9月
26
2008
今回はアコムについてです。
アコムは主要な消費者金融の中ではプロミスと並んで銀行と密接につながっています。アコムの提携先銀行はメガバンクの一つ三菱東京UFJ銀行です。いずれは銀行に吸収されるのでは、という噂も流れているくらいです。
例えば、キャッシュワン(三菱東京UFJ系列のローン会社)のカードローンを借りると保証会社がたいていアコムになっています。キャッシュワンの審査も事実上アコムのノウハウで行っているという噂です。
この銀行との提携がアコムの長所であると同時に短所にもなっています。長所の部分は、法律違反に関して他の消費者金融よりも気を使っていることです。従って、武富士やアイフルに比べると強引な手法は少ないと言えるでしょう。まあ、一見、優等生に見える部分があります。(本当に優等生とは、もちろん思っていません。あくまで比較の問題です)
一方、短所と思える部分は、法律を前面に出して徹底的に争ってくる場合があることです。違法な手段というのは借りてる債務者にとっては、やっかいなものでしょうけど、法律家にとっては攻撃しやすいとも言えます。しかしながら、アコムは法律を盾にして正当性を主張してくることが多いので、やっかいで手ごわいのです。逆に法律で勝ち目が無いと分かった時には、ウソみたいに素直に従ってくることもあります。
取引履歴の開示に関しては、まあ早い方でしょう。そんなに待たされることはありません。長期間の取引の場合でも、ほとんど開示されます。ごまかしについても、あまり心配する必要は無いでしょう。
分割払いの交渉は、本人の支払能力さえ充分ならば、割とスムーズに決着できます。この点は評価できると思います。債務が残る場合は、ありがたい業者です。
過払いが発生している場合は、先ほども触れたように、法律で争う余地が有る場合と無い場合で極端に態度が違います。争う余地が無い場合は非常に素直に支払ってきます。入金も早い方です。しかしながら、争う余地がある場合(最近では、途中で長い空白期間がある取引の場合など)は、途端に徹底的に争ってきて場合によっては弁護士をつけてくることもあります。法律で業者が勝てる可能性があると判断した時のアコムは、正直、武富士よりもやっかいです。この辺が銀行的と言われる所以です。
従って、過払請求をする場合は注意した方が良いでしょう。ケースによっては思わぬ抵抗にあうかもしれません。
あと、アコムで注意したいのは、取引期間が長くて過払いになっている人に対して、積極的に利息無しの分割払いの和解を勧めていることです。過払いになっていることに気付かない人が、この誘いにのってしまい、中には「アコムは苦しい自分に有利な条件を出してくれて親切な会社だなぁ」などと思っている人までいるのです。
他の会社の取立てがきつくて相談に来て、取引履歴を取り寄せてみたらアコムもしっかり過払いだったなんてことが良くあります。今、このブログを読んでいる人で「あ、私もその和解結んじゃった。もう手遅れなのかな」と思った人は、あきらめないで下さい。和解契約書に印鑑を押した後でも過払請求は出来ます。実際に過払請求をしても、和解を結んだことを理由にしてアコムが過払請求を拒否することはありません。アコムにしてみれば、「あ、ばれちゃったか」という感じなのでしょう。
アコムについては、この位にしておきましょう。次回はプロミスを取り上げます。
9月
19
2008
今回は武富士を取り上げます。
いわずと知れた巨大消費者金融であり、かつては業界トップだったこともありますが、創業者社長が事件を起こして以来、営業成績はかんばしくなく、以前の面影はなくなりつつあります。しかしながら、強引な態度や理不尽な要求などは未だ健在の部分もあり注意が必要です。
アコムやプロミスが銀行と手を組んで生き残ろうとしているのとは対照的に、武富士は独立系と呼ばれ他の金融機関との提携という話は聞こえてきません。良くも悪くも、このことが武富士の特徴となっており、アコムとプロミスが銀行を意識した法律を全面に押し出した対応をしてくるのに対して、昔ながらの消費者金融らしい強引な対応が目立ちます。
任意整理の通知を出すと、本社管理部(東京都新宿区西新宿)に窓口が移行して、この部署で全ての決済が行われるようです。本社管理部は債務が残る場合と、過払いになる場合とで部署を分けています。このことから、どこの部署になったかが分かった時点で過払いか、そうでないかが分かる仕掛けになっています。
対応は主要な消費者金融(私の独断による分類では、武富士・アコム・プロミス・アイフル・CFJ・GEコンシューマーが入ります)の中では、かなり遅い方です。取引履歴が送られてくるのも主要6社の中では一番遅いですし、取引履歴が送られてから和解交渉の為に電話をしても「まだ担当が決まっていないので交渉は、もう少し待ってくれ」などと言われたりします。また、交渉が担当者レベルでまとまりかけて上司の決済に上がった時も、決済にかかる時間が遅かったりします。
取引履歴の開示は、よほど古くない限り全て開示されます(昭和からでも出てきます)。ごまかしも、ほとんどありません。この点は信用しても良いでしょう。
債務が残って分割払いを頼む時は、以前は異様に強気で分割を拒否していた時期もありました。分割にするならば将来利息を全額要求してきました。これでは、任意整理をするメリットが無いので、大勢の依頼人が武富士だけ残して滞っている時期があったのです。さすがに今では分割を認めるようになりましたが、それでも和解日までの利息を要求してきたり、一筋縄ではいきません。
一方、過払金の請求に対しては今のところ、しつこい抵抗はしてこないように思います(いつ方針が変わるかは分かりませんが)。それでも消費者金融全般に言えますが、任意の請求で素直に満額支払ってくるところまではいきません。やはり、満額請求しようと思ったら、訴訟に持ち込むのが結果としては早いでしょう。任意請求だと、のらりくらりと待たされて埒があきませんから。
武富士の最近の状況は、こんなところです。では次回は、アコムについて取り上げます。
9月
12
2008
本日2件目のブログになりますが、重要なニュースが飛び込んできましたので、お伝えします。
かねてから危険な噂のあった三和ファイナンスが、本日12日に、全国の過払金債権者600人から破産を申し立てられました。いわゆる債権者破産です。
破産には債務者(この場合は三和ファイナンス)が申し立てる自己破産と、債権者(この場合は過払金請求者)が申し立てる債権者破産の2種類があります。
過払金返還請求の判決を取っても支払わない三和ファイナンスに対して、全国の過払金請求者が怒りの声を上げ、その声を吸い上げた対策弁護団(団長、宇都宮健児弁護士)が東京地裁に破産を申し立てた模様です。
私がつかんだ情報によると、申し立てたのは約600人で、債権額は約3億2000万円だそうです。
しばらくしたら、より詳しい情報も伝わってくるでしょう。三和ファイナンスに過払金請求権を持つ全国の債権者が配当に参加するように、呼びかけも行われるのではないかと思われます。ここしばらくは注意する必要がありそうです。
9月
12
2008
次回からは、新しいシリーズとして「任意整理における各業者の対応」を述べてみたいと思います。
任意整理の場合、破産や再生と違って、業者ごとに交渉して業者ごとに決着していきますので、業者による対応の違いが結果に影響を与えます。
そこで私の経験を元にして、主要な業者の特徴を紹介していきたいと思います。
このシリーズを始めるにあたって、一つ注意して頂きたいことがあります。それは、時期や人によって同じ業者でも対応に違いが出ることがあるということです。
例えば、あくまで私の経験を元にして紹介していきますが、別の司法書士や弁護士の時に違う対応をされたということはありえます。従って、あくまで目安と考えて下さい。
また、同じ業者でも時期によって対応を変化させることがあります。その時、その時の会社の経営状況、新たな最高裁判決、新しい法律の制定、マスコミの報道、などなどに貸金業者も影響されるのです。従って、ここで紹介した対応が、ずっと続くものではありません。
上の二つを比べた場合、恐らく私の予想ですが、時期による変化の方が人による変化よりも大きいように思います。ある時から急に対応が変わったというのは私も何回か経験していますから。
以上のことを念頭に入れて次回からのシリーズを読んで頂ければ、参考になる部分はあると思います。それでは、次回は武富士を取り上げる予定です。
9月
02
2008
今回は書面決議を無事に通過した後の流れについて説明しましょう。
書面決議を無事に通過すると認可決定書という書面が裁判所から送られてきます。めでたく再生計画案が認可された訳です。(この時から、案の文字が取れて「再生計画」になると考えられます)
依頼人は認可決定が出ると「先生、ありがとうございました。これで終了ですね。」と言われる場合が多いのですが、実はまだ終わってはいません。認可決定が出た後、約1ヵ月後くらいに確定通知が裁判所から送られてきます(ちなみに確定通知を送るのは裁判所の義務ではないようです。名古屋の場合はサービスで送ってくれます。送ってくれない裁判所では忘れずに請求する必要があるでしょう)。
この確定通知が送られたら、司法書士または弁護士は、各債権者に向けて振込口座を知らせてくれるように通知を出します。債権者は、いつ確定したか分かりませんから待っていても振込口座は教えてくれません。こちらから聞きにいかなくてはなりません。
振込口座が全ての業者から知らされたら、それをまとめて依頼人に知らせます。これで、ようやく個人再生の終了となります。(弁護士の場合、手数料を取って振込の代行を引き受ける場合もあります)
いかがでしたか。結構、大変だったでしょう。うまくいけば、メリットも多いので、自分が当てはまると思ったら経験のある専門家を探してトライしてみて下さい。
より詳しい情報を知りたい方は以下をクリック
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