司法書士ジャーナル
橋本司法書士事務所ブログ

5月 13th, 2010

5月 13 2010

シリーズ 多重債務からの脱出① 多重債務のきっかけ

 さて、本日から新シリーズとして、多重債務から脱出する為には、そもそもどのように生活をしたら良いのかを考えてみたいと思います。

 多重債務を抱えてしまったら、まずは専門家に債務整理を依頼して債務自体を圧縮するか、あるいは無くしてしまうことが最初に取るべき方法です。しかし、それだけでは充分ではありません。そもそも何故、多重債務に陥ってしまったのか、その原因を探って家計の見直しを行わなければ再び苦しい状態に戻ってしまいます。この部分は専門家に頼るのではなく、自分自身が気がついて直す努力が必要です。気がつく為の手助けとして、このブログを役立てて下さい。

では何故、普通の人が多重債務に陥ってしまうのでしょうか。私が何人もの多重債務者を見てきた中で、最も多いと思われる原因は以下のようなものです。要は「急激な収入の減少に意識が追いついていかない」というものです。

意外に思われるかもしれませんが、もともと収入が低かった人は案外、多重債務にはなっていません。もし、なっていたとしても借りている業者の数は意外に少なかったりします。いわゆる、一般に知られている多重債務(5社~10社、あるいはそれ以上)から借りている人は、大抵、過去にある程度の収入があった人が多いのです。

これは、もともと収入が低かった人は余り無理をせず、低い収入の中で見合った生活をしている人が多いからだと思われます。ところが、収入が多い時期を経験すると人は、その収入に合わせて贅沢をするようになります。その収入が維持されていれば問題ないのですが、最近の不安定な景気の状況では突然、収入が激減することがあります。この急激な変化に意識がついていきません。今までの生活レベルを収入の変化と同じスピードでは変えられない人が多いのです。

その結果、収入が下がっているのに、支出が変わらない訳ですから必然的に家計は苦しくなります。こういう時に貸金業者の誘惑に負けてしまうのです。

この時の心理状態として考えられるのは、「収入が下がったのは一時的なもので、また元に戻る。その時に返せば問題無い」というものでしょう。この考え方自体は私は責められないと思います。もう二度と収入が上がらないと、あきらめてしまうよりは前向きだと思うからです。しかし、大事なのは、「今は収入が下がっているのは確かなのだから、次に収入が上がるとしても、それまでは支出を切り詰めなければならない」という発想を同時に持つことです。

 では、原因が分かったところで、どのように支出を切り詰めれば良いのでしょうか。次回から、支出の削減について考えてみましょう。