8月
29
2025
遺産分割調停と審判
遺産分割協議が話し合いでまとまらない時、家庭裁判所に遺産分割調停を申し立てます。遺産分割調停で法定相続人の合意がとれたら調停調書が発行されます。一方、遺産分割調停でも決着が付かなかったら、裁判官による遺産分割審判で決定されます。
判決や審判の場合、登記申請するには確定証明書が必要
裁判の結果が判決や審判の場合は、登記申請をする時に判決書や審判書だけでなく、確定証明書も必要です。なぜかと言うと、判決や審判の場合は裁判官が決定しているので、決定に不満がある当事者が異議を出せる期間を設けているからです。
もし異議が出されていた場合、判決書や審判書があっても決着はまだ付いていないことになります。確定証明書は「異議が出てない」ことを証明する書類なのです。
調停で決着がついた場合、確定証明書は必要か?
一方、遺産分割調停で決着が付いた後で相続登記を法務局に申し立てる場合、遺産分割協議書の代わりに調停調書が必要書類になります。しかし確定証明書は必要ありません。
この理由は、調停の場合は当事者の話し合いで決着が付いているので、調停で終わっているならば当事者全員の合意が取れていることが前提だからです。従って異議を出せる期間は設けられておらず、確定証明書も不要ということです。
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8月
26
2025
海外在住の相続人がいる時の相続手続
最近は海外在住の相続人がいることは珍しくなくなりました。
日本に住民票や印鑑登録があり、頻繁に日本に帰国するようなケースならば日本の住民票や印鑑証明書を使うこともできますが、ほとんど帰国しないで主に海外に住んでいる場合は特殊な相続手続が必要になります。
まずは在留証明書を取得する
まずは、住んでいるところの最寄りの日本の大使館または領事館に行って、在留証明書という書類を取得して頂きます。海外に住んでいることを日本政府が証明した書類になります。海外の住民票のようなものですね。
在留証明書の写しを司法書士に送る
在留証明書を取得したら、その写しを相続手続を依頼した司法書士に送ります。この時、原本は絶対に送ってはいけません。なぜなら次に行う手続に必要だからです。司法書士は在留証明書の写しを見ながら委任状や遺産分割協議書を作成します。
サイン証明を取得する
司法書士が作成した書類が海外の住所に届いたら、その書類と在留証明書の原本を持って大使館または領事館に行きます。そこで大使館員や領事館員が見ている前で司法書士の作成書類にサインをします。サインの確認後、大使館または領事館がサイン証明を発行して司法書士作成書類にホチキスで留めます。これでサイン証明の完成です。
サイン証明は時間がかかるので早めに取り掛かろう
海外在住の相続人がいる場合、大使館や領事館が近くになければ行くだけで時間がかかります。近くにあっても在留証明書とサイン証明の2回行く必要があります。
サイン証明を取得した後は、在留証明書と一緒に原本を郵送して頂く必要がありますので、海外からだと郵送に時間がかかります。このように何かと時間がかかりますので、海外の相続人には早めに動いて頂いた方が良いでしょう。
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8月
19
2025
家庭裁判所に持ち込んでも希望通りになるとは限らない
相続人同士で遺産分割が決まらない場合、すぐに家庭裁判所に持ち込もうと考える相続人がいます。
しかし、ちょっと待ってください。家庭裁判所に持ち込んだからと言って希望通りになるとは限らないのです。むしろ希望通りにならないケースが非常に多いという事実を知っておきましょう。
家庭裁判所は法定相続を好む
家庭裁判所の遺産分割調停を経験していくと分かってくるのですが、家庭裁判所は非常に法定相続を好みます。よほどのことが無い限り法定相続で決着させようとしてきます。
ですから法定相続になったら話し合いの時よりも得をする相続人には、遺産分割調停はメリットがあります。
法定相続よりも多くを希望する相続人は話し合いでの決着を目指そう
逆に法定相続よりも多くの相続分を希望している相続人は、家庭裁判所に持ち込まれると不利になるということは覚えておくべきです。
いくら自分で説得力のある理由があると思っていても、家庭裁判所の対応は恐ろしく冷たいものになる可能性が高いです。ですから法定相続よりも多くを希望するなら、できるだけ話し合いで解決するべきなのです。
不動産があるならば代償分割を考える
相続で揉めるのが多いのは不動産がある場合です。遠方の相続人は不動産をもらっても仕方が無く、住み続ける相続人がいると売ることもできないので揉めやすいと言えます。なまじ不動産に価値があると、住み続ける相続人が財産価値としては多くもらうことになってしまいます。
このような場合は、代償分割を提案しましょう。これは不動産をもらう相続人が代わりに金銭を払うことで、他の相続人とのバランスを取る方法で広く使われています。
バランスを取る方法も嫌ならば遺言を残してもらうしかない
先ほどのバランスを取る方法でも納得できず、どうしても法定相続よりも余分にもらいたい事情があるのならば、生前に遺言を残してもらうか、信託契約を結んでもらうしかないでしょう。(もちろん他の相続人が承知しているならば、どんな方法でも分割は可能です)
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8月
01
2025
不動産を信託財産にした場合
不動産を信託財産にした場合、法務局に信託登記の申請をしなければなりません。不動産が信託財産となっていることを第三者に知らせる必要があるからです。通常は信託契約書作成を担当した司法書士が申請します。
信託の登記には2種類ある
信託の不動産登記をする場合、所有権移転登記と信託登記を同時に申請します。所有権移転登記は委託者から受託者へ名義を変えるために行う名義変更登記になります。
ただし、これだけだと第三者が見た時に信託で移されたのかどうかが分かりにくいので、所有権移転登記と同時に信託登記も申請して、誰が見ても不動産が信託財産であることが分かるようにするのです。
信託による所有権移転登記は登録免許税が非課税
委託者兼受益者の信託は、名義が受託者に変わっても権利は委託者のままです。よって信託財産の名義を移しても贈与税がかかりません。不動産の登録免許税の場合も同様で、信託による『所有権移転登記』は登録免許税が非課税となっています。
一方、贈与による所有権移転登記は登録免許税が2%なので、3000万円の不動産だと登録免許税は60万円にもなってしまいます。それと比べると信託による所有権移転登記の非課税措置は非常にありがたいですね。
信託登記の登録免許税は、かかるが安い
所有権移転登記と同時に申請する『信託登記』の登録免許税は非課税ではありません。信託登記は名義の変更を表すものではなく、不動産が信託財産であることを表すものだからです。
ただし、税率は安く設定されていて固定資産評価額の1000分の4となっています。これは相続登記と同じ税率で、贈与と比べると5分の1です。
また、土地の信託登記については租税特別措置法により更に安く設定されていて1000分の3となっています。
信託登記の登録免許税は合計した後で100円未満を切り捨てる
登録免許税には100円未満を切り捨てるというルールがあります。複数の不動産がある場合は合計してから切り捨てるというルールもあります。
信託登記は土地と建物で税率が異なるので、土地と建物の税額をそれぞれ個別に計算して、端数があってもそのままで、合計してから切り捨てることになります。個別の税額が出たところで切り捨てて、その後に合計してしまうと金額が違ってしまう事があるので注意しましょう。
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