10月
06
2017
不動産には、時価、公示地価、固定資産税評価、相続税評価など、様々な価格が設けられています。その中でも最も分かりにくいのが相続税評価でしょう。
固定資産評価は毎年支払う固定資産税の通知書に評価額が記載されていますよね。
目にする機会も多く、これが相続税の評価額だと思っている人も多いです。
実際、建物は相続税評価は固定資産評価を、そのまま使いますので同じ価格となります。分かりやすいですね。
しかし、土地は非常にややこしい仕組みになっていて、正確な金額は税理士でも、すぐには出てきません。
ただし概算ならば素人でも計算できます。
まず都市部の土地の場合は、国税庁が発表している路線価というものがあります。
この路線価というのは道路に価格が付いていて、その道路に面した土地の価格を計算する元になる金額です。
具体的には、計算したい土地の路線価を調べて、その路線価に土地の面積をかけると相続税評価の概算が出ます。路線価は1平方メートル当たりの価格を表しているからです。
国税庁 路線価図・評価倍率表
何故、概算かというと、間口の狭い土地などの場合、概算の金額に修正が加えられることになっているからです。
他にも土地の状態により修正になるケースがあるため、正確な金額はすぐには出てきません。
修正では、概算より減額になるケースがほとんどなので、概算金額が上限(マックス)だと考えておけば、それほど間違えることは無いでしょう。
一方、地方の土地の場合は、路線価が付いていません。
ではどうするかと言うと、倍率方式という計算方法になります。
固定資産評価額に国税庁の発表している地域ごとの倍率をかけることで、金額を出します。
このように土地の相続税評価額は計算が複雑になっていて、正確な金額が分かりにくい構造になっていることを覚えておきましょう。
あと余談ですが、良くアパートを建てると相続税対策になると言われます。
これは、どうしてでしょうか。
理由は、アパートが建っている土地は上記で計算した相続税評価額よりも更に減額になるからです。
これは、アパートが建っている土地は換金性が低いと税務当局が考えているからだそうです。
アパートが建っている土地を、土地だけ買う人は通常いませんよね。
アパートごと買うということになりますので、すぐには売れないであろうという考え方なのです。
高収益物件なら換金性が高いような気がしますが、何故かそういう考え方はしないようです。
更地や現金で持っているよりも相続税評価が低くなるので、資産家の方は、利用していない土地にアパートを建てるのです。
9月
26
2017
例えば、亡くなった親が交通事故などの加害者だったとして、保険に未加入で、被害者から損害賠償を請求されていたとします。
もし損害賠償を相続したら、莫大な金額を支払うことになりますね。
相続人は損害賠償請求を相続放棄できるのでしょうか。
損害賠償請求の相続放棄
この問題は、あらゆる損害賠償に共通しますが、結論は「相続放棄できる」が正解です。
被害者の立場からすると理不尽なように思えるかもしれませんが、相続放棄の法律効果は、「最初から相続人では無かったものとみなす」です。
相続する義務は無いのも当然と言えます。
このような強力な効果があるからこそ、3カ月という期間制限が付いているとも考えられます。
相続人は損害賠償請求を相続放棄できますが、それでは被害者は困ってしまいますね。
どうすれば良いのかというと、保険に入っておけば良かったということになるのでしょう。
自己破産の悪意で起こした損害賠償
自己破産の場合は、悪意で起こした損害賠償については免責されないことになっています。
(免責とは支払義務を免れることです)。
自己破産は、あくまで本人が行うものですから、加害者本人が悪意で起こした損害を破産することが許されてしまったら、被害者はたまったものではありません。
それこそ気軽に損害を与える人が出てきてしまう可能性も否定できないので、モラルハザードを防ぐためにも、このような規定になっているのです。
自己破産が上記のような規定になっているので、それを知っている人が損害賠償請求の相続放棄も同様に免れることはできないのではないかと誤解していることがあります。
しかし、相続放棄は加害者本人がするものではありませんので、全く考え方が異なるのです。
同じような件でお悩みの方は、なるべく早く専門家に相談しましょう。
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9月
20
2017
相続放棄は、相続が発生したときに借金が財産よりも多いことが分かった場合に、借金を支払わなくて済む非常に有効な手段となります。
ただし、相続放棄が認められなくなるケースもあります。
相続放棄は、財産も借金も両方とも受け取らないことを前提にした制度です。
従って、財産を一部でも受け取ってしまうと、ルール違反とういことになり、相続放棄が認められなくなる可能性がありますので注意が必要です。
この場合に相続人がよく迷うのが、今回のタイトルにもなっている
未支給年金
介護保険の還付金
健康保険の還付金
です。果たして、これらは亡くなった方の財産と言えるのかどうか、というのがポイントになります。
財産ならば受け取れない、財産で無ければ受け取れる、という訳です。
結論から言うと、未支給年金は亡くなった方の財産ではなく、相続人固有の財産だと考えられています。
従って、未支給年金を受け取っても相続放棄は可能です。
一方、介護保険や国民健康保険の還付金の場合は亡くなった方の財産だと考えられています。
そうすると、これらの還付金は相続放棄をする場合は受け取ってはいけない、ということになります。
やっかいなことに還付をする役所は相続放棄に詳しい人が対応するとは限りませんので、「受け取っても構わない」と答えたりすることがあります。
安易に受け取ると、取り返しのつかないことになりかねませんので、覚えておきましょう。
実際の実務の上では、家庭裁判所に相続放棄の申述をする段階では、上記の事実が問題になることはまずありません。
そのまま審査が進んで、相続放棄申述受理通知書が送られてくるでしょう。
では何が問題なのでしょうか。
借金の請求をする債権者(業者)が調査をして、上記の事実が発覚した場合に、相続放棄の効果が否定される可能性があります。
つまり支払いを拒否できないかもしれないということです。
もちろん発覚しなければ大丈夫ということにはなりますが、大きなリスクであることは間違いないので、専門家としてはお勧めできません。
役所に言われるままに知らずに受け取ってから気付いたというなら、リスクを承知でやってみるということも否定はしませんが、もし受け取る前に気付いたのならば止めておきましょう。
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9月
14
2017
不動産を相続して、その不動産を相続人の誰も利用する予定が無い場合、毎年の固定資産税の支払いが無駄になります。
評価価格の高い土地ですと、固定資産税もかなりの額になります。
相続人が1人でない場合は、誰が支払うのかでもめてしまうことも……。
このような場合は、換価分割を検討してみましょう。
換価分割とは、不動産をすぐに売却して金銭に換えてから相続人に分配する遺産分割の方法です。
分配方法が、かなり自由になりますから、よく使われる方法です。
換価分割の際の不動産の登記
換価分割の場合、一旦、法定相続人の1人に仮に名義を移してから売却します。
法定相続人が3人いたら、普通に登記をすれば3人の共有ということになります。
換価分割で、それをしないのは、1人の所有になっているほうが売却がしやすいからです。
なぜ1人の所有のほうが売却しやすいのでしょうか。
3人の共有ですと、誰か1人が売却に反対すると、買い手は困ってしまいますよね。
反対している1人がいつ賛成してくれるのか、それともずっと反対のままなのか非常に不安定な状態になってしまいます。
もちろん、3人とも賛成してくれれば問題はありませんが、買い手としてはリスクが少ないほうが良いのです。
それで、一旦1人に仮に名義を移すわけです。
そして売却後、金銭を分配すると言う方法を取ります。
換価分割の際の遺産分割協議書
遺産分割協議書の記載の仕方で注意する点が2つあります。
1つは、一旦、1人に名義が移った後の分配なので、税務署から贈与だとみなされないように記載する必要があります。
贈与とみなされた場合、贈与税がかかるからです。
贈与税は相続税よりも、はるかに高い税率ですから、大変困ったことになります
2つ目は、「仮に○○に名義を移す」というような表現を使うと、法務局での相続登記の審査が通らない、ということです。
換価分割の遺産分割協議書は、上記の2つのポイントを両方とも押さえていないと、うまくいきません。
意外と思われるかもしれませんが、弁護士さんに依頼すると、1つ目のポイントだけ押さえられていて、2つ目が配慮されていないので相続登記には利用できないというケースが実は珍しくありません。
これは、弁護士さんは不動産登記の専門家ではないために起こってしまうことです。
やはり「餅は餅屋」ということでしょうか。
逆に弁護士さんにしかできない仕事もありますからね。
上記のような理由から、換価分割を検討されている場合は、司法書士に相談されるのが良いでしょう。スムーズに進む可能性が高いと思います。
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9月
06
2017
ピンとこない出生から死亡までの戸籍
相続登記の必要書類の中で最も取得が大変なのが「出生から死亡までの戸籍」です。
相続を経験されたことが無い方は、言葉を聞いてもピンとこないかもしれません。
相続以外で「出生から死亡までの戸籍」を取得することは、まず無いからです。
銀行でもよく聞かれるのが、「お客様に戸籍や除籍の取り寄せをお願いすると、間違っていることがよくある」とのことです。
被相続人が死亡する直前に入っていた戸籍と相続人の現在戸籍の2通だけ持ってこられる方が多いそうです。
専門家の立場からしても、「出生から死亡までの戸籍」について説明するのは非常に大変です。
大半の人にとっては初めての経験なので、「戸籍の取得」と聞くと、普段、目にしている現在戸籍のことだと思ってしまうからです。
さかのぼるのは大変な昔の戸籍
戦後は「結婚」「引越による転籍」などで新しい戸籍に移ります。
(近隣の引越の場合は移らないこともありますが。)
また、戸籍法の改正があった場合も、新しい戸籍が作成されます。
戸籍法の改正は戦後を通じて数回あります。
そして新しい戸籍が作成されるたびに、その人の出生から死亡までの戸籍の数は増えていきます。
複数の結婚や引越による転籍を経験している人は、戸籍の数もかなり多くなりますね。
また戦前は、今とは全く違う「家督相続」によって戸籍が作られていますので、見慣れていないと、どこに何が書いてあるのかも分からない様式になっています。
戦前は、筆頭者ではなく戸主を中心に戸籍が作られていて、結婚しても戸籍を離れません。
一つの戸籍に何組もの家族が記載されることになり、ページ数も多くなっています。
また、昔は今よりも養子に出されたり、養子を迎えたりすることも多く、関係性が複雑になっています。
しかも、戸籍が機械化されたのは最近のことなので、少し古い戸籍になると手書きで書かれています。
これがときに達筆すぎて大変に読みにくい場合があります。
専門家は見慣れていますから何とか読み解くことが出来ますが、初めてだと相当に苦労するでしょう。
甥姪(おいめい)の戸籍は特に注意
日本は高齢化が進んでいますから、戦前生まれの方も、まだ多く生存しています。それらの方が亡くなった時、戦前までの戸籍を全て取得しなくてはいけません。私の経験では、平均して5~6通は取得していることが多いです。
亡くなった方に子供がいなかった場合は、より取得する戸籍の数が多くなります。
現在は、医療制度が発達していますから、高齢で亡くなる方が多くなりましたね。
その場合、両親や兄弟姉妹も高齢ですから、既に亡くなっていることが多くなります。
そうすると、亡くなった人に子供がいない場合は甥姪が相続人になりますね。
実際そういうケースが増えています。当然、必要な戸籍も膨大になります。
甥姪の数が20名以上になることもありますよ。
そうすると戸籍の数も3ケタにまで増える可能性もあります。
相続人が甥姪の場合
被相続人(亡くなった方)の出生から死亡までの戸籍
父親の出生から死亡までの戸籍、母親の出生から死亡までの戸籍
先に亡くなった兄弟姉妹の出生から死亡までの戸籍
が全て必要になります。
揃えるには1か月以上かかることもあるでしょう。
特に遠方の場合は、出向くことはなかなかできないでしょうから、郵送で請求することになります。
このように「出生から死亡までの戸籍」を取得するのは、かなり大変な作業になります。少なくとも、普段目にしている現在戸籍(一番新しい戸籍)を取得するのとは訳が違う、と言うことは覚えておきたいですね。
>>>相続手続は、自分で出来る?司法書士に依頼する? 気になる方はこちら
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9月
01
2017
土地は新たに出現するものではないので、通常、未登記というのはありえません。
しかし、車庫や倉庫などの場合、未登記になっている建物がたまにあります。
未登記を登記するタイミング
未登記になっている場合、もちろん登記をするのが法的には最も正しい方法ですが、そのまま放置してしまう人も結構いるのが現実です。
これが母屋の場合ですと、登記をしないと売れませんので、いずれ登記をすることになるでしょう。
登記が無いということは、自分の名義になったことを公的に証明できないということになるので、そんな物件を買う人はいないからです。
登記をするタイミングとしては、売却を考えたとき、あるいは銀行からお金を借りて抵当権を付けたりするときなどになります。
表示登記
実際の未登記の物件の登記はどのように行われるのでしょうか。
登記には2種類あって、表示登記と権利登記に分かれます。
未登記の場合、まずは表示登記をしなくてはいけません。
表示登記とは物件の物理的な状態を登記簿に記載する仕事です。
表示登記を取り扱っているのは土地家屋調査士という資格を持った人です。
建物や土地の測量をして図面を作成しなくてはいけませんので、どちらかと言うと技術系の仕事です。
土地家屋調査士さんはスーツよりも屋外で作業服でいる時間の方が長いくらいです。
室内だけで処理できる仕事ではありませんので、一般的に費用が高額になる傾向があります。
権利の登記
表示登記が終わってから権利の登記をすることになります。
権利の登記は登記簿では甲区、乙区と呼ばれているもので、甲区は所有者、乙区は抵当権者などを記載します。
権利の登記は司法書士が取り扱います。
このように未登記の物件に登記をする場合は、表示の登記と権利の登記をする必要がありますので、時間も費用も結構かかります。
これが、車庫や倉庫のために、そこまでしたくないという人が出てきてしまう理由となっているのです。
未登記状態で相続が起きたら?
このような未登記の車庫や倉庫に相続が起こったら、どうなるのでしょうか。
相続の後、売却するのでなければ、そのままにするケースが多いでしょう。
では固定資産税はどうなるのでしょう。
通常、評価証明書には未登記の建物も記載されています。
この場合、母屋と一体になるように役所が処理している物件は、母屋の相続登記が行われれば、自動的に車庫や倉庫の名義も変わるようになっています。
(あくまで固定資産税の名義の話です。)
一方、役所で一体となる処理がされていない物件は、未登記物件の名義変更の手続を申請する必要があります。
一体となる処理がされているかどうかは、役所に聞く必要があるということですね。
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8月
24
2017
任意後見を決断した時、任意後見契約だけを結ぶ人は、実はあまり多くはありません。
もちろん任意後見契約のみを選択することも可能ですが、任意後見に付随する様々な契約の種類があるので、そのいくつかを同時に契約するのが一般的です。
付随する契約の種類には、
見守契約
財産管理委任契約
死後事務委任契約
などがあります。
任意後見は必ず公正証書で契約します。
作成するときは公証役場へ行きますから、ついでに、と言っては何ですが、公正証書遺言も一緒に作ろうかと考える人も多いです。
見守契約
見守契約とは、定期的に(月に1回程度)司法書士(または委任された人)が依頼人に電話等で連絡を入れて健康状態などを確認するという契約です。
半年に1回程度は直接、依頼人の自宅に伺って様子を見るという条項も付けることが多いです。
目的は、財産管理や任意後見などを開始する必要があるかどうかを判断することです。
定期的に連絡を取ることで、認知症を発症していないかを確認したり、詐欺被害に遭っていないかなども確認することができますね。
財産管理委任契約
財産管理委任契約とは、頭ははっきりしていて判断能力は充分なのですが、運動能力の衰えのために各種の事務手続きが困難になった場合、信頼できる人間に財産の管理を任せると言う契約です。
任意後見は判断能力の衰えにしか対応していないので、この契約も同時に結ぶことが多いです。
例えば、意識ははっきりしているけれど、何らかの事情で寝たきりになってしまったときに、依頼人の財産を守りながら、依頼人のために財産を管理することになります。
財産管理委任契約が発効した後に認知症等になった場合は、途中から任意後見契約に切り替わることになります。
死後事務委任契約
死後事務委任契約とは、死後の事務処理を信頼できる人に委任する契約です。
未払いになっている各種費用の支払いや官公庁への届出、葬儀・埋葬・永代供養などの手続です。
近くに親族がいない方、あるいは、いても何らかの事情で頼りたくない方が契約する傾向があります。
最近では、両親が他界し、本人も60代を過ぎた「お一人様」にも需要があります。
財産管理委任契約や任意後見契約が、依頼人の死亡により終了する契約なので、死後の事務処理に対応していないために、死後事務委任契約でそれをカバーします。
以上で紹介したような様々な種類の契約を組み合わせることによって、任意後見制度を依頼人のニーズにより近づけることが可能になります。
8月
17
2017
公正証書遺言を作成すると原本と正本と謄本の3種類の書類が出来上がります。原本は公証人が保管し、正本と謄本は遺言者に渡されます。ではこの3種類の書類は、どのような違いがあるのでしょうか。
- 公正証書遺言の原本
いわゆるオリジナルの書類のことです。
作成した時の遺言者と証人の生の印鑑が押されています。
署名も直筆で書かれています。
そして、ここが肝心ですが、原本は公証人が保管しますので、紛失する可能性が極めて低いです。
- 公正証書遺言の正本
正本は原本の写しで、この意味では謄本と似ていますが、謄本よりも法的効力が強く、特別な写しです。
法的には原本と全く同じ効力があるとされていますので、原本と生き写しの書類と考えると良いでしょう。
末尾に公証人が「これは正本である」と記載してあるものです。
相続手続は、ほとんどが謄本でも可能ですが、中には正本が要求される場合もあります。

- 公正証書遺言の謄本
謄本は、戸籍謄本が分かり易い例だと思いますが、原本の写しで、公証人に請求すれば何回でも発行してもらえます。
法的には、原本と全く同じ内容を写した複製で公証人が発行したもの、ということになります。
戸籍謄本が、あらゆる場面で使えるように、公正証書謄本も、ほとんどの相続手続で使用可能です。
公正証書遺言を作る場合、たいていは遺言執行者を選任していると思います。
実際の実務の現場では、遺言執行者が正本を保管し、遺言者が謄本を保管しているケースが多いと思います。
相続が発生したときには、遺言執行者が相続手続を行うので、このように保管しています。
遺言についてもう少し詳しく知りたい方はこちら
8月
10
2017
登記事項証明書(登記簿)の権利部を見てみると、名義人の住所の欄のマンション・アパート名が登記されているケースが少ないことに気付きます。
これは不動産登記のルールがそうなっているからです。
物件の所在地を表す表題部のことではありません。誰が所有者かを表す権利部の所有者の住所のことです。
ルールでは、「権利者のマンション・アパート名や部屋番号は登記することも出来る」となっています。
これは、「登記しないことが標準であり、登記することが例外」と言っている訳です。
従って、所有権移転登記を申請する際にも、申請書の権利者(登記名義を新しく受ける人)の住所の欄にマンション・アパート名や部屋番号は記載しないのが一般的です。
我々司法書士も、特に強い希望が無ければマンション・アパート名は記載しません。
実際に希望される方も、あまりいないのが実情です。

唯一例外なのが、銀行で住宅ローンを借りて購入するケースです。
この場合は、本人ではなくて銀行が部屋番号までの記載を求めてくることがあります。
生前贈与のように、銀行が介在することが無い所有権移転登記の場合は、ほとんどが記載しないケースとなりますので覚えておくとよいでしょう。
もちろん記載することも可能です。その場合は事前に司法書士に希望を伝えましょう。
生前贈与とその登記についてもう少し詳しく知りたいかたはこちら
8月
01
2017
病院で入院中に遺言を残すことは珍しいことではありません。
何らかの危機感のようなものを脳が察知するのでしょうか。
例え命に別状はないような入院であっても、「この機会に遺言を書こうか」という気になる人は多いようです。
では、入院中に公正証書で遺言を残すことは可能なのでしょうか。
結論から言うと可能です。
公証人に出張依頼をして病院に来てもらって、病院のベッドで本人が口述したものを、公証人が作成することになります。
現実には、前もって用意された文案と本人の口述が一致していることを確認して、署名押印がされて出来上がることになります。
通常の費用に加えて、公証人の出張費が加算されますので、公証人に支払う料金が若干高くなります。
ここで公証人あるあるですが、彼らは公共の交通機関で来ることが少ないです。
タクシーを利用することが圧倒的に多いです。
なぜでしょうか。
万が一、公共の交通機関が動かなくなってしまったとき、大事な遺言作成に間に合わなくなっては困るからでしょうか?
調べてみる必要がありますね。
出張費は近いほど安くなりますので、なるべく病院から近い公証役場に依頼すると良いでしょう。
>>>公証人の交通費はどのくらい?タクシーを使う理由がわかった!<<<
文案は事前に公証人に送付しておきます。
不備があれば公証人から訂正を求められます。
心配な方は専門家に文案を作成してもらいましょう。
また証人を2人用意して、当日、病院に来てもらう必要があります。
公正証書遺言の証人についてはこちら
マメ知識として、ぜひとも覚えておいていただきたいのが、認知症の検査についてです。
病院で遺言を作成するのなら、公証人が来る直前に認知症の検査をしてもらうことをお勧めします。
そこで診断書を発行してもらえば、後々のトラブルを防ぐことになります。
遺言のトラブルで最も多いのが、作成時に意識がはっきりしていたかどうか、だからです。
このように入院中であっても公正証書で遺言は作れます。
診断書のように、入院中の方が入手しやすい書類もあります。
人生、何が起こるか分かりません。退院してからでは手遅れになる可能性もあります。
生きていても認知症になってしまったら遺言は作れません。
気が変わったら後で書き直すことも可能なので、入院をひとつのきっかけとして、遺言作成を考えてみてはどうでしょうか。
遺言についてもう少し詳しく知りたいかたはこちら