司法書士ジャーナル
橋本司法書士事務所ブログ

8月 01 2023

補充送達とは 債権回収① 

送達とは

送達とは、裁判所の書類を関係者に送付することを言います。一般にはあまり使われない言葉ですね。裁判になった場合、訴状や支払督促を相手方に送達しなければなりません。送達されなければ裁判は始められせん。相手方に反論の機会を与えるためです。

補充送達

しかし、相手方が不在が多く送達できない場合、それで裁判が進まないとしたら公平な取り扱いとは言えません。それで、裁判では様々な送達方法を用意しています。例えば、自宅に送達してもダメだった場合は、就業先への送達が認められています。

更に就業先でも相手方が不在だった場合は、従業員へ渡すことも認められています。この従業員への送達のことを補充送達と呼んでいます。

※これ以外にも、自宅で不在だった時に家族が受け取るのも補充送達になります。

当事者への通知

就業場所での補充送達の場合、民事訴訟規則43条の規定により、当事者本人の自宅宛てに通知しなければなりません。

送達と通知の違いですが、送達は特別送達という裁判所特有の郵便で行われます。特別送達はポストに入る郵便ではなく書留のように手渡しが原則です。しかし、前述のように相手が受け取らないというリスクがあります。一方、通知は普通郵便でよいので必ず送ることができます。

就業場所での補充送達が行われた時は念のため当事者の自宅へも普通郵便で通知するという規則になっているのです。まあ親切な規定と言えますね。

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7月 31 2023

破産して免責された債権の時効 時効(115)

破産して免責された債権は時効にかからない

破産により免責された債権は時効により消滅することがありません(最高裁平成11年11月9日判決)。ようするに免責債権は、いつまで経っても消えない債権ということになります。

こう言うと「破産して免責されたのだから、その時に債権は消えているのでは?」と考える人も多いでしょう。実はこれは法的には間違いです。

正確には、免責債権は法的に請求できない債権であって、消滅するわけではないのです。ですから、よく言われる「破産で借金がチャラになる」という表現は法的には正しくありません。請求することができないだけで存在はしている債権ということになります。

免責債権は債権者が取り立てることはできないが、時効にもかからないので、永久にそのままの状態で残り続ける不思議な債権なのです。(取り立てができないので、債務者から見たら消えたように感じます)。

なぜそうなるのかと言う法的な説明は長くなりますので、ここでは省略します。そうなるという結果だけ知っておいてください。

免責債権が時効にならないのは何が問題なのか

免責債権は取り立てができません。もちろん差押もできません。ならば時効にならなくても何も問題ないのでは、と思われる人も多いでしょう。確かにほとんどの場合は問題になりません。ただし非常に稀に問題になることがあるのです。

それは免責債権に抵当権が付いている場合です。

抵当権の被担保債権が免責されていた場合

例えば以下のような事例を考えてみましょう。

親から相続した不動産の登記簿を見たら抵当権が付いていました。調べてみると友人の借金の担保として親の不動産に抵当権が付けられていたことが分かりました(このようなケースを物上保証と言います)。親の友人に確認したところ、何とその友人は10年以上前に自己破産をして免責許可を受けていたのです。

そこで相続人は「破産しているのだから債権は消滅しているのだろう」と考えて抵当権を抹消しようとしたら、「債権は消えていないので抹消できない」ことが分かりました。

更に「10年以上経っているので時効で消えているのでは」と考えて抹消しようとしたら、「免責債権は時効にはならない」ということも分かりました。

では、この抵当権はどうやって消したら良いのか、と途方にくれてしまいました。

抵当権を抹消する方法

では、どうすることもできないのでしょうか。実は方法があります。

それは、債権ではなく抵当権自体の時効を援用する方法です。債権とは別に抵当権自体も時効消滅するのです。その時効期間は20年となっています。改正民法166条2項では、「債権又は所有権以外の財産権は、権利を行使することができる時から二十年間行使しないときは、時効によって消滅する。」と書かれています。

抵当権は「所有権以外の財産権」に当たりますので20年で時効消滅します。債権の時効で消せないのならば、抵当権の時効で消せば良いという考え方です。

この方法は通常は使われることはありません。理由は2つあります。

  1. 債権の時効の方が時効期間が短いので、通常は債権の時効を使った方が早く消すことができるから
  2. 民法396条に、「抵当権は被担保債権と同時でなければ時効によって消滅しない」という規定があるから

2については説明が必要です。条文通りならば、免責債権は時効消滅しないので抵当権も時効消滅しないと読めます。これでは困ってしまいますね。今回のようなケースで抵当権を消す方法が無くなってしまいます。そこで以下のような最高裁判決が出されました。(最高裁平成30年2月23日判決)

「抵当権の被担保債権が免責許可決定の効力を受ける場合には、民法396条は適用されず、当該抵当権自体が20年の消滅時効にかかると解するのが相当である」

裁判所には疑問を感じる判決も時々ありますが、この最高裁判決は非常にまともで納得できる内容です。法律が予想していなかった欠陥を、裁判所が判決で補ったという理想的な事例だと思います。

結論

他人の物上保証人になっている場合は、その他人が破産免責を得ている場合は被担保債権の消滅時効を主張することができず、通常の方法では抵当権を消すことができません。

そこで、抵当権自体の消滅時効を主張して抵当権を消す方法を紹介しました。通常は使うことが無い相当レアな方法ですが、いざと言う時のために知っておいても損はないでしょう。

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3月 29 2023

携帯電話と任意整理 任意整理㊱

携帯電話の任意整理の注意点

クレジットや消費者金融の任意整理をしても、携帯電話やタブレットの利用に影響はありません。これは、金融業界のブラックリストと電話業界のブラックリストが別になっているからです。

しかし、機種変更や新しい端末の契約をする場合は影響が出るので注意が必要です。理由は、端末の購入については金融業界のブラックリストの影響を受けて分割払いの制限を受けるからです。よって一括払いをするしかありません。

携帯料金を任意整理した場合

携帯電話の利用料金を任意整理すると携帯電話が使えなくなります。今使っている携帯電話を利用したいならば、携帯料金は払っていくしかありません。

では携帯電話を複数持っている場合はどうなるのでしょうか。

例えば携帯電話とタブレットを持っている場合を考えてみましょう。この時、タブレット料金のみを任意整理の対象にした場合は、携帯電話を利用し続けることができます。もちろん携帯料金に未納分があったら解消しておくのが条件です。

携帯会社が発行するクレジットカードの任意整理

携帯会社は独自のクレジットを持っています。NTTドコモならドコモdカード、auならばauペイカード、ソフトバンクならばPAYPAYカードです。

この携帯会社発行のクレジットカードを任意整理しても、携帯の利用料金をそのまま払っていれば携帯電話を利用することは可能です。

携帯料金を任意整理した場合、携帯会社発行のクレジットは使えるか

先ほどの事例とは異なり、携帯料金を任意整理すると携帯会社発行のクレジットカードは使えなくなるケースがあるので注意が必要です。確認できた事例としてはドコモがあります。ドコモの携帯料金を任意整理するとdカードが利用できなくなります。

任意整理とキャリア決済

キャリア決済とは、携帯電話で決済したものを翌月の電話料金と一緒に支払うという仕組みのことです。金融でブラックリストに登録されても、基本的にはキャリア決済は可能です。なぜならキャリア決済は金融の事故情報を元に審査をしていないからです。

ただし、電話利用料金を任意整理した場合は、キャリア決済も制限される可能性がありますので注意しましょう。

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3月 28 2023

転付命令の効果の時期 強制執行(差押)⑥

転付命令の効果はいつから

転付命令の効果は第三債務者に送達された時から生じます。

しかし、効果が生じるには転付命令が確定している必要があります。

では確定するのはいつからなのかと言うと、債務者と第三債務者に送達されてから1週間後です。

ややこしくなってきましたね。少し整理してみましょう。

債務者と第三債務者

第三債務者とは差押の対象になっている会社(給料の場合)や銀行(預金口座の場合)のことです。

通常、債権執行では債務者が気付いて財産を移すのを防ぐために、第三債務者の方に先に送達します。ですから確定するのは一般的に債務者に送達されてから1週間後になることが多いでしょう。

すると勘が良い人は矛盾に気づくでしょう。転付命令が確定するのは効果が生じるよりも後になるからです。

これはどういうことかと言うと、実務上は確定するまでは効果が生じませんが、確定すると第三債務者に送達された時にさかのぼって効果が生じたとみなす(確定したときを待たないと、効果が発生しないけれど、確定した瞬間に、第三者に送達された日に効果が発生しているものとみなす。)というルールになっているのです。

効果の時期の意味

効果の発生時期を第三債務者に送達された時にさかのぼるのは意味があります。それは前のブログで取り上げた「差押の競合」をできるだけ早く避けるためです。

転付命令は差押の競合を避けるために行われることが多いので、先に送達される第三債務者が受け取った時点で、それ以降に新たな差押があっても競合にならないというルールになっているのです。

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1月 24 2023

ドコモdカードの任意整理 任意整理㉟

ドコモdカードとニッテレ債権回収

ドコモdカードで未払いが発生すると、ニッテレ債権回収の「ドコモdカード受託センター」というところが窓口として対応することになります。

従って、専門家が間に入って任意整理をする場合もドコモdカード受託センターが交渉相手になります。このように自前で交渉窓口を用意していないカード会社は珍しいと思います。

ドコモdカード受託センターの厳しい対応

ニッテレ債権回収のドコモdカード受託センターは任意整理の対応が非常に厳しいです。カード会社でここまで厳しいところは珍しいです。具体的に何が厳しいのかを説明しましょう。

  1. 3年以上の分割を認めない

通常クレジット会社は消費者金融よりも長期分割に応じるところが多く、5年分割でまとまるケースも良くあります。

しかし、ドコモdカード受託センターは3年を超える分割には応じてくれません。よって3年分割で払えない時は個人再生か自己破産を検討することになります。

  1. 1回の返済額が5000円以上

1回の最低返済額も通常のクレジット会社よりも高いです。1000円でもOKというところも多いなかで、5000円はかなり高いですね。

  1. 遅延損害金は、ぎりぎりまで付ける

司法書士が任意整理をすると業者が事務所に債権届を送ってきます。その債権届出日までの遅延損害金を、きっちり上乗せされます。

  1. 家計の開示

分割契約を結ぶ前に収入と支出の状況を詳しく報告させられます。ドコモdカード受託センターほど細かい家計を聞いてくる業者は、私の経験ではありません。

携帯電話の通話料金とは別にできるか?

これはドコモdカードの任意整理の唯一の良いところではないかと思いますが、ドコモの携帯電話とは切り離してドコモdカードの分だけで任意整理をすることが可能です。従って、ドコモdカードの任意整理をしてもドコモの携帯電話を利用できます。

結論

ドコモdカードの任意整理は数ある業者の中でも相当に厳しい方になります。正直、ここまで厳しくしているのは何故なんだと不思議に思います。厳しくしたことによって破産が増えたら(増えるでしょう)、ドコモdカードにとっても不利益になるでしょう。

このような融通の利かなさは、むかし国営企業だったころの名残でしょうか。(若い方は知らないかもしれませんが、NTTは昔の電電公社です)

ドコモdカードの任意整理を検討している場合は、先ほど説明した条件をクリアしているかを確認しましょう。クリアできていない場合は個人再生か自己破産を検討してください。

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1月 16 2023

複数口座の差押 強制執行(差押)⑤

複数の口座を差し押さえる場合

一つの口座だけを差し押さえた場合、預金残高が無く空振りになった時に他の口座の差押をしようと思ったら、最初から手続をやり直す必要があります。

これでは費用や時間の無駄と考える人は多いでしょう。また、差押が空振りになった時点で、相手方が他の口座から残高を全額引き出してしまうリスクもあります。

よって相手方の口座が複数分かっている場合は、一度の手続で複数の口座を差し押さえることを検討するべきです。ただし注意点があります。

請求金額を振り分ける

例えば請求金額が100万円だとして、A銀行・B銀行・C銀行を差し押さえる予定だとします。この場合、3つの銀行それぞれに100万円を請求できると勘違いされていることがたまにあります。

しかし、これは間違いなので気を付けましょう。理由は、もし3つの銀行に満額の預金があったら、300万円を差し押さえることになってしまうからです。

正しくは、3つの銀行に100万円を振り分けなくてはいけません。

振り分ける金額は債権者が好きなように決めることができます。例えばA銀行に50万円、B銀行に30万円、C銀行に20万円と請求金額を振り分けたとしましょう。このとき仮にB銀行の預金が0円だったとしても、A銀行とC銀行の請求金額を増やすことはできません。B銀行で回収できなかった30万円については新たな差押をするしかありません。

結論

従って複数口座の差押の場合、「どの銀行に、いくら振り分けるのか」を決めるのは非常に重要です。預金残高が多くありそうな口座に大きな金額を振り分けるのが理想です。しかし「預金残高など分からない」というケースも多いと思います。そのような時は均等に分けるのが一般的なやり方でしょう。

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1月 12 2023

消滅時効と裁判 時効(114)

時効と裁判について

最近は以前のように放置せずに、積極的に裁判をしかけてくる業者が増えてきています。時効援用通知が出されるケースが増加して、業者も対策を立てざるを得なくなったのでしょう。時効の相談も裁判に関するものが増えています。

そこで、時効と裁判について整理してみたいと思います。

最近、訴えられたケース

まずは最近に訴えられて、まだ裁判が終わっていないケースです。

この場合、最初に検討するのは過去5年以内に取引があるかどうかです。取引とは借入または返済です。

過去5年以内に取引があれば、時効で裁判に勝つことはできません。支払うか、または自己破産などを検討することになります。

一方、訴えられた時点で5年以上取引が無い場合は、裁判に勝つことが可能です。裁判が終わる前に専門家に相談しましょう。

裁判が終わってしまったケース・・・通常訴訟の場合

では訴えられても放置して裁判が終わってしまった場合は、どうなるのでしょうか。実は、これに当てはまる相談が昨年から非常に増えています。複雑なので一つ一つ順を追って説明していきましょう。

まずは裁判が通常訴訟の場合を検討します。通常訴訟はタイトルが「訴状」と書かれた書面が届きます。事件番号に書かれた記号が(ハ)になっているのが特徴です。

通常訴訟は裁判が終わると「判決書」が届きます。判決書を受け取ってから2週間以上が経ってしまうと判決が確定します。

確定とは「判決の内容をひっくり返すことができなくなる」ことだと考えてください。従って判決が確定したら支払うか自己破産を検討することになります。

ただし判決が確定してから10年経過すると再び時効になります。裁判後は時効期間が10年に延長されるからです。

一方、判決書を受け取ってから2週間以内ならば勝てる可能性はあります。控訴と言って、もう一度裁判をすることができるからです。

訴えられた日付から過去にさかのぼって5年以上取引が無い場合は、2回目の裁判で時効の主張をして裁判をひっくり返せる見込みがあります(実際にひっくり返して勝ったことが何回かあります)。ただし2週間しか時間が無いので急ぐことが重要となります。

裁判が終わってしまったケース・・・支払督促の場合

次に裁判が終わってしまった場合で、支払督促だったケースを考えてみましょう。支払督促は届いた書類のタイトルが「支払督促」と書かれています。事件番号の記号は(ロ)になります。

支払督促は通常訴訟の場合とは異なり、結果に既判力がありません。既判力とは法律用語ですが、「同じ内容では再び裁判をすることが許されない」というルールのことです。

通常訴訟の判決は既判力がありますので、確定したら再び裁判で争うことはできません。一方、支払督促は既判力が無いので、結果が出た後でもひっくり返すことが可能です。

従って支払督促の場合は、申し立てられた日付から過去にさかのぼって5年以上取引が無い場合は、例え裁判が終わっていても消滅時効で解決することが可能です。ただし裁判に慣れていない司法書士だと、このことに気づかないケースがありますので注意しましょう。

差押をされた場合

「預貯金や給料の差押(強制執行)をされてしまった」という相談が最近増えています。まず覚えておいて頂きたいのは、「差押の前に必ず裁判をされている」という事実です。

よく「いきなり差押をされた」とか「裁判をされた記憶が無い」という相談がありますが、法律では「差押をするには、まず裁判をしなければならない」というルールがあります。

(例外として執行証書がありますが、貸金業者が執行証書を取るケースは、今まで聞いたことがありませんから無視して良いと思います)

ですから、たとえ気づいていなくても差押の前に裁判はされていると思ってください。

差押の前に通常訴訟をされていた場合

差押えの前に通常訴訟をされていた時は、判決が確定した後と考えて、ほぼ間違いないでしょう。この場合は裁判のやり直しはできませんので、判決どおりに支払うか、自己破産を検討することになります。

見分ける方法としては、裁判所から届いた強制執行の書類の中に「請求債権目録」と言う書面がありますので見つけてください。そこに請求の原因となっている裁判の事件番号が書かれています。その事件番号の記号が(ハ)ならば通常訴訟になります。

あと事件番号の年数が10年以上前だった場合は、再び時効になっている可能性がありますので、その時は時効援用通知の発送を検討しましょう。

差押の前に支払督促をされていた場合

差押の前に支払督促をされていた時は、先ほど説明したように支払督促には既判力がありませんので、時効で解決できる可能性があります。ただし、支払督促の申立日から過去にさかのぼって5年以上取引が無い場合に限ります。

あと支払督促の事件番号の年数が10年以上前だった場合も、時効になっている可能性があります。

専門家の判断

消滅時効と裁判の関係を説明してきましたが色々なパターンがあり、かなり複雑です。どれに当てはまるかを正確に判断するのは難しいので、やはり専門家に判断してもらうのが安全でしょう。

時効の可能性がある場合の判断表

訴状
事件番号(ハ)
支払督促
事件番号(ロ)
最近訴えられて裁判中過去5年以内に取引が無い過去5年以内に取引が無い
過去に訴えられて裁判が終了判決書を受け取って2週間以内で、申し立てられた日付から過去5年以内に取引が無い申し立てられた日付から過去5年以内に取引が無い
訴えられた後、差押を受けた判決通り支払うか、自己破産などを検討
(判決確定後、10年経過で再び時効の可能性有)
支払督促の申立日から過去5年以内に取引が無い

※上記の表以外にも、いろいろなケースがあります。詳しい判断は、専門家に相談してください。

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12月 19 2022

リンク債権回収の「返済の意思が無いものと判断します」 時効(113)

リンク債権回収から届く「返済の意思が無いものと判断します」

リンク債権回収からの請求を放置していると「返済の意思が無いものと判断します」というタイトルの書面が届くことがあります。書かれているのは、だいたい以下のような内容です。

「再三の請求にもかかわらず未だに解決していません。よって裁判所への提訴や資産への差押、自宅への訪問を開始する予定です。」

「お困りの場合は、下記期日までに連絡してください。連絡してくれれば利息の減額や免除、分割での支払いも検討いたします。」

「〇年〇月〇日〇〇時迄」

「返済の意思が無いものと判断します」と言う書面が届いた時の対処法

リンク債権回収は時効の可能性が高い業者です。

だからこそ、裁判・訴訟・差押・財産調査などの脅し文句や、利息の減免や分割を認めるような甘い言葉を多用した書面を送って何とか連絡させようとしてきます。債務者が脅し文句や甘い言葉につられて連絡してきたら、支払いの約束をするように誘導して時効の可能性をつぶそうとするわけです。

最後の取引が5年以上前ならば決して連絡しないで、まずは専門家に相談しましょう。

リンク債権回収について、より詳しい情報が知りたい場合は以下をクリック

司法書士ジャーナル » リンク債権回収の不当請求 時効(71) (hashiho.com)

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12月 12 2022

転付命令(てんぷめいれい)強制執行(差押)④

転付命令とは

転付命令とは強制執行の手段の一つで、預貯金の差押の時に良く行われる手続です。目的は差押の競合を避けるためです。

差押の競合とは

例えばAさんがBさんに対して勝訴判決を取って、Bさんの銀行預金を差し押さえたとしましょう。しかし、他にもBさんにお金を貸しているCさんがいて、Cさんも同じ銀行に差し押さえをしてきたらどうなるのでしょうか。(決して珍しいことではありません)

この状態を「差押の競合」と言います。差押が競合すると複数の差押金額の合計額は預貯金の額を超えることが多くなります。ようするに債権者は全額の回収ができなくなるわけです。この場合、AさんやCさんが銀行に取り立てに来ても、銀行は支払うことができません。供託という手続を取って法務局に預金を預けることになってしまいます。その後、裁判所の手続で債権額に応じた割合で分配することになるのです。

※滅多にありませんが、運よく預貯金の額が差押金額の合計を超えている時は、銀行はAさんとCさんの両方に支払うことができます。

競合を避ける方法としての転付命令

このように競合が起こると回収金額が減る確率が高くなりますので、できるだけ競合は避けたいと思うのが債権者の考え方です。この競合を避けるために最もよく使われる方法が転付命令です。

先ほどの例で説明すると、まず銀行の預金者はあくまでBさんです。これを法律で考えると、Bさんが銀行に対して預金と言う債権を持っていることになります。転付命令が発動されると、銀行に対する債権者がBさんからAさんに強制的に変更されます。転付命令後は、銀行はAさんを預金者として扱うことになります。

取り立てとの違い

ではAさんが銀行に取り立てに行くのと何が違うのかを説明します。取り立ての場合、銀行の預金者は以前としてBさんのままです。Aさんは差押をしたので代わりに取り立てに行っているだけなのです。

一方、転付命令の場合は、銀行の預金者はAさんに変更されます。もはやBさんは銀行にとっては無関係の第三者になります。Bさんと銀行の関係が切れてしまいますので、転付命令後は銀行預金はBさんの財産ではなくなります。ですから、Cさんが新たに差押をしようと思っても、Bさんの財産ではなくなっているので出来ません。だから競合することが無くなるのです。

転付命令の注意点

メリットばかりに思える転付命令ですがデメリットもあります。それが「預貯金が不足している場合でも返済されたことになる効果」です。

具体例で説明しましょう。

Aさんが100万円の差押命令と一緒に転付命令を申し立てたとしましょう。このように差押命令と転付命令を同時に申し立てることはよくあります。ところが実際には預金は50万円しかありませんでした。転付命令が無ければ、残りの50万円に対して再び差押をすることが可能です。

しかし、転付命令には決済されたという法的な効果があるので、例え不足していても返済されたとみなされてしまうのです。従って、不足分を再び差押をすることができません。

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12月 05 2022

リンク債権回収の財産調査開始予告通知 時効(112)

リンク債権回収から届く財産調査開始予告通知

リンク債権回収からの請求を放置していると「財産調査開始予告通知」というタイトルの書面が届くことがあります。書かれているのは、だいたい以下のような内容です。

「このまま放置される場合は、訴訟や差押などの法的手続きを検討せざるを得ない。法的手続きを開始するために貴殿の勤務先、動産不動産、預貯金等の調査を開始する」

「支払う意思のあるお客様や、支払いが困難な事情があるお客様は、下記期日までにご連絡ください」

「〇年〇月〇日〇〇時迄に必ずお電話ください」

財産調査開始予告通知が届いた時の対処法

リンク債権回収は、このブログで紹介している他の業者と同様に、時効の可能性が高い業者です。だからこそ、裁判・訴訟・差押・財産調査などの脅し文句を多用した書面を送って何とか連絡させようとしてきます。債務者が脅し文句につられて連絡してきたら、支払いの約束をするように誘導して時効の可能性をつぶそうとするわけです。

最後の取引が5年以上前ならば決して連絡しないで、まずは専門家に相談しましょう。

リンク債権回収について、より詳しい情報が知りたい場合は以下をクリック

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