司法書士ジャーナル
橋本司法書士事務所ブログ

2013年3月

3月 26 2013

自己破産解決事例④

主債務者である夫が破産して、その保証人になっていた妻が相談に来られたケースです。

Aさん、女性、30代
借入先1社、 借入総額約1500万円

夫が事業をしていて、その事業が途中からうまくいかなくなったようで(私は別の会社で働いていたので、夫の事業については良く知りませんでした)、いろいろ相談した結果、離婚することになりました。

しばらくは親戚の家にやっかいになっていました。子供を引き取ったので子育てと仕事に夢中で夫のことは考える余裕がありませんでした。そんな時、銀行から人が来て、「ご主人が破産しました。奥様が保証人になっていますので、今後は奥様に請求することになります。支払計画を聞かせてください」と言われました。

いきなりだったので驚いてしまい、夫に連絡しましたが、つながりません。私は保証人になったことなど、すっかり忘れていましたが、そう言えば、そんな契約書を書いたかもしれないと思い出しました。

離婚したことを伝えましたが、銀行の人は「それは関係ありません。奥様が保証人であることは変わりません。」と言われました。ただ、私の様子を見て、「もし支払いが無理そうなら、早めに法律家に相談に行ってください」とも言いました。(今、考えると親切な対応ですね。払えないまま放置される方が、銀行としては困るということなのでしょうか)

金額は1000万以上で、今の私にはとても返済できるものではありません。観念して自己破産をすることを決意しました。

ネットで自己破産のできる事務所を探すと、割と近いところに経験のありそうなところが見つかりましたので、すぐに相談に行きました。事情を話すと、やはり自己破産しかない、あなたの場合は保証債務だから審査も通りやすい、と言われ、その場で依頼しました。

数ヵ月後、無事、手続は終わりましたが、それにしても、保証人にはなるものじゃないと、つくづく思いました。すぐに引き受けて頂いた先生には感謝しています。

○司法書士からのコメント○
保証人になった人は本当に気の毒だと思います。ご自身のために借りた借金なら、まだあきらめがつくでしょうが、保証人の場合、自分では1円も使っていない借金の肩代りをさせられるわけですから。

その代わり、裁判所も事情はくんでくれて、通常の借金よりは審査は通りやすいと言えるでしょう。

今回のケースでも、免責決定が出るまで非常に早く、特に追加書類や反省文などを求められることもありませんでした。(自分が使ったわけではないので、反省することも特に無いのは当然と言えば当然ですが)

反省文とは、借金の使い途に浪費やギャンブルなどがある場合、裁判所が債務者に書かせる書類です。本人が直筆で書くことが条件なので、司法書士や弁護士が代筆することは出来ません。裁判所としても、反省文くらいは本人に書いてもらわなければ、本人は何もしないで破産ができてしまうのは良くないと考えているようです。(逆に言えば、反省文で破産が認めてもらえるなら親切な対応だ、とも考えられます)

このように、保証人として請求されてしまった人は、気の毒ではありますが、自己破産を決断した時は割とスムーズに解決します。今の自分に無理な支払いだと思ったら、法律家に相談してみてください。

3月 19 2013

株式会社ギルドの不当請求

株式会社ギルドが最近、不当請求を行っていますので、ご注意ください。

◎不当請求とは、どんなことをしているのですか◎
具体的には、既に時効が完成しているにもかかわらず、それを隠して債務者に対して、遅延損害金を大幅に付けた金額の請求書を送りつけているのです。支払わなければ訴訟を起こす、あるいは法的手段を取るなどと書かれているため、思わず支払ってしまう人もいるでしょう。

◎支払うと、どうなるのでしょう◎
しかし、支払ってしまうと、後々面倒なことになります。債権の消滅時効において支払うことを「債務の承認」と言い、時効が完成した後に債務の承認を行うと、例え時効について知らなかったとしても、裁判所は再び時効の援用をすることは許されないという立場を取ることが多いのです。(「時効の援用」とは時効の主張をすることです)

上記のような裁判所の考え方があるため、ギルドのような貸金業者が、債務者が時効について知らないことを利用して、時効が完成しているにもかかわらず請求をしているわけです。(かつては武富士などが、これと同じことをやっていました)

例え不当請求であっても違法請求ではないため、一部でも支払ってしまうと、後で時効を理由に支払いを拒否するのは非常に困難になります。このため、電話交渉すると、非常に安い金額を提案してきて、とりあえず一部でも払わせようとする傾向があります。とにかく時効を援用できないようにしておいて、残りは、ゆっくり回収すれば良いと考えているのでしょう。

◎では、どうすれば良いですか◎
このように、素人が一人で電話交渉するのは危険が伴います。ギルド以外にも不当請求を行っている貸金業者がいるかもしれません。貸金業者からの借金の消滅時効期間は5年です。最後の取引から5年以上経っているにもかかわらず請求されている場合は、一度、法律家に相談に行った方が良いでしょう。法律家に時効援用通知を送ってもらうことを、おすすめします。

☆ 株式会社ギルドは、もともとはハッピークレジット株式会 社、株式会社信和、山陽信販株式会社の3社が合併し、トライト株式会社として設立されました。その後、株式会社ヴァラモスに社名を変更し、更に平成24年に現在の社名である株式会社ギルドになったという、非常にややこしい会社です。

☆ 一般的に貸金業者からの借入の消滅時効は5年です。しかし、例外もあります。
①貸金業者が会社ではなくて個人事業主だった場合(中小零細の街金融などに、たまにあります)は10年
②貸金業者が信用金庫や信用組合だった場合は10年(信用金庫や信用組合は非営利組織と考えられているため)
 ③上記①②の場合であっても、借りている方が事業者であれば、やっぱり5年
他にも例外はありますのでご注意ください。ここでは代表的なものをとりあげています。

より詳しい情報をお知りになりたい方は、以下をクリックして下さい。
http://www.hashiho.com/guild/  
 

3月 12 2013

個人再生解決事例④

給料が少なかったので最初は破産を考えていたのですが、社宅に住んでいたため住居費が安く、本人の希望もあり個人再生に切り替えた事例です

Sさん、男性、住宅ローン無し(社宅)
20代、会社員
借入先7社、 借入総額約300万円

社宅に住む前は賃貸マンションに住んでいて、そこの保証金が結構高かったため、一時的に貸金業者から借りたのが、そもそもの始まりでした。最初は抵抗があった業者からの借入でしたが、案外簡単に出来たので抵抗が無くなり、その後の借入につながったような気がします。

もともとパチンコが趣味で週に1~2回やる程度でしたが、借りることを覚えてから回数と金額が増えていきました。以前は1日に1万円以上は使わなかったのですが、借りたお金を使うようになってから、1日に4~5万円使うことも珍しくなくなりました。

丁度、この頃、会社の経費節減が厳しくなって、営業経費が落とせなくなってきました。仕方なく自腹を切ることも増えてきて、より借入をするようになりました。

そんなに給料が良い方ではなかったので、しばらくすると返済に行き詰まるようになり、これでは駄目だと思いネットで探して法律家に相談に行きました。

司法書士事務所に相談に行ったところ、「あなたは、めぼしい財産も無いし失うものも特に無いので自己破産が適切ではないか」と言われました。しかし、自己破産には抵抗があったため、何とか他の方法は無いかと質問したところ、一応、減額した後に分割して支払っていく個人再生という方法もあると聞きました。ただし、それには、支払い能力の審査があるので、それをクリアする必要があると言われました。

当時の私の給料は18万くらいでした。通常、このくらいの金額だと生活費を含めて残りの借金を支払っていくには厳しいと判断されることが多いと聞きました。ただ、既にこの時は社宅に住んでいて家賃は3万円でした。一人暮らしだったので節約すれば生活費は、ほとんどかかりません。結局、これならば毎月の余剰金も充分に出るので、個人再生でもいけるでしょうという結論になりました。

もう一点、私はパチンコで作った借金もかなりあったので、それが破産の場合、免責決定に影響する可能性があるということも、個人再生を選択する理由になりました。

方針が決定してから事務所の指示に従って進めていきましたが、特に問題なく無事、認可決定を得ることが出来ました。自己破産しないですんで大満足です。借金はもうこりごりなので、これからはきっちりと節約して暮らしていきたいと思います。

○司法書士からのコメント○
特に財産も無かったので自己破産を考えるケースでしたが、ギャンブルで作った借金の額が割と多かったのと(割合が少ない場合は問題になりません)、本人の強い希望があったため、個人再生を検討しました。

幸い、社宅に住まれていたこともあって住居費が非常に安く、一人暮らしだったので節約すれば、かなりの少額で暮らせることが分かりました。もちろん徹底した節約をしてもらうように、ファイナンシャルプランナーも交えて家計の見直しをしていきました。

最終的には月に5~6万円の余剰金が出るまでになりました。分割の支払いは月に3万円弱だったので充分に支払っていけます。裁判所の審査も問題なく通過しました。

誰もが当てはまる訳ではありませんが、非常にうまくいったケースだと思います。

より詳しい情報を知りたい方は以下をクリック

http://www.hashiho.com/debt/kojinsaisei/

3月 05 2013

自己破産解決事例③

岐阜県から来られた方です。一度、岐阜の法律家に依頼したところ、任意整理で受任され、途中で無理だと言われ辞任されて(非常に無責任な対応だと思います)、探した末に相談に来られました。

Mさん、男性、20代
借入先14社、 借入総額約1000万円

入社した当初は会社の景気が良く、給料も割りともらっていて、まだ結婚もしていなかったので、派手にお金を使うくせがついてしまいました。

車にとても興味があって、前から自分の車が欲しいと思っていたので、社会人になって自分の給料をもらうようになったら、すぐにローンを組んで車を買いました。

そのうち、そのままの車では満足できなくなって、いろいろなパーツを買っては交換したり取り付けたりをするようになり、車のパーツは結構、高額なので給料日までにお金が足りなくなることも出てきて、社会人になってから作ったクレジットカードでキャッシングをするようになりました。(パーツもクレジットで買うようになりました)それでも、給料が順調に上がっていたので何とかなっていました。

ところが、会社の景気が悪くなってきて配置転換を命じれました。今までよりも給料が下がり、途端に返済が苦しくなりました。月末になると、返済のために新たなカードを作り、返済のための借入をするようになりました。

わりと有名な会社に勤めていたせいで新規のカードの審査は次々と通りました(貸出規制が始まる前のことです)。借金の総額はふくらんでいきましたが、返済は何とか出来ていたので、まだ危機感は感じていませんでした。

しかし、ある時から、新規のカードの審査が通らなくなりました。あまりにも借入額が大きくなりすぎたためのようです。一気に返済に行き詰まり、どうして良いか分からずパニックになりました。地元(岐阜県)の法律家を探して相談に行ったところ任意整理という手続きをすすめられ、取立てが止まるから安心してと言われ、着手金として10万円払いました。

ところが、しばらくして法律家から電話があって、「任意整理は無理だから辞任します。別の法律家を探して下さい」と言われました。「じゃあ、最初に払ったお金は返してくれるんですか」と聞いたら、着手金だからと言って返してくれませんでした。苦しい時に無理して工面したお金なのに無駄になってしまい、本当に落ち込みました。

もう地元はこりごりだと思い、多少遠くても名古屋の方で探しました。今度は、いろいろなホームページを見て少しは自分でも勉強して、自分は自己破産しかないんじゃないかと考え、自己破産をきちんとやってくれそうな事務所を探しました。

新たな事務所を探しているうちにアイフルから訴えられてしまいました。裁判所からの書類が家に届いて急がなければと思い、自分で探した名古屋の事務所に相談に行きました。

そこで自己破産の具体的な説明を聞き、ようやく安心しました。ただ、自分は訴えられているので、通常よりも急ぐ必要があると言われ、事務所の指示通り、必死になって書類を集めました。

一時はどうなるかと思いましたが、何とか自己破産の申立てをして、訴えられた裁判も取り下げてもらい、危機を乗り切ることが出来ました。その後、無事、免責決定も出て、ようやく本当の意味でほっとすることが出来ました。もう二度とこんな思いはしたくないので、今後は節約に努めたいと思います。

○司法書士からのコメント○
とにかく、業者の数が多いのと、借金の総額が高額だったのが印象に残っています。よほど与信が高かったのでしょう。相談に来られた時に一目で破産しかないと判断しました。

それにしても、こんな高額な借金で、しかもショッピングが多かった訳ですから任意整理で解決できるわけがありません。最初に受けた法律家は、あまりにも経験が無いか、それともひどく無責任かのどちらかでしょう。(あえて名前は出しませんが)

既に訴えられていましたので、申立が遅れると給料の差し押さえなどを受ける恐れがありましたから急ぎました。裁判は、なるべく引き伸ばして、破産予定だから取り下げるように業者にも裁判所にも説得しました。それでも申立までは取り下げてもらえなかったですね。

現在は貸金業法が改正されて貸出規制がありますから、ここまでの高額な借金はしたくても出来ないでしょう。そういう意味でも記憶に残る事例でした。

3月 01 2013

個人再生解決事例③

家電の購入が趣味でクレジットのショッピング費用が多かったのが印象に残った事例でした。

Tさん、男性、住宅ローン無し(賃貸マンション)
40代、会社員
借入先6社、 借入総額約600万円

マスコミ関係に勤めていて、当初は割と給料が良かったために、派手な浪費をしていた時期がありました。特に家電に興味があって、新製品が出るとつい買ってしまい、家中の家電が新製品で埋まっていました。ほとんどがクレジットでの購入だったので、毎月引き落とし日には結構な金額が落ちていたと思います。

しかし、しばらくすると、不景気による広告収入の落ち込みなどで給料が減り、今までためらいもなく使っていた経費も自腹が多くなっていきました。それでも、なかなか生活レベルを落とすことが出来ず、前と同じように家電の購入は続けていました。

そんな時に、持病が悪化して医者に行ったところ、保険がきかない治療が必要ということで200万円近い出費を迫られました。仕事に支障が出るので病気を放置しておくこともできず、苦しい時に何でこんなことにと思いながら治療を受けることにしました。

しかし、いよいよ毎月の支払いが滞るようになり、このままでは破産するしかないのかと思い悩みました。とにかく、このままの状態では支払いができなくなることは明らかだったので、借金の整理に強そうな法律家を探すことにしました。偶然にも、妻が以前に世話になった司法書士事務所があるということで、そこに相談に行くことにしました。

たいへん丁寧な説明を受け、ある程度の給料があるので、破産よりも個人再生がいいんじゃないかと指摘されました。特に押し付けるようなこともなく、「一通りの説明はしましたので、やるかやらないかは、あなたの判断です」と言われ、やってみることにしました。破産しなくても済むのは、正直、ありがたいと思いました。

手続は割と順調に進み、名古屋地裁にも行きましたが(先生の付き添いもありましたので安心でした)、思っていたよりも厳しい質問はなく、手続を始めて半年くらいで支払いが始まりました。今では、すっかり心も落ち着いて、せっかく認めてもらった分割払いなので、きちんと払っていこうと思います。

○司法書士からのコメント○
昔、任意整理をした奥様が、夫をつれてきたケースです。こういうことは実は珍しくありません。ただ、奥様も個人再生は始めてだったので、説明を聞くまでは不安そうにしてました。

この人の場合、ローンの終わった自動車が50万円くらいの時価がありましたので、破産をするとこの自動車が処分されてしまいます。あと、減ったといっても、そこそこの給料があったのと、奥様の収入もあったので、充分に個人再生の分割が可能だと判断しました。

ただ、借金の大きな原因である家電の購入については、今後は控えていただくように説得しました。本人も自覚していて納得して頂けたと思っています。

より詳しい情報を知りたい方は以下をクリック

http://www.hashiho.com/debt/kojinsaisei/