司法書士ジャーナル
橋本司法書士事務所ブログ

2021年6月

6月 28 2021

パルティール債権回収の不当請求 時効(93)

パルティール債権回収とは、どんな会社か?

パルティール債権回収は日本保証の子会社です。日本保証は旧武富士の未払い債権を大量に譲り受けた業者として有名です。
従って、旧武富士に未払いの借金が残っている場合は、日本保証から委託を受けた引田法律事務所か、日本保証の子会社であるパルティール債権回収から請求が来ることが多いです。

パルティール債権回収に移る前の元の業者はどこか?

元の業者としては以下のような業者が多い傾向があります。

  • 旧武富士(その後、日本保証)
  • アプラス
  • 楽天カード
  • イオンクレジット
  • シティカード
  • パルティール債権回収から届く請求書類

    パルティール債権回収からは以下のようなタイトルの請求書類が届くことが多いです。

    1. 通知書
    2. 債権譲渡通知書
    3. 債権譲受通知書
    4. 通告書
    5. ご入金のお願い
    6. ご通知
    7. 重要なお知らせ
    8. 催告書
    9. 訪問予定のお知らせ

    パルティール債権回収から届く「債権譲渡通知書」「債権譲受通知書」について

    最近多いのが「債権譲渡通知書」「債権譲受通知書」というタイトルの書面がセットで届くケースです。債権譲受通知書の方が内容が詳しいので、そちらを紹介します。

    1. 本文
    2. 「パルティール債権回収が元の債権者から債権を譲り受けたので、今後はパルティール債権回収に連絡するように」と呼びかける内容になっています。

    3. 担当部署
    4. 「まずは連絡するように」と本文で言っているので、連絡先の担当部署が書かれています。パルティール債権回収は全国各地に担当部署を置いているので、地域によって部署が違います。

    5. ご意見・ご要望
    6. パルティール債権回収は担当部署とは別にお客様相談センターを設けていて(債権回収会社としては相当に珍しいです)、その連絡先が書かれています。担当部署よりも連絡しやすそうなイメージなので、つい連絡してしまいそうです。しかし、後でも説明しますが連絡すると解決が難しくなる可能性があるので注意しましょう。

    7. 貸付債権の内容「譲渡人」
    8. 前の債権者が書かれています。ここを見れば、どこからパルティール債権回収に移ってきたのかが分かります。

    9. 貸付債権の内容「譲受人」
    10. パルティール債権回収が書かれています。

    11. 貸付債権の内容「原債権者」
    12. 債権が何度も譲渡されている場合、最初に契約した元の業者が書かれています。アプラスのように最初に契約した元の業者と、譲渡人である前の業者が同じ場合は、④と⑥は同じになります。

    13. 貸付債権の内容「主債務者(ご契約者)」
    14. 借りた人の住所氏名が書かれています。あと保証人が付いている場合は連帯保証人の記載もあります。

    15. 貸付債権の内容「貸付債権の内容」
    16. 契約日(求償権の場合は代位弁済日)
      初回貸付金額(求償権の場合は代位弁済金額)
      債権種類
      貸付利率
      債権譲渡日
      債権譲渡額
      上記内訳(元金・利息・損害金等)

    17. 貸付債権の内容「契約内容」

    本来、契約内容とは8の貸付債権の内容のような項目のことを言いますが、この書面では以下のような内容になっています。
    「期限の利益を喪失しているので、全額一括での請求になります。利率は損害金の利率になります。返済は次の口座に振り込んでください」
    他のことも書かれていますが、要約するとだいたいこのような内容です。

    パルティール債権回収の解決法

    5年以上借入や返済が無い場合は消滅時効で解決できる可能性が高いです。しかし、例え時効期間が経過していても請求自体は違法ではないため、放置しても請求は止まりません。いずれ自宅を訪問されたり裁判を起こされる可能性もあります。これが刑事事件の時効とは異なるポイントです。

    ただし、法的に整った時効援用通知を専門家に出してもらえば、ほとんどのケースで請求が止まり、支払いを拒否できます。

    しかし、相手に連絡をして、安易な発言をすると後に時効を援用できなくなる場合があります。相手は債権回収のプロですから、個人での対応はリスクがあるので注意しましょう。

    パルティール債権回収の自宅への訪問

    パルティール債権回収は請求を放置すると自宅へ訪問することがあります。訪問前に「訪問予定のお知らせ」という書面が届くことが多いです。訪問された時に不在の場合は、「ご連絡のお願い(不在通知票)」という書面が入っています。

    訪問される前に専門家に相談するのがベストですが、もし訪問されてしまったら、少額でも絶対に支払ってはいけません。もし1000円でも払ってしまったら後で時効による解決が難しくなってしまいますので注意しましょう。

    パルティール債権回収の訴状または支払督促

    パルティール債権回収は請求を放置すると裁判をしてくることがあります。その場合、裁判所から「訴状」または「支払督促」という名前の書類が届きます。最近は支払督促の方が多い傾向があるようです。

    これらの書類が裁判所から届いたら絶対に放置してはいけません。5年以上取引が無い場合は、法的に適切に対応すれば裁判に勝つことができます。裁判は期限がありますので急いで専門家に相談してください。特に支払督促は期限が短いので急ぐ必要があります。

    パルティール債権回収と事故情報(ブラックリスト)

    誤解されている方が多いですが、事故情報に登録できるのは貸金業登録をしている業者のみです。貸金業登録をするには「誰かにお金を貸す仕事」をしていなければなりません。

    パルティール債権回収のように他から譲り受けた借金の回収のみを行っている業者は、「お金を貸す仕事」をしていませんので貸金業に登録していません。従って、事故情報に登録することもできません。
    よって、パルティール債権回収について、新たに信用情報に影響が出ることはありません。

    尚、パルティール債権回収に債権を譲渡した元の業者(日本保証、アプラス、楽天カード、イオンクレジットサービスなど)が登録した事故情報(ブラックリスト)は、債権がパルティール債権回収に譲渡されてからJICCでは1年、CICでは5年で抹消されるのが一般的な取り扱いです。(パルティールに債権譲渡されてから5年以上経っていたら既に事故情報が抹消されている可能性が高いです)

    消滅時効について、より詳しい情報が知りたい場合は以下をクリック

    消滅時効

    パルティール債権回収の他の記事が見たい場合は以下はクリック

    パルティール債権回収

    6月 24 2021

    オリコの不当請求 時効(92)

    オリコとは、どんな会社か?

    株式会社オリエントコーポレーション(通称オリコ)は大手のクレジット会社です。ほとんどの方が名前を聞いたことがあるでしょう。自動車などの各種ローンやオリコカードによるローン、他にも銀行ローンの保証会社など色々なローンを取り扱っています。現在の本社は東京都千代田区麹町になっています。

    オリコの特徴

    オリコの特徴として、長年支払わないまま放置しても、他の債権回収会社などに債権譲渡するケースが非常に少なく、そのままオリコが債権を持ち続けていることが多いです。ですから架空請求と間違えるケースが少なく分かり易いと言えます。

    ただし銀行ローンを借りて、そのローンの保証会社にオリコがなっているケースでは、銀行ローンが未払いになった段階で保証会社であるオリコが代位弁済を行い、債権がオリコに移ります。この場合は、借りたのは銀行でも請求はオリコから来ることになります。

    オリコから届く請求書類

    オリコからは以下のようなタイトルの請求書類が届くことが多いです。

  • ご提案
  • 減額和解のご案内とご連絡のお願い
  • 残金一括免除のお知らせ
  • オリコから届く「ご提案」について

    最近多いのが「ご提案」というタイトルの書面です。内容は以下のとおりです。

  • 本文
  • 長期間未払いの状態だと驚くような金額の損害金が上乗せされています。「残元金を一括で支払ってくれれば、損害金を全額免除してあげますよ」、という一見魅力的に見える提案がされています。また、「このまま放置すると損害金の金額が増すばかりで、何のメリットもありませんよ」という警告のメッセージも書かれています。

  • 請求金額の内容
  • 請求金額の詳細が一覧表で書かれています。
    キャッシングやローンの場合は、元本・利息・損害金の記載があります。
    ショッピングの場合は、商品名・割賦金額合計・割賦金・未払手数料・損害金の記載があります。

  • 一括清算金額
  • 一括で支払った場合の請求金額が書かれています。利息・手数料・損害金が免除されて元金のみの請求になっています。
    請求金額一覧の下に有効期限が書かれていて、免除できるのは有効期限までと強調しています。

    オリコの請求の注意点

    有効期限が設けられていて、期限内に払えば元金のみにしてくれるという誘い文句が書かれていますので、ついオリコに連絡して支払いの約束をしてしまいそうになります。しかし、それがオリコの狙いなのです。

    もし誘惑に負けてオリコに連絡して支払いの約束をしてしまった場合、その会話が録音されていたら、後で「支払の約束があるので時効ではない」とオリコから主張されてしまう恐れがあります。

    他にも「回答書」という用紙が同封されていて、その回答書には支払いの条件などをチェックする欄があり、うっかりチェックして署名して返送またはファックスを送ったりしてしまうと、「支払の約束」の証拠が書面でオリコの手に渡ってしまいます。これは法的にはかなり有力な証拠になりますので、送った後での時効での解決はかなり困難になるでしょう。

    時効の可能性があるならば、上記のような行為はしないように注意しましょう。

    消滅時効による解決法

    最後の取引日から5年以上経っている場合は時効で解決できる可能性が高いです。しかし、例え時効期間が経過していても請求自体は違法ではないため、放置しても請求は止まりません。いずれ自宅を訪問されたり裁判を起こされる可能性もあります。これが刑事事件の時効とは異なるポイントです。
    ただし、法的に整った時効援用通知を専門家に出してもらえば、ほとんどのケースで請求が止まり、支払いを拒否できます。

    しかし、相手に連絡をして、安易な発言をすると後に時効を援用できなくなる場合があります。相手は債権回収のプロですから、個人での対応はリスクがあるので注意しましょう。

    消滅時効について、より詳しい情報が知りたい場合は以下をクリック

    消滅時効

    6月 22 2021

    アルファ債権回収の「不当請求」 時効(91)

    アルファ債権回収とは、どんな会社か?

    アルファ債権回収は新生銀行グループの債権回収会社です。従って、新生銀行カードローンや新生フィナンシャル(レイク)、新生パーソナルローン(シンキ)などから譲り受けた債権の請求が多いのが特徴です。
    他にも奨学金の未払いの請求も多いです。日本学生支援機構(育英会)や千葉県・神奈川県などの奨学金の回収も行っています。

    元の業者は、どこなのか?

    アルファ債権回収に移る前の業者として、比較的多いのは以下の通りです。

  • 新生銀行
  • 新生フィナンシャル
  • 新生パーソナルローン
  • 日本学生支援機構(育英会)
  • アプラス
  • ニッセン・クレジットサービス
  • 静岡銀行
  • ※上記のうち、新生銀行グループまたは奨学金が特に多い印象を受けます。

    アルファ債権回収から届く督促状

    アルファ債権回収からは「督促状」というタイトルの書類が届くことが多いです。内容は以下の通りです。

    1. 本文(冒頭に以下のような文章が書かれています)
    2. 当社は下記「譲受債権の内容」のとおり、貴殿に対する債権を譲り受けました。つきましては、至急、下記「ご請求金額」を「ご返済金振込口座」へご送金いただきますようお願い申し上げます。なお、お支払いについてのご相談、本書面記載内容に関するお問い合わせ等につきましては、上記「担当部署」までご連絡ください

       

    3. ご請求内容
    4. 請求金額の合計と内訳が書かれています。
      内訳は、元金・遅延損害金・保留金となっています。
      保留金とはアルファ債権回収独特の表現で、未払いの遅延損害金を意味しているようです。(他の業者の請求で保留金と言う表現は、あまり見たことがありません)。他に約定弁済期日が書かれていることが多いようです。約定弁済期日は最後の返済日を表していると考えられます。

    5. 譲受債権の内容
    6. さすが新生銀行グループの業者だけあって、内容が詳しいので細かいことまで分かるようになっています。
      債権譲受日・契約番号・債権譲渡人・債権種類・損害金利率・譲受債権額などが書かれています。

    アルファ債権回収の消滅時効の確認

    時効期間が経過しているかどうかを判断するには、書面の「ご請求内容」という見出しを見つけてください。次に、「約定弁済期日」という欄に書かれている日付を確認してください。
    もし、この日付が5年以上前であれば消滅時効で解決できる可能性が高いです。アルファ債権回収に連絡する前に専門家に相談しましょう。
    ※ただし、奨学金の場合は時効期間が10年になりますので注意してください。

    消滅時効による解決法

    アルファ債権回収の請求は、長年未払いの状態で放置された債権が多いため、高額な遅延損害金が上乗せされて驚くような金額で請求されることも珍しくありません。
    例え時効期間が経過していても請求自体は違法ではないため、放置しても請求は止まりません。いずれ自宅を訪問されたり裁判を起こされる可能性もあります。これが刑事事件の時効とは異なるポイントです。

    ただし、法的に整った時効援用通知を専門家に出してもらえば、ほとんどのケースで請求が止まり、支払いを拒否できます。

    しかし、相手に連絡をして、安易な発言をすると後に時効を援用できなくなる場合があります。相手は債権回収のプロですから、個人での対応はリスクがあるので注意しましょう。

    アルファ債権回収と事故情報(ブラックリスト)について

    JICCやCICと言った信用情報機関に登録できるのは貸金業登録をしている会社ですが、アルファ債権回収は借金の回収をおこなう債権回収会社なので、信用情報機関に登録できるような貸金業者ではありません。

    従って債権がアルファ債権回収に譲渡されている場合は、債権が譲渡されてから1年~5年で事故情報は抹消される取り扱いになっているようです。
    よって、債権がアルファ債権回収に譲渡されてから5年以上経過しているような場合は、アルファ債権回収が借金の請求をしていたとしても、信用情報機関には事故情報(ブラックリスト)が載っていない可能性があります。

    なお、奨学金の場合には以前は延滞をしても事故情報が掲載されることはありませんでしたが、日本学生支援機構については、平成21年度以降に貸与を受けた奨学金については、全国銀行協会の信用情報機関に登録される運用に変更されていますので注意しましょう。

    消滅時効について、より詳しい情報が知りたい場合は以下をクリック

    消滅時効

    6月 16 2021

    アビリオ債権回収の「重要なお知らせ」 時効(90)

    アビリオ債権回収とは

    アビリオ債権回収は、三洋信販債権回収と、旧プロミスの完全子会社であるパル債権回収が合併してできた債権回収会社です。
    SMBCコンシューマーファイナンス(旧プロミス)から債権譲渡された債権の請求が多いのが特徴ですが、モビットやアットローン、新生フィナンシャルなどから債権譲渡された債権について請求されることもあるようです。

    アビリオ債権回収の「重要なお知らせ」

    アビリオ債権回収から「重要なお知らせ 必ず開封してご確認ください」という書面が届くことがあります。切り取り線で切って中を開くタイプの長方形の郵便で届くことが多いようです(封筒で届く場合もあります)。内容は以下のとおりです。

    1. タイトル
    2. 中を開くと「お知らせ」というタイトルが上段に書かれています。

    3. 本文
    4. 支払期日が過ぎても支払いが無いので「連絡してください」と催促の文章が書かれています。最後の方に、「当社は法務大臣の認可を受けた債権回収業である」と、怪しい業者ではないという説明がされています。あと、連絡して欲しい期限が書かれています。

    5. 請求内容
    6. 詳しい請求内容が書かれています。アビリオは他の業者と比べても請求内容の記載は詳しいので判断がし易いです。
      具体的には、債務者名・お客様番号・契約番号・債務総額・今回請求額・内訳(元金、利息、損害金、不足金、費用)・計算日・支払期日などです。

    7. 譲受人兼ご連絡先
    8. アビリオ債権回収の担当部署・住所・連絡先等が詳しく書かれています。

    9. 譲受情報
    10. 譲渡人・譲受日・譲受時債権額が書かれています。

    11. 原契約情報
    12. 債権譲渡される前の最初の契約内容が書かれています。これも他の業者に比べて詳しいです。
      具体的には、契約日・最終貸付日・最終貸付後残高・貸付利率・遅延利率などです。

    13. 債務名義の有無
    14. 過去に裁判をされている場合、アビリオは最後の方に裁判所名と事件番号が書かれていることが多いです。ほとんどの業者で、この情報は書かれていないので、大変助かります。過去に裁判をされているかどうかが、はっきり分かるからです。

    アビリオ債権回収の「重要なお知らせ」のポイント

    請求内容に「支払期日」という項目があります。そこに書かれている日付が最終支払日を表しているものと思われます。
    だとすると、この日付から5年以上が経過していれば、時効で解決できる可能性が高いと言えるでしょう。

    アビリオ債権回収の「重要なお知らせ」の解決法

    もし5年以上、借入も支払も無いならば、時効の可能性が高いです。その場合は、決してアビリオ債権回収に連絡してはいけません。後ほど不利になるようなことを約束させられる可能性があるからです。
    アビリオ債権回収に連絡する前に専門家に相談して、時効援用通知を出してもらいましょう。

    アビリオ債権回収について、より詳しい情報が知りたい場合は以下をクリック

    アビリオ債権回収