司法書士ジャーナル
橋本司法書士事務所ブログ

10月 12 2023

auPAYカードの任意整理 任意整理㊴

auPAYカードの引き落とし

auPAYカードの口座の引き落としを見ると、引き落とし名義が「ニコス」になっていることが多いです。これはauPAYカードが三菱UFJニコスに対して請求を委託しているからです。

従って、司法書士が任意整理を受任して、auPAYカードに対して受任通知を送ると三菱UFJニコスから債権届が送られてきます。その後の交渉もニコスに対して行うことになります。

三菱UFJニコスの任意整理

三菱UFJニコスは以前にもブログで取り上げましたが、任意整理には非常に協力的な業者です。司法書士が間に入れば、長期分割の交渉も割とスムーズに進む傾向があります。

三菱UFJニコスの和解契約書

三菱UFJニコスは最近になって非常に特徴的な変化がありました。それは和解契約書の形式です。通常は和解契約書は2通作って、業者と債務者で1通ずつ持ち合います。印鑑も業者と債務者双方の印鑑が押されます。

ところが最近の三菱UFJニコスの和解契約書は1通しかありません。その1通は債務者用で双方の印鑑も押されていません。ニコスは印鑑が押されていないデータとしての契約書を持っているだけということになります。

三菱UFJニコスのデジタル対応

恐らく経費節減のためデジタル対応したのだと思いますが、古くからこの仕事をしている私からすると考えられない対応ですね。印鑑から署名(サイン)へという動きは確かにありますが、このニコスの契約書は署名すらないのです。

もし裁判になった場合、印鑑はおろか署名もない契約書を裁判所は認めるのでしょうか。今後に注目したいです。

まあ契約書の有効性が問題になるのなら債務者にとって有利なので、こちらから疑義を唱えることはしませんでしたが、さすがにここまで簡略化した契約書を採用しているのは珍しいと思います。

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10月 11 2023

エポスカードとSMBCコンシューマーファイナンスの任意整理 任意整理㊳

エポスカード

エポスカードは最近、ポイント付与サービスが充実しているので急激に増えてきているクレジットカードです。今後は任意整理に登場する機会も多くなってくるでしょう。

SMBCコンシューマーファイナンス

SMBCコンシューマーファイナンスは消費者金融大手の旧プロミスです(会社名が変わってもプロミスという商品名は使われているようですが)。三井住友グループの傘下になったので上記のような会社名になりました。

エポスカードとSMBCコンシューマーファイナンスの任意整理

この両者の任意整理に対する態度は一言で言って「行儀が良い」です。少なくとも司法書士に対しては無茶な要求はしてきません。そう考えるポイントは以下のとおりです。

  1. 和解契約締結までの遅延損害金を請求したりしない
  2. 3年を超える長期分割にも快く応じてくれる
  3. 初回の支払時期を和解契約締結の翌月くらいまで待ってくれる

従って、エポスカードとSMBCコンシューマーファイナンスについては、任意整理は積極的に選択できる方法だと言えるでしょう。

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10月 10 2023

保証人の消滅時効 時効(116)

保証人は時効援用できるのか

保証人は時効の援用をできるかというのは、なかなか複雑な問題です。なぜなら様々なパターンがあり、そのパターンによって時効援用できる場合とできない場合に分かれるからです。今回はパターンごとの時効援用の可否を詳しく見ていきたいと思います。

※尚、ここで言う保証人とは連帯保証人のことです。日本の取引の現場では連帯ではない保証人が登場することはまずありませんので、保証人と言えば連帯保証人のことだと考えてください。

説明の前提

ここでは債権者をA、債務者(主債務者)をB、保証人(連帯保証人)をCとして説明します。また、時効が途中で止まって振り出しに戻ることを専門用語で「中断」と言います。

尚、法律が改正されて最近の契約では「更新」と呼ぶように変わりました。ただし、時効になるような古い契約では改正前の「中断」が今でも使われます。「更新」が主流になるのは、もう少し時間が経ってからになりますね。従って、今回の説明では時効が途中で止まることを「中断」と呼ぶことにします。

さて、借りた相手が会社の場合、時効が中断するのは最終取引日から5年が経った日になります。(より正確には期限の利益喪失日から5年になりますが、話を分かり易くするために、ここでは最終取引日からとします)

保証人が時効援用できる条件

保証人であっても時効の援用ができる場合があります。基本的には以下の2つの場合です。

  1. 主債務の時効が完成した
  2. 保障債務の時効が完成した

主債務とはAとBとの契約で発生した債務のことです。大元の貸し借りのことだと思ってください。

一方、保証債務とはAとCの契約で発生した債務のことです。誤解している人が多いですが、BとCの間には契約関係はありません。

法律上は主債務と保証債務は別の債務です。ゆえに主債務と保証債務の時効は別々に進行します。

保証人が支払っていなければ保証債務の時効は進むのか

主債務と保証債務が別ならば、Cがずっと支払っていなければ保証債務は5年で時効になるのか、と言う問題です。これも誤解が多いポイントです。

契約は別と言っても無関係ということではありません。主債務が存在しなければ保証債務は存在しません。分かり易く言うと「主債務あっての保証債務」ということになります。これを専門用語で附従性と言います。

従って、Bが支払いを続けているのに、保証債務だけが単独で時効になることはありません。つまり、Bが支払いをしている場合は、保証債務の時効が進むことは無いということです。

時効期間が経過しているのに債務者Bが時効援用をしない時

民事の時効の最大の特徴は、時効援用の主張をしない限り、例え時効期間が経過していても時効にはならない、と言う点です(一方、刑事事件の時効は時間が経てば勝手に成立します)。

時効期間が経過しているのにBがAに対して時効援用をしなかったら、Cはいつもで経っても時効の恩恵に預かれません。そこでCがBに連絡しないで単独で時効援用することはできるのか、と言う問題です。

これに対する回答は「Cは単独で時効援用できる」になります。Bに時効を援用するようにお願いする必要は無い、ということです。

時効期間経過前に債務者Bが支払ってしまったら

時効期間経過前に支払った場合は「中断」と言って、時効期間が振り出しに戻って再びゼロからのスタートになります。では、Bが時効期間経過前に支払った場合、その効果はCに及ぶのでしょうか。

回答は、「効果はCにも及ぶ」です。ですからBが支払って時効が中断すると、Cの保証債務も振り出しに戻ります。

時効期間経過後に債務者Bが支払ってしまったら

時効期間経過後に支払うことを「時効の利益の放棄」と言い、やはり時効は振り出しに戻ります。ただ中断とは効果が異なる部分があります。

Bが時効期間経過後に支払った場合、時効の利益の放棄となりBの主債務は時効ではなくなり振り出しに戻ります。しかしこの場合、Cは保証債務の時効援用ができるのです。

つまりBが支払うのが時効期間の経過前なのか経過後なのかで、Cが時効援用できるかどうかが異なるということです。これは非常にややこしく間違えやすいポイントとなっています。

保証人Cが保証債務を支払った場合

CがAから請求されて支払った場合、Cの保証債務は当然に時効中断して振り出しに戻ります。その時、Bの主債務はどうなるのでしょうか。

回答は、「Bの主債務は中断しない」です。従って、Bの時効期間はそのまま進行します。この場合、保証債務だけ中断するので、Bの主債務の方が先に時効期間が経過することになります。

ここでマニアックな問題があります。先に時効期間が経過したBの主債務をCが時効援用できるかという問題です。

回答は「できる」です。何とCの保証債務の時効期間が経過していないにもかかわらず、Cは先に時効期間が経過したBの債務の時効援用ができるのです。是非、覚えておきましょう。

一方Aの立場から考えた場合、Cに支払ってもらってもBの時効は止まらないのに、Bに支払ってもらったらCの時効も中断しますから、Bに支払能力がある限りBに請求した方が良いということになります。

債権者Aが債務者Bに対して裁判を起こした場合

AがBに対して裁判を起こして判決を取った場合、時効期間が判決確定から10年に延長されます。この効果は保証人に対して影響があるのでしょうか。

回答は「保証人にも影響がある」です。

例えCが裁判をされていなくても、Cの債務の時効期間も判決確定から10年に延長されます。Bの裁判のことなど知らなかった、では済まされないので注意が必要です。

債務者Bが時効期間経過後に時効援用した場合

Bが時効期間経過後に時効の援用をした場合、Bは支払いを免れることができます。では、その効果は保証人に及ぶのでしょうか。

回答は「保証人にも効果が及ぶ」です

Bの債務がBの時効援用により消滅した場合、Cの債務も消滅します。「主債務が消滅すると附従性により保証債務も消滅する」という法律効果になります。もう少し分かり易く言うと、主債務あっての保証債務なので、主債務が消滅した後に保証債務だけ残っているのはおかしい、と言う考え方です。

今回は主債務と保証債務の消滅時効の効果について、様々な事例で説明してみました。相当にややこしい問題なので、疑問に思ったら専門家に相談された方が良いでしょう。

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10月 04 2023

不動産の差押の登記 強制執行(差押)⑦

不動産登記事項証明書

不動産の登記事項証明書とは不動産の戸籍のようなものです。不動産の詳しい情報が書かれていて法務局で取ることができます。昔は不動産登記簿と呼ばれていました(今でもこの呼称で呼ばれることはあります)。

ただし戸籍と大きく異なることが一つあります。それは誰でも取得できるという点です。

つまり不動産の持ち主が誰かと言う情報は隠すことができない、ということです。

表題部と甲区と乙区

登記事項証明書は大きく分けて3つの部分に分かれています。

物理的な現況を表す表題部、所有権の権利関係を表す甲区、所有権以外の権利関係を表す乙区です。

分かり易く言うと、木造か鉄筋か・広さは何㎡か・宅地か農地かなどが書かれているのが表題部、所有者が誰なのかが書かれているのが甲区、ローンを貸して抵当権を付けているのが誰なのかが書かれているのが乙区、と考えれば、だいたい合っています。(ローン無しで購入した場合は乙区が空欄になっています)

不動産の差押は登記されるのか

不動産の所有者が何らかの理由で借金を支払えなくなった場合(この場合の借金は住宅ローンとは限りません)、債権者が不動産を差し押さえることがあります。

この場合、裁判所が法務局に対して「差押の登記」を入れます。すると登記事項証明書の甲区の欄に「差押」の記載がされます。差押は所有権に対して行われるので甲区に記載されるのです。

登記事項証明書を見れば差押の有無が分かる

従って、お目当ての不動産が差押をされているかどうかは、登記事項証明書を見れば分かるということになります。ですから我々司法書士は不動産の売買の登記の依頼を受けた時、必ず決済当日に登記事項証明書を取得して差押の有無を確認します。これをしないと、差押がされた不動産を誤って買ってしまうというトラブルが起こる可能性があるからです。

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8月 01 2023

補充送達とは 債権回収① 

送達とは

送達とは、裁判所の書類を関係者に送付することを言います。一般にはあまり使われない言葉ですね。裁判になった場合、訴状や支払督促を相手方に送達しなければなりません。送達されなければ裁判は始められせん。相手方に反論の機会を与えるためです。

補充送達

しかし、相手方が不在が多く送達できない場合、それで裁判が進まないとしたら公平な取り扱いとは言えません。それで、裁判では様々な送達方法を用意しています。例えば、自宅に送達してもダメだった場合は、就業先への送達が認められています。

更に就業先でも相手方が不在だった場合は、従業員へ渡すことも認められています。この従業員への送達のことを補充送達と呼んでいます。

※これ以外にも、自宅で不在だった時に家族が受け取るのも補充送達になります。

当事者への通知

就業場所での補充送達の場合、民事訴訟規則43条の規定により、当事者本人の自宅宛てに通知しなければなりません。

送達と通知の違いですが、送達は特別送達という裁判所特有の郵便で行われます。特別送達はポストに入る郵便ではなく書留のように手渡しが原則です。しかし、前述のように相手が受け取らないというリスクがあります。一方、通知は普通郵便でよいので必ず送ることができます。

就業場所での補充送達が行われた時は念のため当事者の自宅へも普通郵便で通知するという規則になっているのです。まあ親切な規定と言えますね。

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7月 31 2023

破産して免責された債権の時効 時効(115)

破産して免責された債権は時効にかからない

破産により免責された債権は時効により消滅することがありません(最高裁平成11年11月9日判決)。ようするに免責債権は、いつまで経っても消えない債権ということになります。

こう言うと「破産して免責されたのだから、その時に債権は消えているのでは?」と考える人も多いでしょう。実はこれは法的には間違いです。

正確には、免責債権は法的に請求できない債権であって、消滅するわけではないのです。ですから、よく言われる「破産で借金がチャラになる」という表現は法的には正しくありません。請求することができないだけで存在はしている債権ということになります。

免責債権は債権者が取り立てることはできないが、時効にもかからないので、永久にそのままの状態で残り続ける不思議な債権なのです。(取り立てができないので、債務者から見たら消えたように感じます)。

なぜそうなるのかと言う法的な説明は長くなりますので、ここでは省略します。そうなるという結果だけ知っておいてください。

免責債権が時効にならないのは何が問題なのか

免責債権は取り立てができません。もちろん差押もできません。ならば時効にならなくても何も問題ないのでは、と思われる人も多いでしょう。確かにほとんどの場合は問題になりません。ただし非常に稀に問題になることがあるのです。

それは免責債権に抵当権が付いている場合です。

抵当権の被担保債権が免責されていた場合

例えば以下のような事例を考えてみましょう。

親から相続した不動産の登記簿を見たら抵当権が付いていました。調べてみると友人の借金の担保として親の不動産に抵当権が付けられていたことが分かりました(このようなケースを物上保証と言います)。親の友人に確認したところ、何とその友人は10年以上前に自己破産をして免責許可を受けていたのです。

そこで相続人は「破産しているのだから債権は消滅しているのだろう」と考えて抵当権を抹消しようとしたら、「債権は消えていないので抹消できない」ことが分かりました。

更に「10年以上経っているので時効で消えているのでは」と考えて抹消しようとしたら、「免責債権は時効にはならない」ということも分かりました。

では、この抵当権はどうやって消したら良いのか、と途方にくれてしまいました。

抵当権を抹消する方法

では、どうすることもできないのでしょうか。実は方法があります。

それは、債権ではなく抵当権自体の時効を援用する方法です。債権とは別に抵当権自体も時効消滅するのです。その時効期間は20年となっています。改正民法166条2項では、「債権又は所有権以外の財産権は、権利を行使することができる時から二十年間行使しないときは、時効によって消滅する。」と書かれています。

抵当権は「所有権以外の財産権」に当たりますので20年で時効消滅します。債権の時効で消せないのならば、抵当権の時効で消せば良いという考え方です。

この方法は通常は使われることはありません。理由は2つあります。

  1. 債権の時効の方が時効期間が短いので、通常は債権の時効を使った方が早く消すことができるから
  2. 民法396条に、「抵当権は被担保債権と同時でなければ時効によって消滅しない」という規定があるから

2については説明が必要です。条文通りならば、免責債権は時効消滅しないので抵当権も時効消滅しないと読めます。これでは困ってしまいますね。今回のようなケースで抵当権を消す方法が無くなってしまいます。そこで以下のような最高裁判決が出されました。(最高裁平成30年2月23日判決)

「抵当権の被担保債権が免責許可決定の効力を受ける場合には、民法396条は適用されず、当該抵当権自体が20年の消滅時効にかかると解するのが相当である」

裁判所には疑問を感じる判決も時々ありますが、この最高裁判決は非常にまともで納得できる内容です。法律が予想していなかった欠陥を、裁判所が判決で補ったという理想的な事例だと思います。

結論

他人の物上保証人になっている場合は、その他人が破産免責を得ている場合は被担保債権の消滅時効を主張することができず、通常の方法では抵当権を消すことができません。

そこで、抵当権自体の消滅時効を主張して抵当権を消す方法を紹介しました。通常は使うことが無い相当レアな方法ですが、いざと言う時のために知っておいても損はないでしょう。

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3月 29 2023

携帯電話と任意整理 任意整理㊱

携帯電話の任意整理の注意点

クレジットや消費者金融の任意整理をしても、携帯電話やタブレットの利用に影響はありません。これは、金融業界のブラックリストと電話業界のブラックリストが別になっているからです。

しかし、機種変更や新しい端末の契約をする場合は影響が出るので注意が必要です。理由は、端末の購入については金融業界のブラックリストの影響を受けて分割払いの制限を受けるからです。よって一括払いをするしかありません。

携帯料金を任意整理した場合

携帯電話の利用料金を任意整理すると携帯電話が使えなくなります。今使っている携帯電話を利用したいならば、携帯料金は払っていくしかありません。

では携帯電話を複数持っている場合はどうなるのでしょうか。

例えば携帯電話とタブレットを持っている場合を考えてみましょう。この時、タブレット料金のみを任意整理の対象にした場合は、携帯電話を利用し続けることができます。もちろん携帯料金に未納分があったら解消しておくのが条件です。

携帯会社が発行するクレジットカードの任意整理

携帯会社は独自のクレジットを持っています。NTTドコモならドコモdカード、auならばauペイカード、ソフトバンクならばPAYPAYカードです。

この携帯会社発行のクレジットカードを任意整理しても、携帯の利用料金をそのまま払っていれば携帯電話を利用することは可能です。

携帯料金を任意整理した場合、携帯会社発行のクレジットは使えるか

先ほどの事例とは異なり、携帯料金を任意整理すると携帯会社発行のクレジットカードは使えなくなるケースがあるので注意が必要です。確認できた事例としてはドコモがあります。ドコモの携帯料金を任意整理するとdカードが利用できなくなります。

任意整理とキャリア決済

キャリア決済とは、携帯電話で決済したものを翌月の電話料金と一緒に支払うという仕組みのことです。金融でブラックリストに登録されても、基本的にはキャリア決済は可能です。なぜならキャリア決済は金融の事故情報を元に審査をしていないからです。

ただし、電話利用料金を任意整理した場合は、キャリア決済も制限される可能性がありますので注意しましょう。

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3月 28 2023

転付命令の効果の時期 強制執行(差押)⑥

転付命令の効果はいつから

転付命令の効果は第三債務者に送達された時から生じます。

しかし、効果が生じるには転付命令が確定している必要があります。

では確定するのはいつからなのかと言うと、債務者と第三債務者に送達されてから1週間後です。

ややこしくなってきましたね。少し整理してみましょう。

債務者と第三債務者

第三債務者とは差押の対象になっている会社(給料の場合)や銀行(預金口座の場合)のことです。

通常、債権執行では債務者が気付いて財産を移すのを防ぐために、第三債務者の方に先に送達します。ですから確定するのは一般的に債務者に送達されてから1週間後になることが多いでしょう。

すると勘が良い人は矛盾に気づくでしょう。転付命令が確定するのは効果が生じるよりも後になるからです。

これはどういうことかと言うと、実務上は確定するまでは効果が生じませんが、確定すると第三債務者に送達された時にさかのぼって効果が生じたとみなす(確定したときを待たないと、効果が発生しないけれど、確定した瞬間に、第三者に送達された日に効果が発生しているものとみなす。)というルールになっているのです。

効果の時期の意味

効果の発生時期を第三債務者に送達された時にさかのぼるのは意味があります。それは前のブログで取り上げた「差押の競合」をできるだけ早く避けるためです。

転付命令は差押の競合を避けるために行われることが多いので、先に送達される第三債務者が受け取った時点で、それ以降に新たな差押があっても競合にならないというルールになっているのです。

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1月 24 2023

ドコモdカードの任意整理 任意整理㉟

ドコモdカードとニッテレ債権回収

ドコモdカードで未払いが発生すると、ニッテレ債権回収の「ドコモdカード受託センター」というところが窓口として対応することになります。

従って、専門家が間に入って任意整理をする場合もドコモdカード受託センターが交渉相手になります。このように自前で交渉窓口を用意していないカード会社は珍しいと思います。

ドコモdカード受託センターの厳しい対応

ニッテレ債権回収のドコモdカード受託センターは任意整理の対応が非常に厳しいです。カード会社でここまで厳しいところは珍しいです。具体的に何が厳しいのかを説明しましょう。

  1. 3年以上の分割を認めない

通常クレジット会社は消費者金融よりも長期分割に応じるところが多く、5年分割でまとまるケースも良くあります。

しかし、ドコモdカード受託センターは3年を超える分割には応じてくれません。よって3年分割で払えない時は個人再生か自己破産を検討することになります。

  1. 1回の返済額が5000円以上

1回の最低返済額も通常のクレジット会社よりも高いです。1000円でもOKというところも多いなかで、5000円はかなり高いですね。

  1. 遅延損害金は、ぎりぎりまで付ける

司法書士が任意整理をすると業者が事務所に債権届を送ってきます。その債権届出日までの遅延損害金を、きっちり上乗せされます。

  1. 家計の開示

分割契約を結ぶ前に収入と支出の状況を詳しく報告させられます。ドコモdカード受託センターほど細かい家計を聞いてくる業者は、私の経験ではありません。

携帯電話の通話料金とは別にできるか?

これはドコモdカードの任意整理の唯一の良いところではないかと思いますが、ドコモの携帯電話とは切り離してドコモdカードの分だけで任意整理をすることが可能です。従って、ドコモdカードの任意整理をしてもドコモの携帯電話を利用できます。

結論

ドコモdカードの任意整理は数ある業者の中でも相当に厳しい方になります。正直、ここまで厳しくしているのは何故なんだと不思議に思います。厳しくしたことによって破産が増えたら(増えるでしょう)、ドコモdカードにとっても不利益になるでしょう。

このような融通の利かなさは、むかし国営企業だったころの名残でしょうか。(若い方は知らないかもしれませんが、NTTは昔の電電公社です)

ドコモdカードの任意整理を検討している場合は、先ほど説明した条件をクリアしているかを確認しましょう。クリアできていない場合は個人再生か自己破産を検討してください。

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1月 16 2023

複数口座の差押 強制執行(差押)⑤

複数の口座を差し押さえる場合

一つの口座だけを差し押さえた場合、預金残高が無く空振りになった時に他の口座の差押をしようと思ったら、最初から手続をやり直す必要があります。

これでは費用や時間の無駄と考える人は多いでしょう。また、差押が空振りになった時点で、相手方が他の口座から残高を全額引き出してしまうリスクもあります。

よって相手方の口座が複数分かっている場合は、一度の手続で複数の口座を差し押さえることを検討するべきです。ただし注意点があります。

請求金額を振り分ける

例えば請求金額が100万円だとして、A銀行・B銀行・C銀行を差し押さえる予定だとします。この場合、3つの銀行それぞれに100万円を請求できると勘違いされていることがたまにあります。

しかし、これは間違いなので気を付けましょう。理由は、もし3つの銀行に満額の預金があったら、300万円を差し押さえることになってしまうからです。

正しくは、3つの銀行に100万円を振り分けなくてはいけません。

振り分ける金額は債権者が好きなように決めることができます。例えばA銀行に50万円、B銀行に30万円、C銀行に20万円と請求金額を振り分けたとしましょう。このとき仮にB銀行の預金が0円だったとしても、A銀行とC銀行の請求金額を増やすことはできません。B銀行で回収できなかった30万円については新たな差押をするしかありません。

結論

従って複数口座の差押の場合、「どの銀行に、いくら振り分けるのか」を決めるのは非常に重要です。預金残高が多くありそうな口座に大きな金額を振り分けるのが理想です。しかし「預金残高など分からない」というケースも多いと思います。そのような時は均等に分けるのが一般的なやり方でしょう。

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