司法書士ジャーナル<相続>
橋本司法書士事務所ブログ

12月 28th, 2022

12月 28 2022

契約不適合責任の免責 不動産売買② 

売買契約における売主の責任

売買契約における売主の責任のことを以前は瑕疵担保責任と呼んでいました。瑕疵とは欠陥のことで、不動産業界ではよく使われる用語です。瑕疵担保責任とは不動産に何らかの欠陥があった時に売主が負う責任のことです。

令和2年4月に民法が改正されてこの瑕疵担保責任が廃止されて、代わりに契約不適合責任が新設されました。

契約不適合責任とは

契約不適合責任は瑕疵担保責任よりも売主の責任が重くなっています。例えば、瑕疵担保責任では買主側から請求できるのは「契約解除」「損害賠償請求」の2つでした。

一方、契約不適合責任では、買主側は「追完請求」「代金減額請求」「催告解除」「無催告解除」「損害賠償」の5つを請求できるようになりました。

契約不適合責任の免責

このように改正された民法では売主の責任が重くなっているわけですが特に中古物件の売買では、売主の責任が重すぎると売買契約の合意が成立しないケースが増えてしまいます。なぜなら中古物件の場合、買主がある程度の欠陥を許容した上で、その代わりに安く買うという習慣があるからです。

しかし、売主は欠陥の責任を全て負わされると価格を安くすることができません。そこで価格を下げて売りたい場合は売買契約書の中に「契約不適合責任の免責条項」を入れることが広く行われています。この条項があれば売主は契約不適合責任を免れることができます。

免責に制限が付く場合

個人の売買の場合は、売主と買主の双方の同意があれば免責の範囲の制限はありません。ただし、売主が知っていた欠陥を隠して売却した場合は免責特約は無効です。

一方、売主が法人の場合は消費者契約法の適用を受けますので、一部免責特約が無効になるケースがあります。例えば、「契約不適合責任を完全に免責とする場合」や「通知期間(売主が責任を負う期間)を短期間にした場合」などです。

更に、売主が宅建業者(不動産業者)の場合は宅建業法の適用を受けますので、やはり免責が無効になるケースがあります。具体的には、宅建業者は個人の買主への売買契約において、2年間は免責できないと決められています。従って、免責となる期間が2年より短く設定されていた場合には、その免責特約は無効となります。

他に新築物件の売買の場合は、住宅品質確保法という法律が適用され基本構造部分の10年間の保証が義務付けられています。そのため、基本構造部分の保証期間を10年以内とする免責特約は無効となります。

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