司法書士ジャーナル
橋本司法書士事務所ブログ

債務整理一般

11月 27 2007

倒産法研究会

 事務所紹介のページにも書きましたが、私は愛知県の青年司法書士会で倒産法実務研究会という会の会長をしています。この会は債務整理実務にかかわっている司法書士が多数参加しています。

やっていることは最新の改正法の研究、全国で出ている最新の判例(裁判所の判決のことです)の研究、最近の貸金業界の報告や各貸金業者の情勢の報告など、債務整理実務をやっているならば常に把握しておきたい情報を共有することです。

私たちの実務は、常に最新の情報に精通していることが重要です。その為には一人の力では限界があります。皆が情報を持ち寄って、その情報を共有することで、より適切な判断が下せるように努力していくことが研究会の最も重要な目的なのです。

私としては出来れば全員の司法書士に参加して頂きたいところですが、参加は強制ではないので、なかなかそうもいきません。

出来るだけ多くの司法書士が意識を高めて参加しくれるように今後も努力を続けたいと思います。

 

 

11月 20 2007

貸し渋り

 最近、大手の消費者金融を中心に貸し渋りが問題になっているようです。ひと昔前は、銀行の貸し渋りが問題になっていましたが、今回の貸し渋りは明らかに改正貸金業法の影響です。

貸金業の利率が下がることは長期的に見れば良いことなのですが、現在、多重債務に陥っている人にとっては、急に借入が出来なくなるという厳しい事態に追い込まれてしまいます。

もし、このような事態に陥っている人がいたら是非とも早めに専門家に相談して下さい。

最近は中小の貸金業者がつぶれてヤミ金が増えています。NHKのクローズアップ現代という番組では新たに「ネオヤミ金」という業者が現れたと報道していました。「ネオヤミ金」とは、改正法前の消費者金融の利率で貸し出し、対応も消費者金融のようにていねいで、一見ヤミ金らしくないヤミ金のことだそうです。

しかし正体はヤミ金ですから、後から行き詰まった時は、大変な目に合う可能性があります。

貸し渋りで苦しくなった時に、他の借入先に目が行ってしまう気持ちは分ります。その時に勇気を出して専門家に電話して頂きたいと思います。

11月 19 2007

最近の状況

 債務整理の業務を行なってきて随分と時間が経ちました。その間に、いろいろと状況が変化してきました。今回は、私が行なってきた業務を少し振り返ってみたいと思います。

私が開業した頃は、まだ債務整理と言えば「自己破産」という考えが主流でした。ようやく「特定調停」や「個人再生」という、自己破産とは違う手続が整備されてきたところでしたが、まだポピュラーなものではありませんでした。相談の時に、自己破産以外の方法が使えるかもしれないと伝えると、相談に来た人は大抵驚いた顔をしていたものです。

ましてや「過払い」などと言う言葉を知っている人も皆無でした。その頃は、司法書士や弁護士ですら、過払金の取り戻しについて詳しく知らない人が多かったのです。業者も今よりずっと過払金の支払いに抵抗していましたから、満額取れるケースは少なく元金の7割とか8割で和解することも珍しくありませんでした。

その頃は債務整理を専門に打ち出す司法書士は、愛知県には、ほとんどいませんでした。手前みそになりますが、愛知県で債務整理中心のホームページを立ち上げたのは、私が初めてだと思います。

それから、二つの大きな変化が訪れます。

一つは司法書士に簡裁代理権が与えられたことです。今でこそ当たり前になりましたが、昔は司法書士には任意整理を行なう資格が無かったのです。従って任意整理を司法書士がやり始めたのは、ごく最近のことなのです。

もう一つの大きな変化は、最高裁判所の画期的な判決が、ここ3年位の間に立て続けに出たことです。

これらの判決により過払金の返還請求が飛躍的に有利になりました。それとともに、「過払い」という言葉もポピュラーになり、今では過払いを見逃したら司法書士や弁護士の責任問題に発展します。

この二つの変化により、状況は劇的に変わりました。債務整理の仕事の大半は「任意整理」と「過払金請求」になり、「自己破産」と「個人再生」が急激に減少したのです。

最近になって開業した事務所の中には、開業以来、「自己破産」と「個人再生」は受けていないという事務所もあると聞きます。

しかし、こういう状況は重大な問題を、はらんでいます。要するに「自己破産」や「個人再生」の経験をつんでいない司法書士が増えてしまったということです。

それに対して、貸金業法が改正されてグレーゾーン金利が無くなることが決定しましたから、今後は「任意整理」と「過払金請求」が減ってくることは明らかです。

逆に増えることが予想されているのが「自己破産」と「個人再生」です。総量規制が始まると貸し出し基準が厳しくなり、返済の為の借入が出来なくなりますから行き詰まる人が増えてきます。金利水準は大手を中心に下がっていますから、利息制限法の利率に引き直しても支払えない場合が多くなります。住宅ローンの金利も先行き不透明で、今後金利が上昇した場合、支払いが厳しくなるケースが出てくる可能性もあります。

これらのことを考え合わせると今後は「自己破産」と「個人再生」が増えるだろうと容易に予想がつきます。しかし、あまりにも一時的に「任意整理」と「過払金請求」が増えすぎてしまった為に、技術的な経験が蓄積されていない司法書士が現場の仕事に携わるようになったことは新たな問題と言えるでしょう。

これから移り変わる状況に対して、司法書士業界が、うまく対応していけるのかどうか、司法書士業界全体の課題になるでしょう。

 

11月 19 2007

時効について

 今回は時効についての、お話です。債務整理で注意しなければならない時効は二つあります。

一つは残っている借金の時効、二つ目は過払金請求権の時効です。それぞれについてコメントしましょう。

まず、残っている借金(利息制限法の利率に引き直しても、残っている場合のことです)は、いつから消滅するのでしょうか。これは相手方が貸金業者の場合は5年で消滅時効にかかると法律で決められています。相手方が一般人の場合は10年なのですが、貸金業者との取引は通常よりも短い時効期間となっているのです。

では、5年経てば、どんな場合でも時効により消滅するのでしょうか。残念ながら、いくつかの条件を満たす必要があります。

その条件とは、①5年の間、一度も返済していない。もちろん借りてもいない。(たとえ、10円でも本人の意思で返済した事実があっったら条件を満たしません)②5年の間、貸金業者から訴訟をされたり、裁判所からの支払督促を受けていない。(裁判所を通さない、ただの貸金業者からの請求は含まれません)

以上のような条件を満たして5年経っていれば、借金は時効により消滅している可能性が高いでしょう。しかし、時効には最後に、もう一つ忘れてはならない大事なことがあります。

それは、本人が時効を援用する(法律用語で「本人が時効だから払わないと相手方に主張する」ことを言います)必要があるのです。要は何も言わないで黙っていたら、借金を請求されても文句は言えないということです。5年経ったら自動的に消滅する訳ではありません。

次に過払金請求権の時効について考えてみましょう。過払金請求権が時効消滅する期間は10年です。

要は完済してから10年を超えてしまったら過払金の回収が出来なくなる可能性がある訳です。もし、もう少しで10年になりそうだと言う人がいたら、早急に専門家に相談に行くことを、おすすめします。

時効期間経過前に過払訴訟を提起すれば時効は中断されます。例え1日でも期間を超えていなければOKですから、ぎりぎりの人がいたら急いだ方が良いでしょう。

11月 12 2007

業者から訴えられた時

 今回は業者から訴えられた時の話をしましょう。債務整理の相談をしていると、時々、訴状や支払督促を持って相談に来る人がいます。

更に深刻なのが「訴状や支払督促のようなものは過去に来ていたような気がする」と言う人です。こういうケースでは近いうちに給料の差押がされたり、あるいは既に差押えられていたという場合もあります。

裁判の仕組が一般の方に伝わっていないので、このような深刻な事態が生まれてしまうのです。そこで、裁判の仕組について簡単に説明しましょう。

業者から訴えられて訴状や支払督促が裁判所から届いたら、放置しておいてはいけません。何故なら裁判では「放置して何もしない人は訴えた人の言い分を全て認めた」と判断されて、原告100%勝訴で判決がでてしまうからです。従って、裁判では必ず何らかの反論をしなくてはいけません。理屈が苦手な場合は、とにかく呼び出された期日に出て自分の言い分を裁判官に主張してこなくてはいけないのです。

日本人は自分の言い分を主張することが苦手ですから、その時は迷わず専門家に相談して下さい。このタイミングを、はずしてしまうと後から給料の差押を受けたりして非常に面倒なことに巻き込まれてしまいます。

訴えられた時は、借金問題の中でも最も緊急を要する場合だということを覚えておいて欲しいと思います。

 

11月 05 2007

親族からの援助

 債務整理をしていて、よく思うのですが親族からの援助は、あまり良い結果を生まないことが多いようです。特に問題が多いのが親族が残りの債務を一括返済してしまう場合です。

何が問題かと言うと、一括返済という事実によって債務者の与信が上がってしまい(一括で返済してくれた訳ですから業者にとっては優良顧客として扱われます)、ほぼ例外無く再借入のセールス攻勢がかけられるからです。複数の業者に対して一括返済した場合は、あらゆるところからセールスが来る訳で、親族から援助を受ける人は、もともと家計が苦しい人が多いので、つい誘いに乗ってしまい再借入をしてしまいます。

また、こういうケースでは与信が上がっている為に返済前よりも多額の借入が出来る場合が多く、より借金が増えてしまいます。親族の援助による返済は、援助する方も援助を受ける方も充分に注意する必要がありそうです。

親族からの援助を考え始めた時点で専門家に相談に行くことを、おすすめします。

10月 15 2007

クレジット

最近こんなことがありました。

「大手クレジット会社で取引履歴を途中からしか出さないところがある」と依頼人に話をしたら、クレジット会社で、そんなこと本当にあるんですか、と言うのです。

やはり先入観というのは怖いものだと思います。実情はと言うと、武富士やアコムよりも履歴が出てこないクレジット会社は少なくありません。日本人は権威に弱いので、「クレジットはサラ金とは違うだろう、サラ金のような、いい加減なことはしないだろう」と何となく思ってる人が多いようです。残念ながら真実はそうではありません。履歴が途中からしか出てこないなんてマシな方で、返済金額をごまかしてきた業者も過去にありました。今、社会的に問題になっている次々商法なども、年金収入しかないお年寄りに、悪質業者が何千万ものクレジットを組ませたもので、クレジット会社が顧客の収入をきちんと見ていれば間違いなく審査が通らなかったはずなのです。

このブログを読んでいる方は「クレジットだから信用できる」と言う考えは止めにしましょう。

 

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