理業務を依頼した場合、司法書士の外注費用は別途請求されてしまいます。
しかし、司法書士に依頼した場合は、不動産の名義変更の費用は司法書士料金に含まれているのが普通です。
ですから、遺産整理業務の場合でも、銀行と司法書士事務所ではトータルで数十万円の差が出てしまいます。
消費者の皆さまには、こういうことを良く知った上で選択して欲しいですね。
より詳しい情報を知りたい方は以下をクリック
↓
https://www.hashiho.com/inherit/testament/
https://www.hashiho.com/inherit/isanseiri/
7月
18
2018
相続放棄には3ヶ月という期限があります。しかし、債権者(貸主)が債務者(借主)の死亡を知らなかったために、3ヶ月以上経ってから請求してくるというケースが珍しくありません。このような場合、相続人はどうすれば良いのでしょうか。
まず覚えておいて欲しいのが、「3ヶ月以上経っているからといって、あきらめてはいけない」ということです。実際に私の事務所で手掛けた相続放棄事件で、3ヶ月以上経過しているにもかかわらず家庭裁判所に受理されたケースは何件もあります。
受理されるかどうかで最も注意するポイントは、「単純承認をしていないかどうか」です。一部でも死亡した債務者の財産を相続した場合には、法的には「単純承認をした」と判断されます。
従って、相続放棄をするためには、「死亡した債務者の財産を全く相続していない」というのが最低条件になります。債務者が亡くなってから借金の請求が来るまでの間、一部でも相続財産を換金したり消費してしまった場合は、「相続した」とみなされる可能性が大きいでしょう。
もう一つのポイントとして重要なのは、「あとから来た借金の請求書」が残っている、ということです。家庭裁判所に対して、「いつ、借金の請求をされたのか」を証明する必要があるからです。
以上の二つの条件を満たしている場合は、相続放棄が認められる可能性は充分あります。
更に私が申し立てる場合は、より受理される確率を上げるために、家庭裁判所に「どういう経緯で3ヶ月以上経ってしまったのか」を詳しく説明する上申書と呼ばれる書面を提出します。これで今まで、ほとんどの相続放棄が受理されています。
このように例え3ヶ月以上経過していても一定の条件が満たされていれば、あきらめるのは早すぎます。借金を相続するかしないかで、その後の生活に大きな影響を与えますので、専門家に相談に行きましょう。
より詳しい情報が知りたい方は以下をクリック
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https://www.hashiho.com/inherit/renounce/
7月
09
2018
相続に関する民法の改正案が7月6日に参議院で可決し成立しました。これで以前から取り上げていた相続法の改正が現実化したことになります(まだ施行はされていません)。
では今回、改正になったポイントをあげていきたいと思います。
(1)配偶者が自宅に住み続けられるようにする配偶者居住権の新設
(2)遺産分割前でも被相続人の預貯金を引き出せるようにする制度の新設
(3)自筆証書遺言の要件の緩和と、遺言を法務局に預けられるようにする制度の新設
(4)被相続人の介護などをした親族が、相続人に金銭を請求できるようにする制度の新設
などです。
詳しい内容については相続登記⑭で解説していますので、そちらをご覧ください
↓
https://www.hashiho.com/inherit/journal/archives/1054
相続全般について、より詳しく知りたい方は以下をクリック
↓
https://www.hashiho.com/inherit/
7月
02
2018
相続財産で預貯金は最も分割が容易な財産です。法定相続分どおりに分ける時には、簡単に分けられるので問題が起こりにくいと言えるでしょう。しかし、相続財産に不動産がある場合は、そう簡単ではありません。
一般的に不動産の価値は預貯金よりも高い場合が多いです(特に都会の場合)。しかし、不動産は分割することが困難な財産です。遺産分割協議で最ももめることが多いのも不動産の相続です。
理由は既に特定の相続人が住んでいる場合が多いからです。その場合、当然その住んでいる相続人が不動産の相続を主張します。住んでいる相続人にとっては、自分が相続できなかったら家を追い出される可能性がある訳ですから必死です。
話し合いがつかない場合、不動産を相続人全員の共有にすることになりますが、不動産の共有持分というのは住んでいない相続人にとっては何のメリットもありませんので文句が出ることが多いのです。
こんな時、住んでいない相続人から、「不動産を売却してお金に代えて、それで相続分を支払ってくれ」という要求が出ることがよくあります。これを言われると住んでいる相続人は引っ越しをしなくてはなりませんから、関係が悪化して話し合いで解決できなくなることも珍しくありません。
どうしても引越が嫌な場合は、住んでいる相続人が相続分相当の金銭を別に用意して他の相続人に支払うしかなくなります。このような遺産分割の方法を代償分割と言います。(相続法の改正で配偶者居住権と言う権利が新設されて、配偶者は自宅に住み続けられるように今後はなる予定です)
相続人同士で話し合いがつかない場合は、家庭裁判所に遺産分割調停を申し立てることになります。
このように相続財産に不動産がある場合は遺産分割協議がスムーズ進まないことが多いので、対策として遺言を残しておく人が増える傾向にあります。
より詳しい情報が知りたい方は以下をクリック
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https://www.hashiho.com/inherit/divide/
https://www.hashiho.com/inherit/testament/