司法書士ジャーナル
橋本司法書士事務所ブログ

4月 24th, 2008

4月 24 2008

シリーズ 特定調停①

 最近、特定調停の質問を、よく受けるので、特定調停についてシリーズにして書いてみたいと思います。まず、1回目のテーマは「特定調停に向く人、向かない人」です。

特定調停の概要については、ホームページの本文を見て頂くこととして、そもそも特定調停は、弁護士や司法書士が行っている任意整理を素人でも出来るようにしようという目的で始められた制度です。従って、任意整理が向く人は特定調停も向く、と考えて良い訳です。

では、どのような人が任意整理や特定調停に向くのかと言うと、最も重要なのは「利息制限法で減額した後の金額を支払えるだけの収入がある」ということです。

一見、当たり前のように見えますが、意外に理解されていないと思います。「とにかく今より減れば良い」と考えている人も結構多いのです。実は、特定調停を裁判所に申し立てたにもかかわらず、この点で裁判所から断られてしまう人が多いのです。

「債務が減額される」ことと、「減った後の債務が支払える」ことは別の問題だということを注意して下さい。

多くの人が業者との交渉を心配されますが、実際には業者との交渉は調停委員がやってくれますから、ほとんど問題ありません。最も問題になるのは、調停委員から「あなたは特定調停では支払うのが無理」と判断されてしまうことです。(裏を返せば、調停委員を納得させることが出来れば、調停は7~8割は成功したようなものです)

 次に重要な判断材料は、「過払金の発生が見込めるかどうか」です。

現在の特定調停の制度では過払金の回収は認められていません。従って、「過払金を回収してから、その過払金を使って残りの債務を支払う」ということが出来ない訳です。これは「債務の圧縮」という債務整理の重要な目的からすると大きなマイナスです。

過払金の発生は、5年~7年だと5割くらい、8年以上だと8割~9割の人が見込まれると考えられています。故に、5年以上の取引がある人は任意整理を考えた方が良いかもしれません。8年以上の取引があるのなら、任意整理を選択するべきだと思います。