司法書士ジャーナル<相続>
橋本司法書士事務所ブログ

3月 2nd, 2017

3月 02 2017

本当は大変な銀行の相続手続(預貯金の相続①) 

銀行の相続手続は簡単だと思っていますか?
銀行は、誰でも何度も行ったことがありますし、窓口での振り込みやその他の取引をしたこともありますよね。
その延長線で、相続もたいした手続きではないだろうと思ってしまうのです。
相続は人生に何度も起こることではありません。
経験した人も少ないため、大変さがなかなか伝わらないのです。
実際に経験した人は、皆さんが、「二度とやりたくない」、「こんなに大変だと最初から分かっていれば専門家に頼んだのに」などの感想を持たれます。
では何がそんなに大変なのでしょうか。

  1. 銀行の担当者が相続に詳しいとは限らない
  2. 相続が大変になる最も大きな理由がこれだと私は思います。
    実は相続手続をきちんと理解している担当者は銀行の中でもとても少ないのです。
    普段の手続きに比べたら、件数が少ないので、そういうことが起きるのかもしれませんね。たまたま詳しい人が留守だったりすると、説明があいまいだったりすることも珍しくありません。

    ただでさえ、戸籍や住民票、遺産分割協議書等、慣れない書類を準備しなくてはならない相続手続きです。
    必要書類の説明が抜けていて、聞いたとおりの書類を持参しても
    「すいません。追加の書類が必要です」などと言われ、何度も足を運ぶ羽目になることが珍しくありません。

  3. 時間がかかる
  4. これも1と関連がありますが、支店レベルの担当者が相続に詳しくないため、疑問点が出るたびに、本部に問い合わせるのです。
    そして本部から折り返しの回答が来てから顧客に対しての説明になるので、非常に手間も時間もかかります。
    メガバンクや郵貯銀行などの大手に、このような対応が目立ちます。

    メガバンクや郵貯銀行は支店とは別に相続センターのようなものを設けて、支店で受け付けた書類をそのままセンターに送って集中的に事務処理をするというパターンが多いので、支店レベルではますます詳しい人が少なくなる傾向があります。
    支店に何人かは、詳しい人を置いてほしいところですね。

  5. 銀行ごとに書式や必要な書類が違う

  6. 複数の銀行の相続手続をする場合は、より大変になります。
    銀行ごとに独自の書式を設けているので、手続書類の書き方が異なっているからです。
    異なっているのは書き方だけではなく、必要書類も異なっている場合がありますから注意が必要です。
    正直なところ、金融機関どうしで話し合って統一書式を作れないのかと思うことが何度もあります。

    私のこれまでの経験では、最も必要書類が多いのは三菱東京UFJ銀行です。三菱東京UFJ銀行の相続は要注意ですね。
    同じグループ企業なのに三菱UFJ信託銀行は、それほど多くありません。(同じグループでも対応が異なるのが相続手続です。)

  7. 相続人全員の実印を何枚も押さなくてはならない
  8. 相続人が複数いて法定相続する場合、ほとんどの銀行で、手続依頼書には相続人全員の署名と実印の押印が必要です。
    相続人全員の印鑑証明書も必要です。
    このため、銀行が複数ある場合は、すべての銀行の用紙に全員の署名押印をもらうだけでも大変な手間になります。
    このような場合、専門家に依頼すると、委任状に1度署名押印することで、全ての銀行の手続が可能となりますので、かなりの手間を省くことが出来ます。

  9. 中心になって動く相続人が疑われることがある
  10. 通常、相続人の中でも中心になって手続を進める人が決められることが多いです。
    その場合、他の相続人よりも手間がかかっているにも関わらず、他の相続人から「きちんと分配したのか」というような苦情を言われるケースがあります。
    このようなトラブルやクレームを避ける目的で、専門家に依頼される方もいます。

以上のように、銀行の相続手続は多くの人がイメージされるよりもずっと大変です。
仕事が忙しくて平日にあまり休みを取れない方、高齢で体力が衰えて頻繁に出歩くのが大変な方、面倒な手続きはできれば任せたい方などは、専門家に依頼することを検討されると良いでしょう。

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