司法書士ジャーナル<相続>
橋本司法書士事務所ブログ

10月 09 2018

遺言⑯ 公正証書遺言は全て公証人が作ってくれるのか?

3:32 PM 遺言

公正証書遺言は、公証役場へ行けば自分は何もしないでも、希望さえ伝えれば公証人が作ってくれるというイメージを持っている人が多いかもしれませんが、現実は違います。だいたいの文案は自分で考えてメモしていく必要があります。

そこで注意すべきなのは、明らかな法的な間違い以外は公証人は指摘してくれない、ということです。

法的な間違いを指摘してくれれば、それで充分じゃないか、と思われるかもしれません。しかし、実際の相続の現場に居合わせた経験から言うと、「法的には間違っていなくても、後で非常に面倒なことになった」という事例は数多くあります。

例えば、了解を取らずに親族の一人を遺言執行者にして記載したところ、相続が開始したら「私は遺言執行者になんて、なりたくない」と言って辞退してしまって、新たな執行者を決める時に揉めてしまった、と言う事例がありました。
このような場合、公証人は「遺言執行者に了解を取ってありますか」とはアドバイスはしてくれません。

他にも、「遺言執行者は、その業務を第三者に委任することが出来る」という一筆が入っていなかった為に、遺言執行者が専門家に依頼することが出来なくなってしまった事例もあります。(これも公証人は何も言ってくれなかったようです)

あと非常に印象に残っている事例としては以下のようなケースがありました。
遺言で指定した相続人が高齢だったため、遺言者よりも先に亡くなってしまって、その人の分だけ法定相続になったという事例です。
この事例が大変だったのは、法定相続人が16人もいたことです。当然、相談者が全く面識の無い相続人も複数いて、住所を探すのも一苦労でした。また16人に経緯を説明して各種書面に署名押印をもらわなくてはなりませんから、これも大変な作業でした。

実はこの事例のトラブルは、「遺言で指定した〇〇が、遺言者よりも先に死亡した場合は、△△に相続させる」という一筆が入っていれば(専門用語で予備的遺言と言います)、防ぐことが出来たのです。しかし何度も言うように、公証人はこのようなサービス的なアドバイスはしてくれません。(この一筆が無くても法的には問題ないからです)

この依頼を受けた時も遺言執行者の方が、「遺言を作る時にも依頼をしていれば良かった」と大変悔しがっていました。一筆入っていなかったために膨大な手間と時間が余分にかかることになったのですから無理もありません。

このように遺言には「法的に間違っていなくても、一筆入れておいた方が良いこと、あるいは注意しておいた方が良いこと」が他にもいくつかあります。

後々の手間と時間と余分にかかる費用を考えたら、やはり遺言の作成段階から専門家の意見を聞いた方が良いと思います。

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