9月
30
2025
Q 分筆とは何ですか?
A 一筆の土地を複数の土地に分けることを分筆と言います。土地は法務局で管理されていて、一筆ごとに登記事項証明書が1通ずつ作られています。分筆すると、それまで1通だった登記事項証明書が複数に分かれることになります。分筆によって土地の個数が増えるわけです。
Q 共有とは違うのですか?
A 違います。共有と分筆は誤解されやすいので詳しく説明します。共有とは1個の不動産を複数の所有者で持ち合うことです。共有者が何人いても不動産の個数は1個です。一方、分筆は土地のみの概念で、土地の個数自体を分けて増やすことです。
Q 分筆すると、個別に売買することができますか?
A できます。分筆された土地は一つ一つが独立した土地になるので個別に売却ができます。例えば、相続税を支払うために土地の一部を分筆して売却する時などを想像してもらえば分かり易いかと思います。分筆は均一にする必要は無いので、土地の10分の1だけ分筆しても構いません。一方、共有の不動産を売却するためには共有者全員の同意が必要であり、不動産の物理的な一部を売却することはできません。
Q 売買の時、隣地との境界がはっきりしない場合はどうするのですか?
A 隣地との境界があいまいな土地の場合、境界をはっきりさせないと売却ができません。どこまでが自分の土地になるのか分からないと買主が困りトラブルになるからです。そこで境界確定測量を行い確定測量図と言うものを作ります。
Q 分筆の時も測量図が必要なのですか?
はい。分筆の時は地積測量図が必要です。地積とは登記事項証明書に記載する土地の面積のことです。例えばAという不動産をBとCの2個に分筆した場合、BとCの地積はそれぞれ何㎡かを測量して記載しなければなりません。別の土地になる訳ですからBとCの境界に杭や鋲などを打つ必要もあるでしょう。他にもBとCの土地の範囲を記載した図面なども作成されます。
Q 境界確定測量や地積測量は誰が行うのですか?
A 土地家屋調査士です。一般には聞きなれない仕事かもしれませんが、土地や建物を測量して図面を作成して、登記事項証明書の表題部の記載を新規で作ったり変更したりするのが役割の専門家です。測量したり杭や鋲を打ったりと現場の仕事も多いので、結構費用は高いです。
Q 確定測量図と地積測量図の違いは何ですか?
A 土地家屋調査士が作成することは同じです。確定測量図は隣地の所有者も立会のもとで作られるので最も信頼性が高いです。確定測量図があれば隣地の所有者も合意していることになるからです。ただし法務局に備え付けの書類ではありません。不動産所有者が個人的に所持している書類です。
一方、地積測量図は、分筆した時などには法務局に提出されますので、保管場所は法務局です。法務局に行けば写しを取得することが可能です。新しいものは確定測量図を法務局提出用に直した形で提出されることが多いので問題は少ないようです。ただし古いものだと測量があいまいだったり、隣地の所有者の合意が無かったりする場合もあるので、新たに確定測量図を作った方が良いことが多いでしょう。
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9月
25
2025
Q 遺産分割協議書で不動産を書く時、不動産の住所を書くのでしょうか?
A いいえ。遺産分割協議書に不動産を書く時は登記事項証明書(登記簿)に書かれている通りに書かなければなりません。
土地は「所在・地番・地目・地積」、建物は「所在・家屋番号・種類・構造・床面積」と結構複雑で長い表記となります。
Q マンションの場合も一戸建と同じように書くのでしょうか?
A いいえ。マンションは登記では区分建物と言われ、「一棟の建物の表示」と「専有部分の建物の表示」に分かれていて、一戸建よりももっと長くて複雑な表記になります。正確に書くのは、なかなか大変です。(敷地権付区分建物の場合は更に敷地権の表示が追加で記載されます。)
Q 登記事項証明書で一棟の建物の表示を見ると非常に長いのですが、これを全て遺産分割協議書に書くのですか?
A 確かに長いですね。特に床面積が各階ごとに書かれているので、階数が多いマンションだとすごい量になってしまいます。
そこで、とっておきの方法があります。それは一棟の建物の表示で「建物の名称(マンション名)」が登記事項証明書に書かれている時は、建物の名称を遺産分割協議書に記載すれば「構造と床面積」の記載を省略できる、というルールです。
Q 専有部分の建物の表示の構造と床面積は省略できないのでしょうか?
A 残念ながらできません。専有部分の建物の表示に書かれている構造と床面積は全て記載してください。
Q なぜ遺産分割協議書における不動産の書き方は、このように複雑で長いのですか?
A 不動産は登記事項証明書(登記簿)によって管理されているからです。不動産の表記が登記事項証明書の表記と一致して始めて、不動産が特定されたことになります。遺産分割協議書だけでなく売買契約書などの法的な書面で不動産を特定する場合は、登記事項証明書の表記を使うということを覚えておきましょう。
Q 登記事項証明書の不動産の所在地番と住所は異なるのですか?
A 異なることが多いです。不動産の所在地番を決めているのは法務局であり、住所は市区町村役場です。最初は所在地番しかなく後から住所ができました。人口が増えて住居が増えたため所在地番だけでは郵便配達などに不都合が生じるようになり、より細かい住所を設けるようになったと言われています。ただし所在地番と住所が同じところもあります。
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9月
12
2025
Q 生前に相続放棄はできますか?
A できません。実は「親族が亡くなる前に相続放棄をしたいのだけど」という相談は結構多いです。それだけ相続については誤解が多いという証拠でもあります。生前の相続放棄は法的に認められておらず、家庭裁判所に持ち込んでも却下されます。
Q 生前に、相続を放棄する念書や覚書などを書いてもできないのでしょうか?
A 相続放棄は家庭裁判所で認めてもらうもので、生前には家庭裁判所が受け付けないので、できません。例え署名押印のある念書や覚書などを残したとしても、法的には相続放棄の効果はなく、普通に遺産分割協議に参加して相続権を主張することができます。
Q なぜ生前の相続放棄はできないのでしょうか?
A 理由としては、「推定相続人に対して相続放棄をするように圧力をかけるのを防ぐため」と言われています。生前の相続放棄を認めてしまうと、圧力をかけたり、かけられたりということが、どうしても起こってしまうだろうという考えの元に決められているルールなのです。
Q どうしても遺産を渡したくない相続人がいる場合は、どうしたら良いですか?
A 遺言を残しておくか、家族信託契約をしておくか、生前贈与をするか、などの方法になるでしょう。ただし、遺言や家族信託の場合は遺留分を無視することができません。生前贈与の場合は高額の税金がかかってしまいます。それぞれ注意点がありますので専門家に相談して決めた方が良いでしょう。
Q 遺言の遺留分を無くす方法はありますか?
A 普通に遺言を残すだけでは遺留分は無くなりません。唯一できるのは「遺留分の放棄」と言う方法です。これは家庭裁判所の許可があれば例え生前でも遺留分を放棄できるという制度です。ただし相続権が無くなる訳では無いので、遺言を残さずに亡くなってしまったら無効になります。例え遺留分を放棄していても遺言が残っていなければ、普通に遺産分割協議に参加できます。
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9月
08
2025
Q 相続における司法書士と弁護士の違いって何?
A 簡単に言うと、弁護士は特定の相続人の代理人であり、司法書士は相続人全員の代理人となります。
Q 弁護士の特定の相続人の代理とは?
A 弁護士が相続手続をする場合、必ず特定の相続人の代理となります。相続人全員の代理となることは、利益相反になるためできません。
従って、相続人同士で話し合いがまとまっている場合は弁護士の出番は基本的にありません。相続人の間で遺産分割について争っている状態だと、弁護士が特定の相続人の味方になって介入することができます。当然、他の相続人にとっては敵になりますね。(弁護士が遺言執行者になっている場合は、争いがなくても遺言書のとおりに手続を進めます)
Q 司法書士の相続人全員の代理とは?
A 司法書士は相続人の間で遺産分割について争いがある場合は基本的に介入できません。そのような状態で相談されたら「まずは遺産の分け方に決着を付けてから依頼してください」と答えます。
一方、相続人同士で話がまとまっている場合は弁護士と異なり、相続人全員から依頼を受けて相続手続を進めることができます。
Q 相続手続を司法書士に頼むか弁護士に頼むか迷った場合は、どうすればいいですか?
A 相続人の間で争いが無く手続だけを依頼したい場合は、司法書士に依頼すべきでしょう。一方、遺産分割で争いがある場合は弁護士の出番になります。
ただし弁護士は特定の相続人からしか依頼を受けられませんので、争いたい相続人が複数いる時は、それぞれが別の弁護士に依頼することになります。弁護士同士の争いになる訳です。そこまでするのが嫌だと思われる場合は相続人同士で決着を付けてから司法書士に依頼すると平和的な解決にはなりますね。
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