4月 05 2018
相続税⑪ 養子を取ると相続税は減税になるのか?
相続税の基礎控除は法定相続人の数が多いほど金額が大きくなります。とすると、養子を取ることによって、法定相続人の数を増やせば基礎控除が大きくなって、相続税が減額になるのではないか、と考える人がいても不思議ではありませんよね。
この考え方は正しい部分もあれば、間違っている部分もあります。詳しく説明しましょう。
まず、民法上の問題と相続税の問題は分けて考える必要があります。
民法上は養子は何人取っても構いません。人数に制限は無いのです。
しかし、相続税の計算で法定相続人の数に含められる養子の数には制限があります。具体的には、「実子がいる場合は一人まで」、「実子がいない場合は二人まで」と決まっています。
では、「上記の制限を守っていれば養子は必ず相続税の節税になるのか」、というと、そうとも言い切れません。
この問題を考える時に参考になるのが平成29年1月31日に出された以下の最高裁判決です。この判決文の中に「節税目的の養子縁組はただちに無効ではない」という記述があります。
この最高裁判決は誤解されていることが多いので注意が必要です。
最も良くある誤解は「最高裁が養子による節税を認めた」というものです。しかし、節税を努力されている方には残念ですが、この判決はそういう意味ではありません。
この最高裁判決は、「節税目的でなされた養子縁組であっても、民法上は無効にはならない」という意味なのです。ようは民法の話をしているのであって、税法の話をしているのではありません。
実際に国税庁の見解では、「養子の数を法定相続人の数に含めることで相続税の負担を不当に減少させる結果となると認められる場合、その原因となる養子の数は、養子の数に含めることはできません」となっています。
この見解の意味は、「明らかに相続税の節税目的の為に養子を取った場合は、それは相続税の計算の際に法定相続人の数にカウントしませんよ」というものです。
では、どういう場合に「明らかに相続税の節税目的の為の養子」と判断されるのか、というと、これは実際に税務調査に来た時の職員の判断になると思われるので、はっきりしたことは言えません。まあ、「認められない可能性がある」、ということは覚えておいた方がよいでしょう。
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