司法書士ジャーナル<相続>
橋本司法書士事務所ブログ

1月 4th, 2018

1月 04 2018

離婚による財産分与を円滑に行うポイント(名義変更)

離婚には大変な労力が必要とされます。
その理由は、ただ別れたら終わりではなく、それまでに築いてきた財産を2人で分ける作業があるからです。
ときに、この作業でお互いを傷つけあい、疲れ果ててしまうことがあります。
離婚による財産分与を、少しでも円滑にすすめることはできないのでしょうか?

離婚による財産分与で不動産を譲り受けた場合、不動産登記(名義変更)をする必要があります。この際、注意すべき点が2つあります。

  • 後でごね出す?協議離婚の場合
  • 1つは、協議離婚の場合、不動産の登記に相手方の協力が得られるのかという問題です。

    協議離婚の場合の不動産登記(名義変更)は、相手方の実印、印鑑証明、権利証(登記済証・登記識別情報)が必要になります。譲り受ける人単独では出来ません。

    依頼を受けた司法書士が相手方と本人確認のために面談することも必要です。

    円満離婚なら問題ないかもしれませんが、相手方と険悪な雰囲気になっていたとしたら不動産登記(名義変更)に協力してもらうのは難しいかもしれません。

  • 円滑な登記が可能な手続きは?
  • 一方、裁判所の調停・審判・訴訟などによる離婚の場合は、裁判所の判断が出るまでは大変ですが、判断が出た後、不動産の所有権を財産分与により譲るという結果が得られれば、相手方の協力は不要になります。

    結果の書かれた裁判所の調停調書・審判書・判決正本などを添付していけば、譲り受ける人の単独で登記を行うことが可能です。
    もちろん司法書士による相手方の本人確認や面談も不要です。

    離婚をするのですから、相手の顔も見たくないし、何度も裁判所で話したりするのも冗談じゃないと思うかもしれません。
    その気持ちはわかります。

    しかし、大事なのは、財産をしっかりと分与してもらうことですよね。
    大きな目的を確実に達成するためには、裁判手続きを踏むという少し面倒なことは乗り越えたほうが、賢い選択と言えるのではないでしょうか。

  • 意外な盲点!贈与税
  • 2つめの注意点は贈与税です。
    通常は財産分与で不動産を譲り受けても贈与税はかかりません。
    財産分与とは今までの夫婦の財産を清算するのが目的だからです。

    しかし、夫婦の財産を清算するよりも多いと思われるような財産の場合、税務上の財産分与とは認めてもらえない可能性があります。その時は、超えた分に関しては贈与税の対象になるかもしれません。

    たとえば、財産が不動産3,000万円、預貯金1,000万円で合計4,000万円だとします。
    普通に考えれば2,000万円ずつということになります。

    しかし、夫の名義の不動産を妻に譲るとなると、妻3,000万円となり、1,000万円分は財産分与ではなく、贈与だと判断される可能性があるということです。

    すると、1,000万円分に贈与税がかかってきます。
    贈与税は、贈与を受けた方が支払いますので、この場合は妻が支払わなければならなくなります。
    (実際にこうなるというわけではありません。簡単に説明するための例えです)

    このように財産分与と言っても気を付けるポイントがあります。
    離婚をお考えの人は、一刻も早く別れたいと思いがちですが、財産のことを考えると、事前に専門家に相談するのが間違い無いと思います。

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