司法書士ジャーナル<相続>
橋本司法書士事務所ブログ

9月 1st, 2017

9月 01 2017

いつまで放っておく?未登記建物(遺産整理⑫)

土地は新たに出現するものではないので、通常、未登記というのはありえません。
しかし、車庫や倉庫などの場合、未登記になっている建物がたまにあります。

未登記を登記するタイミング

未登記になっている場合、もちろん登記をするのが法的には最も正しい方法ですが、そのまま放置してしまう人も結構いるのが現実です。
これが母屋の場合ですと、登記をしないと売れませんので、いずれ登記をすることになるでしょう。
登記が無いということは、自分の名義になったことを公的に証明できないということになるので、そんな物件を買う人はいないからです。

登記をするタイミングとしては、売却を考えたとき、あるいは銀行からお金を借りて抵当権を付けたりするときなどになります。

表示登記

実際の未登記の物件の登記はどのように行われるのでしょうか。
登記には2種類あって、表示登記権利登記に分かれます。
未登記の場合、まずは表示登記をしなくてはいけません。

表示登記とは物件の物理的な状態を登記簿に記載する仕事です。
表示登記を取り扱っているのは土地家屋調査士という資格を持った人です。
建物や土地の測量をして図面を作成しなくてはいけませんので、どちらかと言うと技術系の仕事です。
土地家屋調査士さんはスーツよりも屋外で作業服でいる時間の方が長いくらいです。
室内だけで処理できる仕事ではありませんので、一般的に費用が高額になる傾向があります。

権利の登記

表示登記が終わってから権利の登記をすることになります。
権利の登記は登記簿では甲区、乙区と呼ばれているもので、甲区は所有者、乙区は抵当権者などを記載します。
権利の登記は司法書士が取り扱います。

このように未登記の物件に登記をする場合は、表示の登記と権利の登記をする必要がありますので、時間も費用も結構かかります。
これが、車庫や倉庫のために、そこまでしたくないという人が出てきてしまう理由となっているのです。

未登記状態で相続が起きたら?

このような未登記の車庫や倉庫に相続が起こったら、どうなるのでしょうか。
相続の後、売却するのでなければ、そのままにするケースが多いでしょう。

では固定資産税はどうなるのでしょう。
通常、評価証明書には未登記の建物も記載されています。
この場合、母屋と一体になるように役所が処理している物件は、母屋の相続登記が行われれば、自動的に車庫や倉庫の名義も変わるようになっています。
(あくまで固定資産税の名義の話です。)
一方、役所で一体となる処理がされていない物件は、未登記物件の名義変更の手続を申請する必要があります。
一体となる処理がされているかどうかは、役所に聞く必要があるということですね。

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