1月
30
2024
遺産分割協議書についての大きな誤解
遺産分割協議書は、あくまでプラスの財産の分け方について記載するものです。ですからマイナスの財産について記載しても法的な効果はありません。
分かり易く言うと、借金を請求してきた債権者に遺産分割協議書を見せても、請求を止めることはできません。遺産分割協議で借金を免れることはできないのです。
これは多くの人が誤解していることなので、よく覚えておきましょう。
相続放棄は遺産分割協議書に書くことではない
相続放棄をしたいという相談を受けた時、放棄について書かれた遺産分割協議書を作って欲しいと言われることがあります。しかし、上記でも説明したとおり、遺産分割協議で相続放棄をすることはできません。相続放棄は家庭裁判所に申し立てて認めてもらうものです。このことについて説明すると驚かれる方もいます。
相続放棄は単独でできる
遺産分割協議は法定相続人全員が参加していなければ無効になります。従って、遺産分割協議書には法定相続人全員の署名と実印による押印と印鑑証明書の添付が必須となります。
一方、相続放棄は相続人の一人から単独で行うことができます。他の相続人に知らせる義務もありません(通常は知らせることが多いとは思いますが)。相続放棄をすると法定相続人ではなくなりますから、遺産分割協議の参加資格が無くなります。
ただし、預貯金や不動産の相続手続を行う時には、相続放棄をした相続人がいることを銀行や法務局に証明しなくてはならないので、家庭裁判所が発行する相続放棄申述受理通知書を添付する必要はあります。
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相続放棄
1月
19
2024
死亡後に見つかった借金の請求書
親族が死亡した後に借金の請求書が見つかる、これは珍しいことではありません。このような相談を受けることは実際によくあります。その借金が、かなり前のものだった場合、時効で解決するか相続放棄にするか悩ましい選択になります。
まずは相続放棄を検討しよう
自分の借金ならば何社から借りていたかは把握している場合が多いでしょう。しかし、親族といえども他人の借金の場合、見つかった請求書で全部かどうかは分かりません。ひょっとしたら遅れて他の請求書が届くかもしれません。
この不安を解消するためには相続放棄の方が適していると言えるでしょう。相続放棄ならば1回認められれば、後から届いた借金にも通用します。ですからまずは相続放棄ができないかを検討するべきでしょう。
相続放棄では難しい場合
しかし相続放棄は難しい場合があります。代表的なのはプラスの財産が、そこそこある場合です。相続放棄はプラスの財産も含めて放棄しなければなりません。どうしても相続したい財産がある時は相続放棄は利用できないことになります。
もう一つは死亡してから3ヶ月以上経過している時です。相続放棄は3ヶ月という期限があるので、これを過ぎている場合は検討する必要があります。ただし3ヶ月を過ぎていても正当な理由があれば認められることも多いので、プラスの財産がある場合に比べれば利用できないとは言い切れません。判断が難しいケースなので相続放棄に詳しい専門家に相談した方が良いでしょう。
消滅時効で解決する場合
相続放棄が利用できない時は、次に消滅時効での解決を考えましょう。消滅時効は届いた業者ごとに通知を出す必要ありますので、他に借金が見つかった場合は、その都度手続をすることになります。この点は相続放棄よりも手間がかかりますね。あと全ての借金が時効になっているとは限りませんので、時効になっていない借金については支払わなくてはなりません。
他に重要な注意点としては、「時効援用通知は相続人の数だけ出す必要がある」という点です。例えば相続人が3人だったとすると、3人それぞれから通知を出さないと、出さなかった相続人には借金の請求が行くことになります。これは誤解されている方が多いので覚えておきましょう。
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