司法書士ジャーナル
橋本司法書士事務所ブログ

債務整理一般

5月 31 2011

クレジットの現金化

今、クレジットの現金化が問題になっています。各地の消費者センターにも多数、相談が寄せられていて、ちょうど改正貸金業法が施行されて消費者金融が借手の審査を厳しくした頃から増加してきたようです。

現在は法律の規制が厳しくなり、専業主婦などは非常に借りにくい状況になっています。そこを狙って悪質な業者がクレジットの現金化を勧誘しているのです。(もちろん違法行為です。業者に指示されて行った人も違法行為の共犯となります。ただ、訳も分からず指示に従った場合は情状酌量の余地はあるとは思います。それでも、何回もやっていると後半は納得してやっていたと見られる可能性が高くなります)

クレジットの現金化とはクレジットカードで換金しやすい商品(例えば、商品券・新幹線の回数券・パソコン・ゲーム機など)を購入させて、それを指定した場所で換金させて現金を渡すものです。しかし、換金率は非常に悪いにもかかわらず、現金化した人には定価でクレジットの請求がきます(当然ですね)。要は商品を媒介にした高利の貸金と変わりないのです。こんなことを何度もやっていたら、いずれ破綻することは目に見えています。

では何故、指示されたとおり現金化に手を染めてしまうのか、ここで前に戻りますが、審査の厳格化により、「借りたくても借りられない」状況に陥っているからです。後は、長引くデフレ不況により給料が上がらない、いや、むしろ下がっているという経済状況も大きく関係しているでしょう。

しかし、良く考えてみて下さい。クレジットの現金化をしても状況は決して良くはなりません。むしろ、より悪くなると言い切ってもよいでしょう。手にした現金よりも、はるかに多額の請求が、いずれ降りかかってくるからです。まさに一時しのぎにしかなりません。必ず、いつかは破綻することになるでしょう。

しかも、もう一つ悪いことがあります。将来、破綻してしまった時に、あまりにも頻繁にクレジットの現金化をしていると、自己破産の際の免責不許可事由に該当する可能性があり、破産が難しくなってしまうかもしれないのです。

破産は最後の救済手段ですから、一度でも手を染めたらダメというような扱いにはなっていません。でも限度があります。裁判官から見て、「いくらなんでも、これは多すぎる」と判断されてしまうと破産免責に影響が出ることもありえますので覚えておいて下さい。(どこからが多いのかは裁判官の裁量にまかされていますので、正確には答えられません。)

いずれにしても、まだ現金化に手を染めていない人は、絶対に手を出さないようにして下さい。もう手を出してしまった人は今後は止めましょう。クレジットの請求が来て支払えないようならば真剣に債務整理を考えて下さい。破産が可能ならば、むしろラッキーです。破産が出来なくても個人再生などで債務を減らす方法もあります。ちなみにクレジットの現金化はキャッシングではなくショッピングになるので任意整理や特定調停は出来ません。

単純に金銭を借りるよりも解決の方法が狭くなってしまうのがクレジットの現金化です。くれぐれも手を出さないように注意して下さい。

5月 17 2011

アイフル・ライフ・シティズの合併

 消費者金融のアイフル、クレジットのライフ、商工ローンのシティズの3社が合併するという情報が入りました。もう、手続は始まっているようです。

それぞれ分野が違う貸金業者なので相乗効果を狙ってのことでしょう。合併後の存続会社はアイフルになるという噂です。アイフルとシティズは供に、あまり評判の良くない業者なので、この2つが合併したら、どんなことになるか少々、心配です。

ライフに関しては、最近、クレジットの中では先駆けて過払金の支払いが悪くなっていましたので気になってはいましたが、こういう解決に至ったのかという感じです。

実は、もっと気にかかることが他にあります。アイフルは合併によって会社に営業力をつけた後で、民事再生や会社更生に踏み切って過払金を一挙に減額し、身軽になった状態で一気に会社の再生を成し遂げるつもりではないかという噂もあるのです。

アイフルは事業再生ADRという手法で既に特定の金融機関や過払い以外の有力な債権者に対して支払いを済ませているという情報があります。要は再生後の支援を取り付けやすくする為に今のうちに金融機関などには支払っておいて、会社にとって負担にしかならない過払債権者だけを狙い撃ちにして会社更生や民事再生で減額してやろうと企んでいる可能性がある訳です。こんなことをやられたら過払請求者は、たまったものではありません。

 まだ確実な情報ではありませんが、今後のアイフルの動向には注意が必要でしょう。

3月 28 2011

クレジットのマンスリークリア(後編)

 さて、本題に入る前に前回、臨時で東日本大震災について被災地以外の人の過度の節約は良くないという話をしましたが、これについて一言付け加えたいと思います。

このブログは借金で苦労されている方が、ご覧になっている場合が多いと思いますので、あえて強調させて頂きますが、あくまで必要以上の節約が良くないと言っているのであって、家計にとって必要な節約は当然するべきです。

特に現在、借金で悩んでいる方にとっては、必要な節約を要求される場面は多いと思いますので、その辺りは誤解のないように、お願いします。

 では本題です。前々回、クレジットのマンスリークリアを複数申し込むことで利息の総額をリボルビングよりも低く抑えたにもかかわらず、翌月一括払いで大きな金額が動く為、ほんのちょっとの計算違いで支払い不能になり破綻してしまうケースもあると申し上げました。こういう場合、残債務の金額がリボルビングに比べて巨額になる傾向があります。

また、リボルビングよりもトータルの利息の支払額が低い為に任意整理を試みても、あまり残債務が減らない傾向もあります。

これらを合わせるとマンスリークリアで破綻した場合は任意整理ではなく、個人再生や自己破産につながるケースが多いということになります。

もちろん、マンスリークリアでも長期間の取引をしていて過払いになるケースもあります。ただリボルビングに比べると数は少ないです。何故かというと、マンスリークリアの場合、その性質上(後述します)、リボルビングのように長期間の取引を継続している場合が少ないからです。

従って、もしマンスリークリアでも5年以上、取引の切れ目が無く続けていたならば過払いになっている可能性は、もちろんあります。

 話は戻りますが、個人再生や自己破産になった場合、裁判所に家計簿を提出しなくてはなりません。これは普段つけているものを出すのではなく、裁判所用に決められた書式のものを新しく作って提出します。その時、マンスリークリアの人は直前まで毎月大きな金額が動いている為、裁判所から詳しい説明を求められることがあります。

これは、裁判所が家計を調査する時に大きな金額が移動しているところに注目するという習慣があるからです。マンスリークリアは一括払いなので、その点、どうしても目立ってしまう訳です。

もちろん、きちんと説明できれば問題は無いのですが、まあ余計な詮索をされる可能性があるという訳です。

 このように書くと、まるで私がマンスリークリアを批判しているように受け取られるかもしれませんが、決してそんなことはありません。むしろ私は多重債務を、これだけ増やしたのは間違いなくリボルビングの責任だと思っています。

リボルビングのことを「悪魔の契約」と呼んだ弁護士さんがいるくらいです。何故なら、本人は高い利息を取られていることに極めて気付きにくく、毎月少額を返済しているつもりが、ほとんどは利息に消えていき、元金はいつまでたっても減らず、気がついてみたら10年近く取引してしまったと言う人の何と多いことか。そもそも過払請求の大半がリボルビングにより発生しているのが何よりの証拠です。返還請求ができるほどの高い利息を長年支払っていた訳で、しかも何度も言いますが、本人が高い利息を支払っていたという意識を非常に持ちにくい構造になっているのです(毎月の支払いが少額だからです)。まさに「悪魔の契約」という言葉がぴったりだと思いませんか。一説によると最初に考案したのはアメリカの金融業者だと聞いています(私は確認していませんので真偽のほどは分かりません)。まあ本当だとしたら、きっとウォール街の人なんだろうと勝手に想像しています。(彼らなら、いかにも考え付きそうじゃありませんか)

その点、マンスリークリアならば元金利息込みの全額を毎月支払いますから、自分がいくら利息を支払っているかを認識するのはリボルビングよりは容易です。また貸金業者の数を増やしにくいという特徴もあります(一括払いで支払額が巨額なので)。リボルビングは毎月の支払いが少額なので、ついつい業者の数が増えていってしまうのです(貸金業者の方も、それを狙っています)。

 このようにリボルビングには一見、便利なように見えて実は貸金業者にとって有利な部分が(逆に言えば借り手にとって不利な部分が)いっぱいあります。目先の便利さに惑わされないように、それぞれの特徴を良く考えてみて下さい。

 次回はオリコの取引履歴についてです。

3月 22 2011

東日本大震災についての考察

 本日は予定を変更してお届けします。本ブログは主に愛知・岐阜・三重の方に対して発信しているつもりで書いていますので、遅れてしまいましたが、もし東北・関東の方が読まれていたら、「このたびの東日本大震災により、お亡くなりになられた方々のご冥福をお祈り申し上げますとともに、被災された地域の皆様に対しまして心からお見舞い申し上げます」。

 さて、未曾有の大災害が起こって、大事なのは、「これから、いかにして復興するか」です。先ほど、本ブログは主に愛知・岐阜・三重に向けて書いていると言いました。これらの地域の人が復興に向けて出来ることは散々テレビなどでも報道されています。でも報道では目を向けられていませんが、私が大事だと思うことを述べてみたいと思います。

 それは被災地以外の人が「してはいけないこと」です。答えは意外に思われるかもしれませんが、「個人の節約」だと考えています。

日本人的感覚では被災地の惨状をテレビで見てしまうと、自分たちも節約しなければと考えてしまいがちです。でも、ちょっと待って下さい。愛知県の人が節約したことで何か被災地の人の為になるでしょうか。むしろ個人の節約は回り回って被災地の復興を遅らせてしまう可能性すらあるのです。

例えば、愛知県の人が一斉に家計を節約した場合、当然、愛知県内の小売業、外食産業、製造業などは大不景気に陥ります。そうすると、それらの会社や事業主は不景気になることによって赤字になり税金を払わなくなってしまいます。

これだけの大災害の復興は個人の努力では限界があります。どうしても政府が財政出動しなくてはなりません。その場合、国債や政府紙幣を発行するという手段はもちろんありますが、ただでさえ国債発行に非難が集まっているご時勢ですから、税収が多いほうが良いに決まっています。

ようするに被災地以外の人が節約すると全国的に不景気が加速して税収不足になり政府が復興の為の臨時予算が組みにくくなる可能性があると言う訳です。結果的に被災地の復興を遅らせることになりかねません。

 もちろん節約をしないと言っても、注意すべき点はあります。一つは特定の品目だけを買い占めること(理由は必要ないですね)。もう一つは電力不足の地域において電力を大量に使う消費行動です(愛知・岐阜・三重は今のところ対象外です)。この二つに関しては、明らかに迷惑になる行為なので控えた方が良いでしょう。

しかし、上記に該当しない消費であれば、むしろ控えるべきではないと私は考えます。積極的に消費をして経済を活性化して政府の税収を上げてやることが結果的に復興を早めることになると思います(もちろん、政府が上がった税収を適切に復興に使うと言う前提ですが)。

 被災地以外の地域の経済が活性化してこそ、復興に余裕をもって望むことが出来ます。自分達の足元がしっかりしていなければ、他人を助けることなど出来ません。くれぐれも必要以上の節約をして日本全国大不景気などということにならないようにしましょう。

 

3月 16 2011

クレジットのマンスリークリア(前編)

 クレジットカードのキャッシングには2種類の方法があります。(カードによっては1種類しかないものもあります)

 一つは、リボルビングと言い、消費者金融と同じ方法です。一定の限度額を設けて、その限度額内ならば、いつでも借入が可能で、それに対して返済は最低弁済額を超えていれば少額でも構わないというものです。

この方法は一見、便利で借りやすいように見えますが、実は借金の総額が、なかなか減らないという重大な欠点をもっています。しかも、返済額が少額なので気付きにくいのですが、利息は借金の総額に対してかかっているので、実は非常に高い利息を支払っていることに気付きにくいのです。

「高い利息を払っていることに気付きにくい」ということは貸金業者にとっては誠に都合が良い訳で、だからこそ消費者金融などは、ほとんどの業者がリボルビングを採用している訳です。これは裏を返せば借りる側は非常に損をしているということになります。(ほとんどの人は、最も損をする借り方であることに気付きません)

 一方、クレジットもリボルビング方式は主流です(理由は儲かるからです)。しかし、クレジットの場合は、もう一つマンスリークリアという借入方式を選べるカードがあります。多くは銀行系などの審査が厳しめなカードが多いようです。この方式は、まとまった金額を一度に借りて、翌月には一月分の利息を付けて全額返済するという方法です。

 意外なことに、マンスリークリア方式の方が利率が高いことが多いのです(私は、これはリボルビングに借り手を誘導する為の業者の作戦ではないかと思っています)。従って、目先の利率に惑わされてしまう人も多勢いて、利率が低いからリボルビングを選んでしまうことが良くあります。ところが、ここに落とし穴があるのです。

リボルビングは高い限度額が長期間ずっと維持されますので(長いときは10年以上)、トータルでは非常に高い利息を支払っています(だからこそ過払請求が起こっている訳です)。ところが、マンスリークリアの場合は短期間に精算が済んでしまいますので、実際にはリボルビングほど多くの利息を支払っていません。10年間マンスリークリアを繰り返した人と、リボルビングで借り続けた人を比較してみれば、利息の金額の差は一目瞭然の結果になるでしょう。(もちろんリボルビングの方が高くなります)

それが証拠にクレジット会社はキャッシングのリボルビングキャンペーンや、あとからリボルビングに変更できるプランを盛んに用意しています。何故、彼らがリボルビングを、こんなに勧めるのか、答えはリボルビングがクレジットに大きな利益をもたらすからです。

逆の見方をすれば、リボルビングを良く使う人はクレジットを儲けさせていることになります。どうでしょう。リボルビングを使っている人は、だんだん悔しくなってきたのではないでしょうか。

 なかには、そのことに気付いて、リボルビングでは借金は一向に減らないし、いつまで経っても利息ばかり支払っている、これからはマンスリークリアにしようと考える人もいます。

この考え方自体は間違ってはいません。借り手が少しでも利息を減らそうと考えるのは自然で合理的な行動です。むしろリボルビングの罠に良く気がついたと言うべきでしょう。ところが、なかには複数のマンスリークリアを綱渡りのように融通しあって毎月大きなお金が動くようになってしまう人もいます。そうなると、翌月一括払いなので、ほんの少し計算が狂っただけで破綻に追い込まれることもあるのです。

 次回はマンスリークリアを利用して破綻した場合の債務整理についてです。

2月 22 2011

臨時ニュース アイフルの怪しい和解

 本日はクレジットカードのライフについて書く予定でしたが、緊急な情報が入ってきましたので予定を変更してアイフルについて書きます。

 アイフルは武富士が倒産してからは主要消費者金融の中では最も経営が悪化していると言われている業者です。次の大型倒産はアイフルだろうというのが業界での噂となっています。

以前にも書きましたが、武富士の倒産によって、隠れ過払いだった人が自分が過払いであることに気付くことが多くなりました。理由は、武富士がコマーシャルや電話、ATMの表示などで隠れ過払いの人に債権届けの必要性を大々的に訴えたからです。これにより武富士の訴えを聞きつけた人は他の業者についても自分は過払いになっているのではないかと疑いました。当然、次のステップとして他の業者に対しても取引履歴の請求をしてみることになりました。すると、案外多くの人が他の業者についても過払いになっていることが多かったのです。これによって、本来、武富士とは関係なかったはずの業者まで大量の過払請求を受けることになった訳です。(実際に主要業者に対する取引履歴の請求件数が武富士倒産後に急増したそうです)

ところが、ここでトンデモナイ手を打ってきた業者がありました。アイフルです。アイフルは何と取引履歴の請求を受けた相手に対してゼロ和解の書面を送りつけて、相手が何も分からないうちに和解を結び過払請求を封じ込めようとしているらしいのです。

ゼロ和解とは「お互いに債権債務なし」と書かれた書面で、簡単に言うと、「アイフルも今後、請求しないから、あなたもアイフルに対して請求しないように」という約束を交わすことです。

この書面をもらった人は、「今後はアイフルからの請求は無くなるのか、良かった」と思ってしまうかもしれません。(実はアイフルに対する過払請求を封じ込められることになる訳です)

これは非常に問題があります。もし、この和解書を返送してしまったら、後で過払いであることに気付いても請求できなくなる可能性があるからです(本人が認識していた訳ではないので、裁判を起こせば勝つ可能性もありますが、絶対ではありません)。

アイフルと長期間の取引をしていて取引履歴の請求をしたら、アイフルから書面が送られてきて、それを返送してくれと言われたら、絶対に気軽に返送しないで下さい。上記のゼロ和解書面である可能性もあるので、よく読んでからにしましょう。読んでも分からない場合は、専門家に見せましょう。それから返送しても遅くはありません。

 今や消費者金融業界は、どこの業者も青息吐息です。苦しくなってくると業者もなりふり構わなくなってきます。後で後悔しないように、しっかり情報収集をすることが肝心です。

1月 24 2011

地方の裁判所

 本日のタイトルは、ちょっと紛らわしいのですが、いわゆる地方裁判所のことではありません。タイトルの意味は都心部ではない比較的人口の少ない地域の裁判所のことです。

 何故、地方の裁判所を取り上げるのかと言うと、最近、気がついたことがあるからです。それは過払訴訟をやっていると地方の裁判所の方が有利に決着することが多いのではないかということです。

具体的には、相手方(貸金業者)の出頭率が低いということが挙げられます。業者の方も経営悪化を受けて支店の数を減らしています。この場合、やはり人口の少ない地域から支店が減らされていきます。そうすると、そのような地域で裁判を起こされると、業者は遠方から従業員を派遣しなくてはなりません。当然、交通費がかさみますし、時間も取られてしまいます。仮に弁護士に頼んだとしても、遠方に出頭する場合は弁護士が交通費等を業者に請求してくるでしょう。やはり余分に費用がかかる訳です。

過払訴訟は業者にとって勝ち目のある裁判ではありません。勝ち目が薄い裁判で、わざわざ地方に費用をかけて出向きたくないという心理が働いているのでしょう。

過払訴訟は業者にとって勝ち目が薄いと言いましたが、そうすると業者の裁判での対策は、いかにして長引かせて過払請求者の嫌気を誘って金額を引き下げるかにかかっています。都心部の裁判所では(筆者の場合は名古屋の裁判所)、あらゆる長引かせる為の手を打ってきて、正直、うっとうしいくらいです。ところが、地方の裁判所(筆者の場合は三河地方、岐阜県、三重県など)に行くと、そもそも出頭してこないので、あっさりと判決が出たりします。非常にありがたい訳です。

和解で決着する場合も地方の裁判所に出した方が早めに決着する傾向があります。業者も判決が出るくらいなら和解した方が良いと思うのでしょう。だからと言って、裁判所の管轄は決まっていますから、地方の裁判所に出せるのは地方在住の人に限られます。

 実は過払訴訟に限らず、個人再生や自己破産でも地方の方が有利な場合が多いのです。例えば、個人再生は名古屋では再生委員が付く為に裁判費用が10万円以上かかりますが、地方では3万円くらいで済んでしまいます。自己破産の場合も、名古屋では最近、管財事件に回される事件が多くなってきていますが、地方では多くありません。そもそも管財人になる弁護士が地方には少ないというのが影響しているのでしょう。

正直、こんな差があって良いのかと非常に疑問に思いますが、これが現実なのです。だとしたら地方で債務整理を考えている人は都会よりも有利なことが多い訳ですから、是非、ためらわないで頂きたいものです。(残念ながら現実は逆で、有利なはずの地方の人が債務整理や過払請求をためらう場合が多く見られます)

 地方在住の方は、上記の事実を、良く認識して頂いた上で判断して頂きたいと思います。

1月 17 2011

広告の変化

 最近、地下鉄に乗ると気付くことがあります。以前に比べると大手の弁護士事務所や司法書士事務所の車内宙吊り広告が減ったなという印象です。予想通り、全国展開して大量の広告宣伝で債務者を集めていた事務所の化けの皮がはがれてきたようです。

このような大型事務所は、今回の武富士の倒産で相当なダメージを受けた可能性が高いと思われます。大型事務所は依頼者の数が多いですから大手の武富士相手の過払請求は相当な数に昇っていたことは間違いありません。それが今回の倒産で一気に回収不能になったのです。恐らく驚くような売上の減少にみまわれたのではないでしょうか。

 効率だけを重視する方針の事務所にとって、最近の過払請求は以前ほど魅力的なものではなくなっています。相次ぐ貸金業者の経営悪化に伴い満額回収は日に日に難しくなっていますし、支払期日も延びる一方です。そればかりか、一度交わした支払いの約束を支払日直前になって、「やっぱり払えないので更に延期してくれ」と言ってくる業者まで現れる始末です。

ここ4~5年の間に経営効率のみで新たに参入してきた大型事務所は、もう撤退時期を考え始めているでしょう。既に撤退した事務所も少なくないと思います(だからこそ広告が減少している)。

おとなしく撤退している事務所は、まだ問題が少ないのですが、中には依頼者を抱えたまま事務所自体が破綻してしまったケースも出始めているようです。(私の地元の愛知県でも、そのような事務所が出現したという話を聞きました) 

このような破綻事務所が出た場合、依頼人は依頼の途中で放り出されてしまうことになります。急いで他の事務所を探し回らなければなりません。代理人がいなくなってしまう訳ですから、ぼやぼやしていると貸金業者から取り立ての電話がかかってくる可能性があるからです。非常に悲惨な状況が出現することになります。

 これだけ状況が変化して回収が以前よりも難しくなっている時に未だに大量の地下鉄広告とかテレビコマーシャルとかをやっている事務所は果たして経営状態は大丈夫なのでしょうか。宙吊り広告やコマーシャルはタダではありません。かなりの広告料がかかっているはずです。過払金の回収率が目だって減っている時に果たして広告料金を回収できているのでしょうか。私には、はなはだ疑問です。ひょっとしたら昔の広告料金を払う為に、新たな依頼者を新しい広告で強引に集めざるを得ないというような自転車操業に陥っていないとも限りません。(もし、そうだとしたら、依頼者と事務所、どちらが多重債務者か分からなくなりますね)

 これから依頼を考えている人は、こういうことも頭の隅に置いておいた方が良いかもしれませんよ。

12月 27 2010

臨時ニュース 武富士 その後③

 さて、今年最後のブログとなってしまいました。年末が忙しくてブログの回数が減ってしまいました。申し訳ありません。今日は武富士の新しい情報です。(破産の続きは新年になります)

 前回の武富士のニュースでは、完済して確実に過払いになっている人が、債権届に気付かないで取りはぐれる恐れがあると書きました。ところが新しい情報によると、何と武富士は完済している人に対して債権届をするように電話をかけているそうです。

いや、少し武富士を見直しました。今回の武富士の対応は、全ての過払いの可能性のある人への周知徹底という意味ではやれることはやっていると言ってよいでしょう。正直、ここまでやるとは思ってませんでした。

しかし、さすがに契約の時に電話をかけないようにと債務者の方から武富士に通知していた人は除外されているようです。これは下手にかけると逆に債務者にクレームをつけられる恐れがありますから、まあ仕方が無いでしょう。あと、携帯電話などの番号が契約時と変わってしまって連絡がつかない場合も放置されているようです。(これも仕方が無いですね)

上記に当てはまる完済している人は、相変わらず債権届を忘れる危険性がありますから注意が必要です。もし、このブログを読んでいて当てはまっていたら、専門家に相談しましょう。

 実は、これらの武富士の徹底した過払金の知らせによって、思わぬ副作用が発生しています。それは、武富士のATMに行って過払金が分かった人、あるいは武富士からの電話で過払金を知った人などが専門家に相談することによって、他の業者の過払金まで分かってしまうということです。どうやら全国的に、このようなことが発生しているようなのです。

それによって、武富士以外の業者まで取引履歴の請求や過払金の返還請求の件数が増加してしまい、今、貸金業界は非常に忙しいことになっているようです。要は、今まで過払いの存在に気付いていなかった人達(眠っていた人達)を、武富士の倒産がきっかけになって起こしてしまったという訳です。

最近、武富士以外の業者に過払いの請求をすると、「武富士さんの倒産以来、請求が増えて事務が遅れています。」という返事を良く聞きます。もちろん今まで気付かなかった人が過払いに気付くことは良いことですが、一つ心配なのは、請求が同じ時期に集中することで他の業者まで倒産してしまわないかということです。

 今後も武富士の動向には目が離せません。

 それでは、みなさん、良いお年をお迎え下さい。

 

11月 24 2010

臨時ニュース 武富士 その後②

 さて、業界に衝撃が走った武富士の会社更生ですが、概要が固まってきたようなので、お知らせします。

 まずは一番肝心な債権届出期間ですが、来年2月28日(月)までです。この日付までに武富士所定の債権届出書に過払債権額を記載して、期間内必着で郵送しなくてはいけません。過払いであるにもかかわらず、期間内に届出をしなかった場合は1円も戻ってこない可能性がありますから、是非とも注意しなければなりません。

私の聞いた情報によると、現在、武富士のATMで返済をすると、その人の取引が過払いになっていた場合は、過払いだから返済の必要が無いということを画面で知らされて、入れたお金が機械から戻ってくるそうです。これが本当なら画期的な仕組で、少なくとも現在、取引をしている人は自分が過払いで債権届が必要なことが分かるようになっていることになります。(もし本当なら、全ての業者がこの仕組を採用して欲しいものです。こんな仕組も、やれば出来るということになりますから)

しかし、上記のような画期的な仕組でもカバー出来ない人達がいます。勘の良い人は、お分かりでしょう。そうです、完済してしまって現在は取引をしていない人達です。これらの人達は完済していますから100%過払いになっています。要は債権届が必ず必要な人達なのです。にもかかわらず、取引が終わっている為、武富士のATMに行くことはありません。このことから、膨大な完済者が債権届の事実を知らないまま期間が過ぎてしまうのではないかと懸念されています。(実は武富士側も、それを狙っているのではないかと私は考えています。)

このような武富士側の思う壺にはまらないように、せめて、このブログを読んだ人は必ず債権届をしましょう。

 次に気になる弁済率ですが、正式に決まるのは来年の7月頃になるそうです。この頃に更正計画案が出されて、どのように弁済していくかが決まります。前のブログでも書きましたが、噂ではかなり厳しい弁済率になるのではないかと言われています。5%か10%くらいになる可能性も充分にありえます。20%以上だったらラッキーだと思っておいた方が良いでしょう。それでも1円も戻ってこないよりはマシですから、債権届は忘れずに。

 今は、司法書士が依頼を受けて武富士に通知を出すと、しばらくすると債権届が送られてきます。その届用紙が白い場合は過払いになっている人で債権届が必要な人、青い場合は引き直しても債務が残る人で債権届が不要な人となっています。何だか不謹慎ですが、まるで受験の合格票みたいだなと思ってしまいました。

 武富士の情勢には目が離せません。今後も新しい情報が入ったら、お伝えしていこうと思っています。

 

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