司法書士ジャーナル<相続>
橋本司法書士事務所ブログ

2024年11月

11月 25 2024

銀行の相続手続の最近の変化 遺産整理(遺産承継)㉔

昔の銀行の相続手続

以前の銀行の相続手続は、ほとんどが口座を開設した支店に行かなければなりませんでした。支店が遠方の場合は行くだけで大変でしたし、支店の中に相続に詳しい行員が少なく、かなりの時間待たされることも珍しくありませんでした。今でも地方の信用金庫や地方銀行には、このスタイルのところが残っています。

最近の銀行の相続手続1

最近は銀行の相続手続も変化してきています。一つは、どこの支店でも受け付けるところが増えていることです。メガバンクや大手の地方銀行には、このやり方が浸透してきています。ゆうちょ銀行は昔からこのスタイルでした。遠方の支店で口座開設をしていた場合には非常にありがたい変化です。

最近の銀行の相続手続2

二つ目は予約制の導入です。相続手続は他の手続に比べて非常に時間がかかります。待ち時間が加わると更に時間が長くなるので、予約制にすると時間の短縮につながってありがたいです。メガバンクはほとんどが予約制になりました。

最近の銀行の相続手続3

これは個人的にはあまりありがたくない変化ですが、手続が2段階になっている銀行が以前より増えました。2段階とはどういうことかと言うと、まずは受付をして基本的な相続情報を記入した受付表のようなものを提出します。これを提出してからでないと相続手続に必要な書類を受け取ることができないシステムのことを言います。

正直なところ面倒で手間がかかるので、私は評価していません。ゆうちょ銀行は昔からこのやり方でした。最近、他の銀行でもやり始めたところがありますが、まだ多数派ではありません。

最近の銀行の相続手続4

最近めっきり増えてきたのが相続センターを別に設けて、一ヵ所で全ての相続手続を処理するというやり方です。相続専門スタッフを集中的に配置して効率的に処理できるので賢い方法だと思います。

ただしこの方法だと手続は全て郵送でのやり取りになるので一つ難点があります。必要書類も郵送で送ってしまうので、返却されるまで他の銀行の手続ができないことです。ただ遠方の支店に行かなくても良い点や、手続の時間を待たなくても良い点などメリットもたくさんあるので、トータルでは評価できる変化だと思います。

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11月 15 2024

養子縁組前に出生した子に代襲相続を認めない 遺産分割⑬

養子縁組前に出生した子に相続権はあるか

被相続人に子がいなくて、両親も祖父母も先に亡くなっていた場合、兄弟姉妹甥姪が相続人となります。

その場合、養子縁組により兄弟姉妹になった相続人がいて、その人が亡くなっていた時、その人の子どもで縁組前に出生した人が代わりに相続人となれるかが裁判で争われていました。

最高裁判決は「相続権は無い」

今月12日に最高裁第三小法廷が判決を出しました。結論は「縁組前に出生した子に代襲相続権は無い」と決まりました。4人の裁判官が全員一致の判断で、その前に出た高等裁判所の判決が覆ることになりました。

最高裁の判決ですから最終判断で、今後のルールとなります。

二転三転した判決

1審の横浜地裁では「相続権が無い」との判断で、2審の東京高裁では一転して「相続権がある」と言う判断に変わりました。最高裁で1審の結論に戻ったと言えます。

個人的には、民法を素直に読むと1審と最高裁の判決の結論になるので、2審の東京高裁の判決が苦しい解釈だなと思いました。

孫の場合は結論が出ていた

被相続人の子が先に亡くなって孫が代襲相続をする場合は民法に規定があります。民法には「被相続人の直系卑属でない者は代襲相続人にはなれない」と規定されています。従って被相続人と子が養子縁組をする前に出生した孫は、被相続人の直系卑属にはならないので代襲相続人にはなりません。

今回の裁判では兄弟姉妹の子だったので判断が分かれたのでしょう。ただ最高裁の判断は民法の規定を素直に読んで、「民法の規定は、血族関係が生じない養子縁組前に生まれた子は、代襲相続人になれないと定めている」と指摘しています。孫のケースから応用したら、この結論になるのが妥当でしょう。東京高裁の判断は無理があると思いますね。

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