司法書士ジャーナル
橋本司法書士事務所ブログ

2013年2月

2月 14 2013

自己破産解決事例②

ご主人と別居状態になって、生活費が入らず借金に頼ったケースです。(このパターンの自己破産は結構あります)

Sさん、女性、40代、子供2人
主婦、パート
借入先5社、 借入総額約250万円

夫は元々、建設業の一人親方で、収入も多いときは50万くらい、少ない時でも20万くらいはありました。しかし、折からの建設不況で収入が減少し月に10万も稼げないことも珍しくなくなりました。

それで生活費が足りなくなり私もパートに出るようになりましたが、まだ小さい子供がいた為に、それほど多くの時間は働けません。だからといって子供を預けると、その為の費用がかかってしまい、結局、家計の足しになりません。

そんなこともあって消費者金融から借金をするようになりました。最初は抵抗もあったのですが、何度も出し入れをしているうちに借入限度額が何だか銀行口座の残高みたいに思えてきて、借金をしているという感覚が薄くなっていきました。

家計が苦しい時に限って何故だか悪いことが重なるもので、娘の携帯の代金が30万円という途方もない金額の請求が来ました。どうもパケット放題の契約になっていなかったようなのです。携帯会社に説明不足じゃないかと文句を言いましたが聞き入れてもらえませんでした。

また、同じ時期に私が車の事故を起こしてしまいました。自損事故で他人に迷惑はかけなかったのですが、車両保険に入っていなかったので、修理代に50万近くかかりました。田舎に住んでいたので、車がないとパートにも行けません。

ただでさえ苦しい時に、こんな臨時出費は痛すぎました。更に借金の額は増えてしまい、さすがに返せなくなるんじゃないかとあせり始めました。

建設不況は更に深刻になり、夫の仕事は、ほとんどなくなりました。たまに仕事があっても、生活費には入れてくれなくなりました。生活が苦しいと私が言うと、夫は「それなら自分は実家に、しばらく住むから」と出て行ってしまいました。

もはや、パートだけで借金を返しながら生活していくのは無理だと思い、ネットで探して司法書士に相談しました。法律家に相談に行くなんて人生で初めての経験なので、すごく緊張しました。こんなに借金してしまって、だらしがないと怒られないかと心配でした。

しかし、実際に相談してみると、「あなたみたいな人は珍しくない。借金の額も特に多いほうではない」と言われて少しほっとしました。

先生は、「あなたは収入が少ないし財産もほとんどないので、自己破産しかないと思う。ただし、ご主人が事業主なので、管財事件にならないかだけが心配だ」と言われました。管財事件になると、裁判費用がすごく高くなるそうで、到底、今の私には支払えそうにないからです。」

破産書類を裁判所に出してもらって、しばらくすると、案の定、裁判所から管財事件の打診があったことを知らされました。私は裁判所に呼ばれることになり、そこで、前もって先生に言われたとおり、窮状を裁判官に訴えました。「管財事件になったら私は破産をあきらめなくてはならなくなります。何とかして下さい。」と。

しばらくすると、裁判所から同時廃止で処理するという決定が来ました。私は非常に喜びました。その後はスムーズに手続は進み無事に免責決定も頂きました。そして、先生のすすめもあって、結婚後に疎遠になっていた両親のところに行ったところ、しばらくは援助してもらえることになりました。親身になって相談にのってくれた先生には本当に感謝しています。

○司法書士からのコメント○
ご主人が生活費を入れなくなったことで主婦が破産するケースは割とよくあります。この場合、主婦は被害者なので裁判所もスムーズに免責を認めてくれることが多いです。
その点は問題なかったのですが、この人の場合、ご主人が事業主だったので(と言っても一人親方なので、裁判所の取り扱いは厳しすぎると私は思いますが)、管財事件になるかもしれないということが唯一のネックでした。
しかし、現実問題として管財の預納金の支払能力は無い人なので、その事を積極的にアピールするように伝えた上で裁判所に行ってもらいました。
本人の必死の訴えが届いたようで、無事に同時廃止で処理されることになりました。本当に良かったと思います。

☆管財事件とは
 破産管財人が選任される事件。破産者が事業主であったり、法人であったりした場合は基本的に管財事件になる。近年は判定が厳しくなり、配偶者が事業主の場合にも適用されるケースが増えてきている。
裁判費用に管財人の報酬が加算されるので高額になる。通常は40万くらい。裁判官の裁量で金額が下がることもあるが、それでも同時廃止事件と比較したら何倍も高額である。

2月 05 2013

個人再生解決事例②

依頼人が、親から譲り受けた土地を持っていたことと、手続の途中で正社員に昇格したことが印象に残っているケースです

Kさん、男性、住宅ローン無し(ただし土地は所有)
40代、会社員
借入先 6社、 借入総額 約400万円

結婚前から旅行が好きで、よく飛行機などを使って旅行に行っていました。旅行費用を捻出するために、たまに借入をすることもありましたが、その時は、給料で返せる程度でおさまっていました。ただ、借りることに抵抗が無くなっていたことはあると思います。

後に、前の会社を退職して事業をしないかと友人に誘われました。今、考えると、これが甘かったと思います。大事な退職金を、かなりの額、事業に使ってしまいましたが、そんなに世の中、甘くはありません。事業は軌道にのらず、投資した退職金は無くなり、更に新たな借金までかかえることになりました。

会社を辞めてしまっているので、新たな就職先を探さなくてはなりません。しかし、この不景気の中、正社員での就職は厳しく、しばらくは契約社員で過ごすことになります。当然、収入も以前に比べて減少し、借金の返済が苦しくなってきました。

そんな時にネットで借金について調べていたら、個人再生という手続があるのを知り、自己破産は抵抗があるけど、これならやってみても良いかなと思い、経験のありそうな司法書士を見つけて相談に行きました。

先生からは、「個人再生は、借金の5分の1か、100万円か、どちらか高い方の金額まで支払額が減らせる手続なので、あなたの場合は本来、100万円が支払額になるはずだけど、土地を持っているので、その分、支払額は若干増えます。ただし、その土地を処分する必要はありません。」と言われました。

親から譲られた土地は兄弟との共有になっていたのと、田舎のあまり便利の良い場所ではなかったので、私の資産価値は100万円ほどですみました。資産価値が低くて喜ぶことになるとは、皮肉なものです。

先生に伝えると、「貯金や生命保険などの他の資産と合わせると、あなたの資産の合計は150万円弱です。これがあなたの支払額になります。この金額を3年間で分割して支払っていくことになります。月あたり約4万2000円くらいですね」と言われました。

このくらいの金額なら何とか支払っていけそうだと明るい気持ちになってきました。すると、運も向いてきたのか、会社から正社員昇格の話がありました。真面目に働いてきて良かったと、この時は本当に思いました。すぐに先生に話すと、「裁判所に与える印象が非常に良くなりますよ。審査が通りやすくなるでしょう。」と言われました。

その後、順調に手続が進み、裁判所での面談も終わり、無事に認可決定が出ました。正社員になったことで収入も増え、無理なく支払うことが出来ています。個人再生に感謝です。

○司法書士からのコメント○
この人の場合、親から譲られた土地があったので最初は、その資産価値が不安でした。個人再生の場合、支払額の決定方法は、以下の3つのうちの最も高い金額と決められています。
① 借金の総額の5分の1
② 100万円
③ その人の資産の総額(清算価値と呼ばれます)

この場合、③に当てはまるわけです。ただし、個人再生のメリットは資産を処分する必要は無いという点です(自己破産の場合は、処分してお金に換えなくてはならない)。

ただ、不動産のように高額の価値になりやすい資産を持っている場合、支払額が高くなりすぎて、そもそも個人再生をやる意味がないというケースもあります。(分割になるメリットはありますが)

だから、実際の資産価値を聞くまでは心配でした。しかし、思っていたよりも資産価値が高くなかったので、支払額も充分にメリットがある金額になりました。

契約社員のままでも、ぎりぎり審査は通るかなと思ってはいましたが、やはり、正社員に昇格したのは良いタイミングだったと思います。いろいろなことが非常に、うまくいったケースだと印象に残っています。

より詳しい情報を知りたい方は以下をクリック

http://www.hashiho.com/debt/kojinsaisei/