司法書士ジャーナル<相続>
橋本司法書士事務所ブログ

8月 17th, 2016

8月 17 2016

家族信託で節税?ちょっと待って!(家族信託(民事信託)②)

「家族信託をすれば、節税になる」
そんなふうに聞いたから実際どうなのかと、質問を受けることがあります。
これには注意が必要です。
家族信託という制度が注目されるようになってから、まだそんなに経っていません。
誤解を生むこともあるでしょう。
特に税金に関しては、個別の状況に応じて違ってきますので、事前によく考えなくてはなりません。

贈与税と相続税はどうなる?

家族信託をすると、財産の名義が委託者から受託者へ変わります。
その際、贈与税や相続税はどうなるのでしょうか。

贈与税
まず贈与税については、税務上は実質的な財産の移転が誰に移るのかで判断されます。
信託における委託者から受託者への名義の変更については形式的なものです。
財産から得られる利益については、あくまで受益者が獲得します。

従って、実質的な移転は受益者とみなされますので、受託者ではなく受益者に対して贈与税が課税されることになります。
この性質を利用して、家族信託では委託者と受益者を同一人物に設定することにより贈与税の発生を無くすことが可能となります。

この方法を自益信託と呼びます。

この方法を使えば、たとえ名義が受託者に移転しても贈与税の対象とはなりません。

相続税
一方、相続税については、受益者が移転した場合、通常と同様に相続税がかかります。

あくまで基準は受益者なので、受益者が変更したかどうかがポイントです。
受益者移転による相続税は、基礎控除や軽減措置なども通常の相続と全く同じになります。

家族信託でなければ、できないことは?

家族信託では、遺言では不可能だったことができるようになります。
たとえば、最初に指定した相続人が亡くなった後の、次の相続人まで指定できるという大きなメリットがあります。
一定の条件を満たせば、次の相続人が亡くなった後、さらにその次の相続人まで指定することも可能です。
自身が亡くなったあと、かなり先まで、財産の行方(使い道)を指定できるということですね。

相続で家族信託を検討する時は、上記のような信託でないと実現できないようなメリットに注目して考えて頂くのが良いでしょう。

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