11月 15 2024
養子縁組前に出生した子に代襲相続を認めない 遺産分割⑬
養子縁組前に出生した子に相続権はあるか
被相続人に子がいなくて、両親も祖父母も先に亡くなっていた場合、兄弟姉妹甥姪が相続人となります。
その場合、養子縁組により兄弟姉妹になった相続人がいて、その人が亡くなっていた時、その人の子どもで縁組前に出生した人が代わりに相続人となれるかが裁判で争われていました。
最高裁判決は「相続権は無い」
今月12日に最高裁第三小法廷が判決を出しました。結論は「縁組前に出生した子に代襲相続権は無い」と決まりました。4人の裁判官が全員一致の判断で、その前に出た高等裁判所の判決が覆ることになりました。
最高裁の判決ですから最終判断で、今後のルールとなります。
二転三転した判決
1審の横浜地裁では「相続権が無い」との判断で、2審の東京高裁では一転して「相続権がある」と言う判断に変わりました。最高裁で1審の結論に戻ったと言えます。
個人的には、民法を素直に読むと1審と最高裁の判決の結論になるので、2審の東京高裁の判決が苦しい解釈だなと思いました。
孫の場合は結論が出ていた
被相続人の子が先に亡くなって孫が代襲相続をする場合は民法に規定があります。民法には「被相続人の直系卑属でない者は代襲相続人にはなれない」と規定されています。従って被相続人と子が養子縁組をする前に出生した孫は、被相続人の直系卑属にはならないので代襲相続人にはなりません。
今回の裁判では兄弟姉妹の子だったので判断が分かれたのでしょう。ただ最高裁の判断は民法の規定を素直に読んで、「民法の規定は、血族関係が生じない養子縁組前に生まれた子は、代襲相続人になれないと定めている」と指摘しています。孫のケースから応用したら、この結論になるのが妥当でしょう。東京高裁の判断は無理があると思いますね。
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