司法書士ジャーナル<相続>
橋本司法書士事務所ブログ

8月 23rd, 2016

8月 23 2016

信託の3つの設定方法とは?(家族信託(民事信託)⑤)

そもそも、信託とはどういう意味でしょうか。
誤解を恐れずに簡単に言います。
「自分の財産を信頼できる人に渡して、その財産を管理したり、処分したり、ときには運用したりすること」です。
信頼できる人が管理運営して得た利益は、自分が受け取ることができるよう設定することが多いですが、自分以外の人に決めることもできます。

信託は、以下の3つの方法によって設定することができます。

信託契約

委託者受託者※が信託契約を締結する方法です。
注意していただきたいのは、受益者※は契約の当事者にはならないということです。
契約書の作成は公正証書によることは要求されていませんが、財産管理という非常に重要な内容の契約です。
公正証書で作成するのが一般的になっています。

※ 委託者とは財産を預ける人のこと。受託者は財産を預かって管理する人のこと。
※ 受益者とは財産から生まれる利益を受け取る人

遺言

信託の目的・信託財産・受託者・受益者など信託の内容を遺言書の中に記載する方法です。
遺言なので、当然、亡くなった後でしか、効力が発生しません。
信託契約と同様、信託の内容を記載した遺言書についても、やはり公正証書で作成することが望ましいでしょう。
気を付けて頂きたいのは、信託銀行の扱う遺言信託という商品です。
これは通常の遺言を信託銀行が代行するという意味で、ここで言う遺言による家族信託とは全く違いますので注意しましょう。

>>>家族信託と信託銀行の扱う遺言信託の違いについて、もっと知りたい方はこちら<<<

信託宣言

委託者と受託者が同一者となる場合(自己信託)には、契約当事者が一人となるため契約をすることができません。
そこで委託者の意思表示によって信託の設定をする方法です。
意思表示は、公正証書での作成のほか、公証人の認証を受けた書面や、確定日付のある証書による受益者への通知といった方法が規定されています。
信託宣言についても公正証書によって作成することが望ましいでしょう。

いずれにせよ、何を実現したいかによって、1番望ましい信託方法は違ってきます。
わからないときには、ぜひ専門家ご相談ください。