9月 20 2017
未支給年金や介護・健康保険の還付金を受け取っても相続放棄はできる?(相続放棄⑧)
相続放棄は、相続が発生したときに借金が財産よりも多いことが分かった場合に、借金を支払わなくて済む非常に有効な手段となります。
ただし、相続放棄が認められなくなるケースもあります。
相続放棄は、財産も借金も両方とも受け取らないことを前提にした制度です。
従って、財産を一部でも受け取ってしまうと、ルール違反とういことになり、相続放棄が認められなくなる可能性がありますので注意が必要です。
この場合に相続人がよく迷うのが、今回のタイトルにもなっている
です。果たして、これらは亡くなった方の財産と言えるのかどうか、というのがポイントになります。
財産ならば受け取れない、財産で無ければ受け取れる、という訳です。
結論から言うと、未支給年金は亡くなった方の財産ではなく、相続人固有の財産だと考えられています。
従って、未支給年金を受け取っても相続放棄は可能です。
一方、介護保険や国民健康保険の還付金の場合は亡くなった方の財産だと考えられています。
そうすると、これらの還付金は相続放棄をする場合は受け取ってはいけない、ということになります。
やっかいなことに還付をする役所は相続放棄に詳しい人が対応するとは限りませんので、「受け取っても構わない」と答えたりすることがあります。
安易に受け取ると、取り返しのつかないことになりかねませんので、覚えておきましょう。
実際の実務の上では、家庭裁判所に相続放棄の申述をする段階では、上記の事実が問題になることはまずありません。
そのまま審査が進んで、相続放棄申述受理通知書が送られてくるでしょう。
では何が問題なのでしょうか。
借金の請求をする債権者(業者)が調査をして、上記の事実が発覚した場合に、相続放棄の効果が否定される可能性があります。
つまり支払いを拒否できないかもしれないということです。
もちろん発覚しなければ大丈夫ということにはなりますが、大きなリスクであることは間違いないので、専門家としてはお勧めできません。
役所に言われるままに知らずに受け取ってから気付いたというなら、リスクを承知でやってみるということも否定はしませんが、もし受け取る前に気付いたのならば止めておきましょう。












